ISO22000で必要な文書・記録とは?準備すべき帳票と管理方法を解説
株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
監修者情報 金光 壮太
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。
これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。
イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
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株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。 これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。 イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
これまで多数のISO認証取得・運用支援に携わっています。
- ISO9001(品質マネジメントシステム)
- ISO14001(環境マネジメントシステム)
- ISO27001(ISMS)
- ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)
- ISO認証取得支援
- ISO運用支援
- 更新審査・再認証審査支援
- 内部監査支援
- マネジメントレビュー支援
- ISOコンサル会社の比較・調査・監修
ISO22000の取得や運用を進めるとき、多くの担当者が悩むのが「どの文書や記録を準備すればよいのか」です。 食品安全マニュアル、食品安全方針、PRP手順書、ハザード分析表、HACCPプラン、清掃記録、温度記録、教育記録、内部監査記録など、必要そうなものを並べるだけでも相当な量になります。 一方で、文書や帳票を増やしすぎると、現場が記入に追われ、最新版管理も難しくなります。 ISO22000では、文書や記録を単にそろえることが目的ではありません。 食品安全マネジメントシステムを有効に運用し、現場で必要なときに使え、実施した証拠を残し、問題があれば改善につなげることが重要です。 この記事では、ISO22000で必要になりやすい文書・記録の全体像、文書・記録・帳票・様式の違い、文書化した情報の考え方、準備すべき文書と記録の一覧、帳票設計、文書管理規程、版管理、紙と電子データの管理、保管期限、審査で見られやすい不備まで、基本コンテンツとして実務に落とし込みやすく解説します。
この記事でわかること
- ISO22000では、食品安全マネジメントシステムを運用するための文書と、運用した証拠として残す記録を管理する必要があります。
- ISO22000:2018では、文書や記録をまとめて「文書化した情報」として扱い、維持する情報と保持する情報を意識して管理します。
- 必要な文書・記録は会社の規模、製品、工程、法令、顧客要求によって変わるため、一覧化して過不足を確認することが重要です。
- 帳票は現場で使いやすく、基準外時の対応や確認者まで残せる設計にすることで、審査や改善に活用しやすくなります。
- 文書管理では、最新版管理、旧版誤使用の防止、アクセス権限、保管期限、改ざん防止、検索性を整えることが重要です。
ISO22000で必要な文書・記録とは?まず全体像を整理
ISO22000で必要な文書・記録とは、食品安全マネジメントシステムを計画し、運用し、確認し、改善するために必要な情報のことです。
文書は、食品安全方針、手順書、マニュアル、管理基準など、組織として決めたルールや方法を示すものです。
記録は、教育、清掃、温度確認、内部監査、是正処置など、実際に活動した証拠を残すものです。
ISO22000では、文書や記録を単にそろえるだけでは不十分です。
必要なときに必要な人が最新版を確認でき、現場で実際に使われ、記録が正確に残り、問題があれば原因分析や改善につながることが重要です。
文書と記録が現場運用から切り離されていると、審査で説明しにくくなります。
また、必要な文書や記録は会社によって異なります。
