ISO22000におけるハザード分析の進め方とは?危害要因の特定・評価・管理手段の決め方を解説
株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
監修者情報 金光 壮太
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。
これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。
イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
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株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。 これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。 イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
これまで多数のISO認証取得・運用支援に携わっています。
- ISO9001(品質マネジメントシステム)
- ISO14001(環境マネジメントシステム)
- ISO27001(ISMS)
- ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)
- ISO認証取得支援
- ISO運用支援
- 更新審査・再認証審査支援
- 内部監査支援
- マネジメントレビュー支援
- ISOコンサル会社の比較・調査・監修
ISO22000の構築や運用で、実務担当者が特につまずきやすいのがハザード分析です。 ハザード分析は、食品安全ハザードを洗い出し、重要性を評価し、どの管理手段で予防・除去・低減するかを決める作業です。 ここが曖昧なままだと、OPRPやCCPの分類、モニタリング、記録、審査対応まで不安定になります。 ハザード分析は、単に危害要因を表に並べる作業ではありません。 製品特性、原材料、工程、設備、保管、流通、意図した用途、対象消費者、法令・顧客要求、過去の不適合やクレームまで踏まえて、自社にとって管理すべき食品安全ハザードを判断する必要があります。 そのうえで、PRPで管理するのか、OPRPとして運用管理するのか、CCPとして許容限界を設定するのかを整理します。 この記事では、ISO22000専門コンテンツとして、ハザード分析の基本的な考え方、準備すべき情報、危害要因の特定方法、起こりやすさと重大性による評価、許容水準、管理手段の選定、PRP・OPRP・CCPの分類、分析表に残すべき根拠、審査で見られやすいポイントまで、実務で使える形で解説します。
この記事でわかること
- ISO22000のハザード分析は、食品安全ハザードを特定し、評価し、管理手段を決めるための中核的な実務です。
- ハザード分析を始める前に、製品情報、原材料情報、フローダイアグラム、意図した用途、法令・顧客要求、過去の不適合などを整理する必要があります。
- 危害要因は、生物的・化学的・物理的ハザードに加え、アレルゲン、交差汚染、表示、保管・流通条件まで現場に沿って洗い出します。
- ハザード評価では、管理手段を適用する前の起こりやすさと、意図した用途に関連する健康への悪影響の重大性を考えます。
- 管理手段は工程名だけで決めず、ハザード分析の根拠に基づいてPRP、OPRP、CCPへ分類し、記録と審査説明につなげることが重要です。
ISO22000におけるハザード分析とは
ISO22000におけるハザード分析とは、食品安全に影響する危害要因を洗い出し、それぞれの重要性を評価し、どの管理手段で予防・除去・低減するかを決める作業です。
食品安全マネジメントシステムの中でも、PRP、OPRP、CCP、ハザード管理プランの土台になる重要な工程です。
ハザード分析で扱うハザードには、病原微生物などの生物的ハザード、洗浄剤や残留農薬などの化学的ハザード、金属片やガラス片などの物理的ハザードがあります。
実務では、アレルゲン、表示ミス、交差汚染、温度逸脱、保管・流通条件、意図しない使用なども食品安全上の視点として確認する必要があります。
大切なのは、危害要因を思いつきで列挙するのではなく、製品、原材料、工程、設備、作業者、環境、保管、流通、消費者の使い方まで含めて、現実に起こり得る危害要因を工程ごとに整理することです。
そのうえで、管理しなければならない重要な食品安全ハザードを特定し、管理手段を決めていきます。
ハザード分析は、危害要因を表に並べる作業ではなく、食品安全上どのハザードをどの手段で管理するかを決める実務判断です。
イソログに寄せられたリアルな声
ISO22000のハザード分析に関する相談では、「危害要因をどこまで洗い出せばよいか分からない」「OPRPとCCPの分類根拠を説明できない」「過去のHACCP表をそのまま使ってよいのか不安」といった声が多くあります。
特に初回認証を目指す会社では、ハザード分析表の作成が書類作業のように見えてしまい、現場の実態とずれた表になりやすい傾向があります。
一方で、すでにHACCPに沿った衛生管理を運用している会社でも、ISO22000ではPRP、OPRP、CCP、妥当性確認、検証、記録のつながりまで問われるため、これまでの帳票だけでは説明が足りないことがあります。