食品製造、保管、輸送、包装材、給食、外食など、業種や工程が違えば管理すべきハザードも変わります。
まずはISO22000で求められる文書化した情報、自社が食品安全管理に必要と判断した情報、法令や顧客要求で必要な情報を分けて整理しましょう。
ISO22000の文書・記録は、審査用の書類ではなく、食品安全を継続して管理するための仕組みです。
イソログに寄せられたリアルな声
ISO22000の文書・記録に関する相談では、「何を準備すればよいか分からない」「帳票が多すぎて現場が回らない」「最新版管理ができていない」「古い様式を使ってしまった」という声が多くあります。
特に初めてISO22000を取得する会社では、テンプレートを集めることが目的になり、現場で使いにくい文書体系になってしまうことがあります。
また、既存のHACCP帳票や衛生管理記録を活用したいものの、ISO22000の要求事項に対してどこまで足りているのか判断できないケースもあります。
清掃記録や温度記録は残していても、基準外時の対応欄、確認者、是正処置とのつながりが不足していることがあります。
ここでは、イソログに寄せられる相談傾向をもとに、ISO22000の文書・記録整備で担当者がつまずきやすい場面を整理します。
ISO22000の文書・記録を整備する際に、担当者が悩みやすい場面を相談傾向としてまとめました。
Cases
失敗談・相談事例
取得前に確認しておきたい実務上のつまずきを、横にスライドして確認できます。
ISO22000で何の文書を作ればよいのか分からなかった
イソログ相談事例
食品安全マニュアル、PRP手順書、HACCPプラン、記録様式など、必要そうなものが多く、どこから着手すべきか判断できませんでした。
まず文書と記録を一覧化し、要求事項、自社運用、法令・顧客要求のどれに対応するものかを整理すると優先順位が見えます。
帳票を増やしすぎて、現場が記入作業に追われてしまった
イソログ相談事例
審査対策として清掃、温度、点検、確認の帳票を細かく作りましたが、現場では記入漏れが増え、確認も形だけになっていました。
帳票は多いほど良いわけではありません。
食品安全上必要な確認項目を絞り、現場が続けられる様式にすることが大切です。
改訂したはずの手順書と古い帳票が現場で混在していた
イソログ相談事例
文書を更新したものの、印刷済みの旧版帳票が現場に残り、どれが最新版か分からない状態になっていました。
改訂時は版番号、改訂日、配布先、旧版回収のルールを決め、現場で最新版だけを使える状態にしましょう。
記録はあるのに、基準外時の対応が残っていなかった
イソログ相談事例
温度記録や清掃記録は保管していましたが、異常値や不備があったときに何をしたのか、誰が判断したのかが分かりませんでした。
帳票には結果だけでなく、基準、基準外時の処置、確認者、必要な是正処置まで残せる欄を設けると審査で説明しやすくなります。
紙から電子管理に変えたいが、何に注意すべきか分からなかった
イソログ相談事例
Excelやクラウドで管理したい一方、入力権限、改ざん防止、バックアップ、検索性、保管期限のルールが整っていませんでした。
電子化しても文書管理の考え方は同じです。
アクセス権限、変更履歴、保護、バックアップ、廃棄ルールを先に決めましょう。
文書・記録・帳票・様式の違い
ISO22000の文書管理を考えるときは、文書、記録、帳票、様式の違いを整理しておくと理解しやすくなります。
文書は、会社として決めたルールや手順を示すものです。
食品安全マニュアル、PRP手順書、文書管理規程、緊急事態対応手順などが該当します。
記録は、実施した活動や結果の証拠です。
清掃を実施した記録、温度を測定した記録、教育を行った記録、内部監査を実施した記録、不適合に対応した記録などが該当します。
記録は後から勝手に書き換えるものではなく、事実を正確に残すことが重要です。
帳票や様式は、記録を残すためのフォーマットです。
たとえば清掃チェック表は、何も記入されていない状態では様式であり、実際に日付、担当者、確認結果が記入されると記録になります。
この違いを理解しておくと、最新版管理が必要なものと、保管期限を決めて保持すべきものを分けやすくなります。
| 区分 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 文書 | ルール、手順、基準を示す情報 | 食品安全マニュアル、PRP手順書 |
| 記録 | 実施した活動や結果の証拠 | 温度記録、教育記録、内部監査記録 |
| 帳票 | 現場で記入・確認に使う用紙や画面 | 清掃チェック表、受入検査表 |
| 様式 | 記録を残すための空のフォーマット | 未記入の点検表、報告書テンプレート |
| 管理の視点 | 最新版管理と保管管理を分ける | 様式は版管理、記録は保管期限管理 |
ISO22000の「文書化した情報」とは
ISO22000:2018では、従来の文書や記録をまとめて「文書化した情報」として扱います。
これは、紙の手順書や記録用紙だけでなく、Excel、Word、PDF、画像、動画、クラウド上のデータ、社内システムの記録など、組織が管理すべき情報を広く含む考え方です。
文書化した情報には、ISO22000が要求するもの、自社が食品安全マネジメントシステムを有効に運用するために必要と判断したもの、法令・規制当局・顧客要求に関連するものがあります。
つまり、規格に名前が書かれている文書だけを作ればよいわけではありません。
自社の工程やリスクに応じて必要な情報を決める必要があります。
一方で、何でも文書化すればよいわけでもありません。
現場が使わない文書、同じ内容の重複資料、更新されないマニュアルが増えると、管理の負担が大きくなります。
ISO22000の文書化した情報は、食品安全管理に必要で、現場で利用でき、審査や改善に活用できるものとして整備することが大切です。
文書化した情報は、紙の書類だけでなく、電子データやシステム上の記録も含めて管理対象になります。
文書は「維持」、記録は「保持」で考える
ISO22000の文書・記録を整理するときは、文書は「維持」、記録は「保持」で考えると分かりやすくなります。
維持する文書とは、現場が正しい手順や基準に従って作業するために、最新版として更新し続ける情報です。
手順書、マニュアル、規程、管理基準、帳票様式などが該当します。
保持する記録とは、実施した活動や結果の証拠として保管する情報です。
教育を実施した、温度を測定した、清掃を確認した、内部監査を行った、是正処置を完了したといった事実を残します。
記録は、後から都合よく書き換えるものではなく、必要に応じて修正履歴や訂正理由が分かるように管理します。
この考え方を持つと、管理方法も整理しやすくなります。
手順書や様式は最新版管理、承認、配布、旧版回収が重要です。
記録は保管期限、検索性、改ざん防止、読みやすさ、廃棄ルールが重要です。
文書と記録を同じ管理方法で扱うのではなく、それぞれの目的に合わせて管理しましょう。
| 区分 | 目的 | 管理ポイント |
|---|---|---|
| 維持する文書 | 正しい手順や基準を示す | 最新版管理、承認、配布、旧版回収 |
| 保持する記録 | 実施結果の証拠を残す | 保管期限、検索性、改ざん防止 |
| 様式 | 記録を残すフォーマットを統一する | 版番号、改訂日、使用場所を管理する |
| 外部文書 | 法令、規格、顧客仕様などを参照する | 最新版確認と参照先を明確にする |
| 電子データ | 紙以外の媒体で管理する | アクセス権限、バックアップ、変更履歴を管理する |
ISO22000で必要になりやすい文書一覧
ISO22000で必要になりやすい文書には、食品安全マネジメントシステム全体を示す文書、方針・目標・体制に関する文書、PRPやHACCPに関する文書、緊急時対応や内部監査に関する文書などがあります。
すべての会社で同じ文書名が必要なわけではありませんが、審査で説明しやすいように文書体系を整理しておくことが大切です。
代表的な文書としては、食品安全マニュアル、適用範囲、食品安全方針、食品安全目標、組織図、責任権限表、食品安全チーム表、文書管理規程、コミュニケーション手順、PRP手順書、製品説明書、フローダイアグラム、ハザード分析表、OPRP管理表、HACCPプラン、緊急事態対応手順、トレーサビリティ手順、製品回収手順、内部監査手順、マネジメントレビュー手順などがあります。
文書を作るときは、要求事項を満たすためだけでなく、現場が使えるかを確認しましょう。