審査で「なぜこのハザードを重要と判断したのか」「なぜこの工程をOPRPではなくCCPにしたのか」と聞かれ、答えに詰まるケースもあります。
ここでは、イソログに寄せられる相談傾向をもとに、ISO22000のハザード分析で担当者がつまずきやすい場面を整理します。
ISO22000のハザード分析を進める際に、担当者が迷いやすいポイントを相談傾向としてまとめました。
Cases
失敗談・相談事例
取得前に確認しておきたい実務上のつまずきを、横にスライドして確認できます。
ハザード分析表を作るよう言われたが、何から書き始めればよいか分からなかった
イソログ相談事例
食品安全チームは編成したものの、製品情報、工程フロー、原材料情報がばらばらで、危害要因の洗い出しに入る前に手が止まっていました。
最初に製品説明、原材料、工程、意図した用途、対象消費者、既存の管理手段をそろえると、ハザード分析に必要な前提が整理できます。
机上の工程フローと実際の現場作業が違っていた
イソログ相談事例
事務所で作ったフローダイアグラムをもとに分析していましたが、現場では一時保管、戻り作業、手直し、共用器具の使用がありました。
ハザード分析は現場確認なしでは精度が上がりません。
実際の作業、動線、保管場所、洗浄方法まで確認してから評価しましょう。
起こりやすさと重大性の点数をどう決めればよいか迷った
イソログ相談事例
評価表は作ったものの、担当者ごとに点数の付け方が違い、重要ハザードの判断にばらつきが出ていました。
評価基準は、過去の不適合、クレーム、法令、文献、製品特性、対象消費者を踏まえて、チームで共通の判断基準を決めることが大切です。
OPRPとCCPの分類理由を審査で説明できるか不安だった
イソログ相談事例
加熱工程や金属検出工程を重要管理点としていましたが、なぜその分類にしたのか、許容限界や処置基準の根拠が整理されていませんでした。
分類結果だけでなく、ハザード、管理手段、基準、モニタリング、逸脱時対応のつながりを文書で追えるようにしておきましょう。
分析表は完成したが、現場の記録や教育につながっていなかった
イソログ相談事例
認証準備でハザード分析表を作成したものの、現場の温度記録、清掃記録、点検記録と結びついておらず、運用が形だけになっていました。
ハザード分析は作成して終わりではありません。
管理手段、記録、教育、内部監査、見直しまでつなげて初めて機能します。
ハザード分析がISO22000認証・運用で重要になる理由
ハザード分析が重要なのは、ISO22000の食品安全管理がここから具体化されるためです。
どの危害要因を重要と判断するかによって、管理手段、OPRP、CCP、モニタリング、記録、逸脱時対応、検証方法が変わります。
つまり、ハザード分析の精度が低いと、その後の仕組み全体がずれてしまいます。
たとえば、重要なハザードを見落とすと、必要な管理手段が設定されず、現場でリスクを抑えきれない可能性があります。
逆に、重要ではないハザードまで過度に管理対象にすると、現場の記録負担が増え、本当に重要な管理点が見えにくくなります。
ハザード分析では、漏れなく洗い出すことと、現実的に優先順位をつけることの両方が必要です。
認証審査でも、ハザード分析は確認されやすい部分です。
審査員は、工程ごとのハザードが適切に特定されているか、評価方法が明確か、重要ハザードの判断根拠があるか、管理手段が妥当か、OPRPやCCPと記録がつながっているかを確認します。
分析表があるだけではなく、現場運用と説明できる根拠が求められます。
| 理由 | 内容 | 実務への影響 |
|---|---|---|
| 重要ハザードを決める土台になる | どの危害要因を管理すべきか判断する | 管理の優先順位が決まる |
| 管理手段につながる | PRP、OPRP、CCPの設定に影響する | 記録やモニタリング方法が決まる |
| 審査で説明が必要になる | 評価方法と判断根拠が確認される | 分析表と現場運用の整合が問われる |
| 事故予防に直結する | 見落としが食品事故や回収につながる | 現場のリスク低減に関係する |
| 見直しの起点になる | 工程変更やクレーム時に再評価する | 継続的改善につながる |
HACCPのハザード分析とISO22000のハザード分析の関係
HACCPのハザード分析は、食品の製造・加工工程に潜む危害要因を洗い出し、重要管理点を決めるための考え方です。
ISO22000でもHACCPの考え方は中核にありますが、ISO22000ではそれを食品安全マネジメントシステム全体の中に組み込んで運用します。
HACCPでは、製品説明、意図する用途、フローダイアグラム、現場確認、危害要因分析、CCP決定、管理基準、モニタリング、改善措置、検証、記録といった流れが重視されます。
ISO22000では、これに加えてPRP、OPRP、妥当性確認、ハザード管理プラン、内部監査、マネジメントレビュー、継続的改善とのつながりが重要になります。
そのため、HACCPの帳票を持っている会社でも、ISO22000のハザード分析として十分かどうかは確認が必要です。
危害要因の洗い出しだけでなく、管理手段の選定、OPRPとCCPの分類、評価方法の文書化、妥当性確認や検証との関係まで整理されているかを見直しましょう。
| 項目 | HACCPでの見方 | ISO22000での見方 |
|---|---|---|