手順書が現場の作業と違っている、内容が難しすぎる、責任者が曖昧、改訂履歴がないといった状態では、文書があっても運用に活かせません。
| 分類 | 文書例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| FSMS全体 | 食品安全マニュアル、適用範囲 | 自社の認証範囲と実態が合っているか |
| 方針・目標 | 食品安全方針、食品安全目標 | 経営方針や現場活動とつながっているか |
| 体制 | 組織図、責任権限表、食品安全チーム表 | 役割と判断者が明確か |
| 文書管理 | 文書管理規程、記録管理規程 | 作成、承認、改訂、保管、廃棄が決まっているか |
| 運用 | PRP手順書、HACCP関連文書 | 工程とハザード分析に基づいているか |
| 評価・改善 | 内部監査手順、マネジメントレビュー手順 | 評価結果を改善につなげられるか |
食品安全方針・目標・体制に関する文書
食品安全方針、食品安全目標、組織体制に関する文書は、ISO22000の仕組みの土台になります。
食品安全方針は、会社として安全な食品を提供する姿勢を示す文書です。
掲示して終わりではなく、従業員に伝わり、食品安全目標や日常業務につながっている必要があります。
食品安全目標は、方針を具体的な活動に落とし込むための文書です。
たとえば、クレーム件数、不適合件数、教育実施率、内部監査指摘への是正完了率、衛生点検の改善率など、自社の課題に合わせて設定します。
目標は、達成状況を確認できるように、担当者、期限、評価方法を決めておくことが重要です。
組織体制に関する文書では、組織図、責任権限表、食品安全チーム表、役割分担表などを整備します。
異常時に誰が判断するのか、CCP逸脱時に誰が出荷可否を決めるのか、内部監査やマネジメントレビューに誰が関わるのかを明確にしておくと、審査でも説明しやすくなります。
| 文書 | 目的 | 注意点 |
|---|---|---|
| 食品安全方針 | 会社の食品安全に関する方向性を示す | 現場に周知し、理解されているか確認する |
| 食品安全目標 | 方針を具体的な活動に落とし込む | 評価できる指標と期限を設定する |
| 組織図 | 組織の体制を明確にする | 実際の責任体制と合っているか確認する |
| 責任権限表 | 役割、判断者、承認者を明確にする | 異常時や出荷判断の責任者を決める |
| 食品安全チーム表 | FSMSを推進するメンバーを示す | 品質管理だけに偏らず関係部門を含める |
PRP・HACCP・OPRP・CCPに関する文書
ISO22000の文書で特に重要なのが、PRP、HACCP、OPRP、CCPに関する文書です。
これらは食品安全ハザードを実際に管理するための中核となります。
単に様式を用意するだけでなく、自社の製品、原材料、工程、設備、作業環境を反映した内容にする必要があります。
PRPに関する文書には、清掃・洗浄、害虫防除、要員衛生、交差汚染防止、設備管理、保管管理、廃棄物管理、ユーティリティ管理などの手順書があります。
HACCPに関する文書には、製品説明書、意図した用途、フローダイアグラム、工程確認、ハザード分析表、管理手段の分類、OPRP管理表、HACCPプランなどがあります。
これらの文書は、現場記録とつながっていることが重要です。
ハザード分析表で重要と判断した管理手段が、OPRP管理表やHACCPプランに反映され、さらに清掃記録、温度記録、CCP監視記録などで実施状況を確認できる状態にしましょう。
| 分類 | 文書例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| PRP | 清掃手順、害虫防除手順、要員衛生手順 | 基本衛生管理が現場実態に合っているか |
| 製品情報 | 製品説明書、原材料情報、意図した用途 | アレルゲンや保存条件を含めているか |
| 工程情報 | フローダイアグラム、工程確認記録 | 実際の工程と一致しているか |
| ハザード分析 | ハザード分析表、管理手段分類表 | 重要ハザードと管理手段がつながっているか |
| OPRP | OPRP管理表、処置基準 | モニタリング方法と基準外時対応が明確か |
| CCP | HACCPプラン、許容限界、逸脱時手順 | 製品保留と出荷判断の流れがあるか |
ISO22000で必要になりやすい記録一覧
ISO22000では、計画した仕組みが実際に運用されていることを示すために、さまざまな記録を残します。
記録は、食品安全上の管理が行われた証拠であり、審査だけでなく、クレームや不適合が発生したときの原因調査にも使われます。
必要になりやすい記録には、教育記録、力量評価記録、清掃記録、洗浄・殺菌記録、害虫防除記録、設備点検記録、原材料受入記録、温度記録、CCP監視記録、OPRPモニタリング記録、トレーサビリティ記録、緊急時対応記録、不適合品管理記録、是正処置記録、内部監査記録、マネジメントレビュー記録などがあります。
記録で大切なのは、正確性とタイミングです。
後からまとめて記入すると、実施時点の事実を示す証拠として弱くなります。
また、異常値や基準外があった場合は、単に数値を残すだけでなく、どのような処置をしたか、誰が確認したか、対象製品をどう扱ったかまで残す必要があります。
| 分類 | 記録例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 教育・力量 | 教育記録、力量評価、資格一覧 | 必要な教育が実施されているか |
| PRP | 清掃記録、害虫防除記録、設備点検記録 | 基準外時の対応が残っているか |
| HACCP | CCP監視記録、OPRPモニタリング記録 | 基準、測定値、確認者が明確か |
| 受入・出荷 | 原材料受入記録、出荷検査記録 | ロットや取引先を追えるか |
| 評価 | 内部監査記録、検証記録、レビュー記録 | 結果が改善につながっているか |
| 改善 | 不適合記録、是正処置記録、苦情対応記録 | 原因分析と有効性確認があるか |
現場で使う帳票をどう整備するか
現場で使う帳票は、ISO22000の運用を支える重要な道具です。
清掃チェック表、温度記録表、設備点検表、受入検査表、出荷前確認表、CCP監視記録、OPRP確認表などは、現場担当者が毎日使うものです。
帳票が使いにくいと、記入漏れや形骸化につながります。
帳票を整備するときは、現場で本当に確認すべき項目に絞ることが大切です。
項目が多すぎると、担当者はチェックをこなすことが目的になり、食品安全上の異常に気づきにくくなります。
反対に項目が少なすぎると、審査や原因調査で必要な情報が残りません。
良い帳票には、確認日、時刻、対象、基準、結果、担当者、確認者、基準外時の処置欄が含まれます。
必要に応じてロット番号、製品名、設備番号、測定機器、是正処置番号なども入れます。
現場で記入する人の動きに合わせて、紙でも電子でも使いやすい形にしましょう。
| 項目 | 目的 | 例 |
|---|---|---|
| 確認日時 | いつ確認したかを示す | 日付、時刻、シフト |
| 対象 | 何を確認したかを示す | 設備名、工程、製品、ロット |
| 基準 | 合否判断の基準を示す | 温度範囲、清掃状態、検出感度 |
| 結果 | 確認結果を残す | 数値、合否、コメント |
| 担当者・確認者 | 責任と確認を明確にする | 記入者、承認者、レビュー者 |
| 基準外時対応 | 異常時の処置を残す | 保留、再洗浄、再測定、是正処置 |
文書管理規程で決めるべきこと
ISO22000の文書・記録を安定して管理するには、文書管理規程や記録管理ルールを整備しておくと便利です。
文書管理規程では、文書を誰が作成し、誰が確認し、誰が承認するのか、改訂時に何を記録するのか、どこに保管するのか、誰が閲覧・編集できるのかを決めます。
また、文書の識別方法も重要です。
文書名、文書番号、版番号、作成日、改訂日、作成部門、承認者、保管場所などを決めておくと、必要な文書を探しやすくなります。
すべての文書に複雑な番号体系を付ける必要はありませんが、現場で混乱しない程度のルールは必要です。
記録管理では、保管場所、保管期限、修正方法、廃棄方法、電子データのバックアップ、アクセス権限を決めます。
特に食品安全に関係する記録は、クレーム、回収、法令対応、審査で必要になる可能性があるため、検索しやすく保護された状態で保管しましょう。
| 項目 | 決めること | 注意点 |
|---|---|---|
| 作成・承認 | 作成者、確認者、承認者 | 現場実態に合う内容か確認する |
| 識別 | 文書名、番号、版、改訂日 | 最新版を判別できるようにする |
| 配布・アクセス | 誰がどこで見られるか | 必要な人が必要なときに使えるようにする |
| 改訂 | 改訂理由、履歴、周知方法 | 旧版の誤使用を防ぐ |
| 保管・廃棄 | 保管場所、期限、廃棄方法 | 法令や顧客要求を反映する |
| 外部文書 | 規格、法令、顧客仕様の管理 | 最新版確認の責任者を決める |
版管理・最新版管理・旧版誤使用の防止
文書管理でよく問題になるのが、版管理と最新版管理です。
手順書や帳票様式を改訂しても、現場に古い版が残っていると、旧ルールで作業したり、古い記録様式に記入したりする可能性があります。
食品安全に関わる手順や基準が変わった場合、旧版誤使用は不適合や事故につながることもあります。
版管理では、文書や様式に版番号、改訂日、改訂内容、承認者を明記します。
改訂した文書は、配布先に周知し、必要に応じて教育を行い、旧版を回収または使用停止にします。
電子管理の場合も、古いファイルが共有フォルダに残っていないか、リンク先が最新版になっているかを確認します。
旧版を完全に廃棄できない場合は、「旧版」「参考用」「使用禁止」などの表示を行い、現場で誤って使われないようにします。
審査前には、現場に置かれている手順書や帳票が最新版か、改訂履歴と配布記録が残っているかを確認しましょう。
| 対策 | 内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 版番号管理 | 文書や様式に版番号を付ける | 最新版リストと照合する |
| 改訂履歴 | 変更日、変更内容、承認者を残す | なぜ改訂したか説明できるようにする |
| 配布管理 | 配布先と周知先を管理する | 現場に最新版が届いているか確認する |
| 旧版回収 | 古い紙帳票や手順書を回収する | 現場巡回で残存を確認する |
| 電子ファイル管理 | 共有フォルダやリンク先を統一する | 古いファイル名やコピーを整理する |
紙と電子データはどちらで管理すべきか
ISO22000の文書・記録は、紙でも電子データでも管理できます。
重要なのは、媒体そのものではなく、必要なときに利用でき、保護され、正確性が保たれ、保管期限まで確認できる状態であることです。
紙のファイル、Excel、PDF、クラウド、専用システムなど、自社の現場に合った方法を選びましょう。
紙管理のメリットは、現場で扱いやすく、設備投資が少ないことです。
一方で、保管スペース、検索性、記入漏れ確認、旧版回収、紛失や劣化に注意が必要です。
電子管理のメリットは、検索しやすく、共有しやすく、改訂や集計がしやすいことです。
一方で、アクセス権限、入力ミス、改ざん防止、バックアップ、システム停止時の対応を決める必要があります。
紙から電子に移行する場合は、いきなりすべてを変えるのではなく、使用頻度が高い帳票、検索が多い記録、集計が必要な記録から始めると進めやすくなります。
電子化しても、承認、修正、保管、廃棄、権限管理のルールは必要です。
| 管理方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 紙管理 | 現場で扱いやすく導入しやすい | 保管場所、紛失、旧版混在に注意する |
| Excel管理 | 集計や加工がしやすい | 上書き、版管理、入力権限に注意する |
| PDF管理 | 配布文書の固定化に向いている | 原本管理と改訂時の差し替えが必要 |
| クラウド管理 | 共有や検索がしやすい | アクセス権限とバックアップを管理する |
| 専用システム | 承認フローや履歴管理をしやすい | 現場教育とシステム停止時対応が必要 |
記録の保管期限・改ざん防止・検索性
記録管理では、保管期限、改ざん防止、検索性が重要です。
食品安全に関する記録は、審査、クレーム、回収、法令対応、顧客監査で必要になることがあります。
必要な記録が見つからない、読めない、改ざんの疑いがある、期限前に廃棄されている状態は避けなければなりません。
保管期限は、製品の賞味期限や消費期限、法令、顧客要求、認証機関や取引先の要求、自社のリスクに応じて決めます。
すべての記録を永久保存する必要はありませんが、トレーサビリティ、出荷、検査、CCP監視、是正処置、内部監査、マネジメントレビューなど、重要な記録は合理的な期間保管します。
改ざん防止では、記録の訂正方法を決めておくことが大切です。
紙記録では修正液を使わず、訂正線、訂正者、訂正日、理由を残す運用が考えられます。
電子記録では、編集権限、変更履歴、バックアップ、ロック機能などを使います。
検索性については、年月、製品、ロット、工程、記録名で探せるように分類しましょう。
| 項目 | 決めること | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 保管期限 | 記録ごとの保存期間 | 賞味期限、法令、顧客要求を考慮する |
| 保管場所 | 紙ファイル、倉庫、共有フォルダ | 必要時にすぐ探せるか |
| 訂正方法 | 修正ルール、訂正者、訂正理由 | 改ざんと見なされない方法にする |
| アクセス権限 | 閲覧者、編集者、承認者 | 不要な変更や漏えいを防ぐ |
| 検索性 | 分類、ファイル名、索引 | ロットや日付で追えるか |
| 廃棄 | 期限経過後の廃棄方法 | 機密情報や個人情報に注意する |
審査で見られやすい文書・記録の不備
ISO22000の審査では、文書があるかだけでなく、文書通りに運用されているか、記録が正確に残っているか、記録が改善につながっているかが確認されます。
第一段階審査では文書体系や要求事項への対応が見られ、第二段階審査では現場での運用と記録の整合が見られます。
よくある不備として、手順書と現場作業が違う、食品安全方針や目標が周知されていない、ハザード分析表とHACCPプランがつながっていない、清掃記録や温度記録に記入漏れがある、基準外時の処置が残っていない、旧版帳票を使っている、内部監査やマネジメントレビューの記録が形だけになっているといったものがあります。
審査前には、文書、現場、記録をセットで確認しましょう。
手順書に書いてあることを現場が実施しているか、現場で使っている帳票が最新版か、記録に基準外時対応まで残っているか、内部監査や是正処置で改善につながっているかを確認することが重要です。
| 不備 | 問題点 | 対策 |
|---|---|---|
| 手順と現場が違う | 文書が実態を反映していない | 現場確認を行い手順を更新する |
| 記録漏れ | 実施証拠が残らない | 記入タイミングと確認者を決める |
| 旧版使用 | 古い基準で運用してしまう | 最新版管理と旧版回収を徹底する |
| 基準外対応なし | 異常時の判断が追えない | 処置欄と是正処置への連携を作る |
| 承認漏れ | 文書の妥当性が確認されていない | 作成、確認、承認の流れを決める |
| 検索できない | 審査や原因調査で記録を出せない | 保管場所と分類ルールを整える |
ISO22000の文書・記録整備で迷うなら支援先を比較しよう
ISO22000の文書・記録は、食品安全マネジメントシステムを現場で動かすための土台です。
食品安全方針、目標、PRP手順書、ハザード分析表、HACCPプラン、清掃記録、温度記録、教育記録、内部監査記録、マネジメントレビュー記録などを、自社の工程に合わせて整理する必要があります。
ただし、初めてISO22000を構築する会社では、どこまで文書を作るべきか、既存帳票をどう活かすべきか、電子化してよいのか、保管期限をどう決めるのか、審査でどの記録を見られるのか判断に迷いやすいです。
文書を増やしすぎると現場負担が増え、逆に不足すると審査で説明できない仕組みになってしまいます。
複数のISOコンサル会社に相談すれば、自社の製品や工程に合わせた文書体系、必要な記録、帳票様式、文書管理規程、版管理、電子化、審査前チェックの進め方を比較できます。
ISO22000の文書・記録を現場で使える仕組みに整えるためにも、支援範囲と実績を比較してから進めましょう。
ISOコンサル会社選びで迷ったら、まずは比較してみましょう。
目的や規格に合う会社を整理し、取得までの進め方を確認できます。
おすすめ会社を見るよくある質問
ISO22000で必要な文書・記録とは何ですか?
ISO22000で必要な文書・記録とは、食品安全マネジメントシステムを運用するための手順や基準、実施した活動の証拠として残す情報です。
食品安全方針、PRP手順書、ハザード分析表、HACCPプラン、清掃記録、温度記録、教育記録、内部監査記録などが代表例です。
ISO22000では必ず決まった文書名で作成する必要がありますか?
必ず同じ文書名で作成しなければならないわけではありません。
重要なのは、ISO22000が求める内容、自社が食品安全管理に必要と判断した内容、法令や顧客要求に関する内容を、現場で使える形で文書化し、説明できるようにしておくことです。
文書と記録の違いは何ですか?
文書は、手順書やマニュアル、規程、管理基準のように、会社として決めたルールや方法を示す情報です。
記録は、教育、清掃、温度測定、内部監査、是正処置などを実施した証拠として残す情報です。
様式は記録を残すためのフォーマットです。
ISO22000の文書化した情報とは何ですか?
文書化した情報とは、組織が管理すべき文書や記録をまとめた考え方です。
紙の書類だけでなく、Excel、Word、PDF、画像、動画、クラウド上のデータ、社内システムの記録なども、食品安全マネジメントシステムで必要な情報であれば管理対象になります。
ISO22000の記録は紙で残さなければいけませんか?
紙でなければならないわけではありません。
電子データでも管理できます。
ただし、必要なときに利用できること、改ざんや紛失を防げること、保管期限まで保持できること、アクセス権限やバックアップが管理されていることが重要です。
帳票を増やせばISO22000の審査に通りやすくなりますか?
帳票を増やせばよいわけではありません。
帳票が多すぎると現場の負担が増え、記入漏れや形骸化につながります。
食品安全上必要な確認項目を絞り、基準、結果、担当者、確認者、基準外時対応を残せる使いやすい帳票にすることが大切です。
ISO22000の記録はどのくらい保管すればよいですか?
保管期限は、製品の賞味期限や消費期限、法令、顧客要求、認証機関や取引先の要求、自社のリスクに応じて決めます。
トレーサビリティ、出荷、検査、CCP監視、是正処置、内部監査、マネジメントレビューなど重要な記録は、合理的な期間保管できるようにしましょう。
ISO22000の審査では文書・記録のどこを見られますか?
審査では、文書が要求事項や現場実態に合っているか、最新版が使われているか、記録が正確に残っているか、基準外時の対応が記録されているか、内部監査や是正処置を通じて改善につながっているかが確認されます。
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監修者コメント
上位記事ではISO22000の文書化した情報や文書管理の考え方を扱うものが多いが、必要文書・記録・帳票を一覧化し、現場での使いやすさ、旧版誤使用、電子化、保管期限、審査不備まで一貫して整理した記事は少ない。
本記事ではISO22000の7.5文書化した情報の考え方を踏まえつつ、PRP・HACCP・OPRP・CCP関連文書と日常記録を具体的に整理した。
公開前にCMS側のカテゴリー名が `ISO22000基本コンテンツ`、URL階層が `/column/iso22000/basic/` で問題ないか確認すること。