| 目的 | 危害要因を分析しCCPを決める | 食品安全ハザードをFSMSの中で管理する |
| 前提 | 製品説明、工程図、現場確認を行う | PRPや組織体制も含めて整える |
| 管理手段 | CCPを中心に考える | PRP、OPRP、CCPを組み合わせる |
| 文書化 | HACCPプランや記録を残す | 評価方法、分類根拠、検証までつなげる |
| 改善 | 検証や見直しを行う | 内部監査、レビュー、是正処置と連動する |
ハザード分析を始める前に準備すべき情報
ハザード分析は、いきなり表を書き始めても精度が上がりません。
まずは、製品と工程に関する前提情報をそろえる必要があります。
製品の種類、原材料、添加物、包装形態、保存条件、賞味期限、流通条件、意図した用途、対象消費者、喫食方法などを整理しましょう。
次に、フローダイアグラムを作成し、現場で確認します。
原材料の受入、保管、前処理、加工、加熱、冷却、包装、検査、保管、出荷といった工程だけでなく、一時保管、再加工、手直し、戻り品、委託工程、共用ライン、清掃・洗浄、廃棄物動線も確認します。
現場にない工程を表に入れたり、現場にある作業を見落としたりすると、分析結果が実態とずれてしまいます。
さらに、法令・規制、顧客要求、過去の不適合、クレーム、回収事例、検査結果、設備トラブル、作業者からのヒヤリハットも重要な情報です。
ハザード分析は食品安全チームだけで机上作成するのではなく、現場、購買、品質管理、物流、営業などから情報を集めて進めると精度が高まります。
| 情報 | 具体例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 製品情報 | 製品名、規格、包装、賞味期限、保存条件 | 食品安全に関わる特性を整理する |
| 原材料情報 | 原材料、添加物、アレルゲン、仕入先情報 | 由来ハザードや受入基準を確認する |
| 工程情報 | フローダイアグラム、作業手順、設備 | 現場確認で実態と合わせる |
| 用途・消費者 | 喫食方法、加熱の有無、対象消費者 | 重大性の評価に反映する |
| 外部要求 | 法令、取引先基準、業界基準 | 許容水準や管理基準の根拠にする |
| 過去情報 | クレーム、不適合、検査結果、回収事例 | 起こりやすさの判断に活用する |
食品安全チームと現場をどう巻き込むか
ハザード分析は、品質管理部門だけで完結させないことが大切です。
食品安全チームには、製造、品質管理、購買、物流、設備、商品開発、営業など、食品安全に関係する部門の知見を入れると、危害要因の見落としを減らせます。
特に現場作業を知っている人の意見は、机上では分からないリスクを見つけるうえで重要です。
たとえば、作業者は実際の一時保管、器具の使い回し、清掃しにくい箇所、温度が上がりやすい場所、混雑する時間帯、包装資材の置き場、異物が入りやすいタイミングを知っています。
購買担当者は原材料や仕入先の変更リスクを知っており、物流担当者は保管・輸送中の温度や破損リスクを把握しています。
食品安全チームを巻き込むときは、専門用語だけで会議を進めないことも重要です。
現場には「この工程で何が起きると食べる人に危ないか」「その危険を今どう防いでいるか」「記録で確認できるか」といった言葉に置き換えて聞くと、実務に近い情報が集まりやすくなります。
| 部門 | 確認したい情報 | 巻き込む理由 |
|---|---|---|
| 製造 | 実際の作業、動線、手直し、一時保管 | 工程上の見落としを減らす |
| 品質管理 | 検査結果、クレーム、不適合、基準 | 評価根拠を整理する |
| 購買 | 原材料、仕入先、代替品、受入基準 | 原材料由来ハザードを確認する |
| 物流 | 保管、輸送、温度、破損、積替え | 出荷後のリスクを把握する |
| 設備・保全 | 設備劣化、部品脱落、洗浄性、点検 | 異物や交差汚染の要因を確認する |
| 営業・顧客対応 | 取引先要求、苦情、使用方法 | 顧客要求と意図した用途を反映する |
危害要因を洗い出す基本手順
危害要因の洗い出しは、工程ごとに進めると整理しやすくなります。
まず、フローダイアグラムの各工程について、原材料、作業内容、使用設備、作業者、環境、前後工程、既存の管理手段を確認します。
そのうえで、その工程で発生、混入、増殖、残存、交差汚染、誤表示が起こる可能性を考えます。
洗い出しでは、最初から重要かどうかを絞り込みすぎないことが大切です。
まずは起こり得る危害要因を幅広く出し、その後に起こりやすさと重大性で評価します。
最初から「これは起こらないだろう」と除外すると、見落としにつながることがあります。
過去の不適合や他社の回収事例も参考にしましょう。
また、危害要因と品質問題を混同しないように注意します。
味、色、形、食感、賞味期限の短さなどは品質上の問題になることがありますが、食品安全上の健康被害につながるかどうかを区別して考える必要があります。
ただし、腐敗や表示ミス、アレルゲン誤表示など、品質と安全が重なるテーマは慎重に扱いましょう。
| ステップ | 実施内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1 | 工程を確認する | フローダイアグラムと現場実態を合わせる |
| 2 | 原材料と作業内容を確認する | 投入物、設備、作業者、環境を見る |
| 3 | 危害要因を幅広く洗い出す | 生物的、化学的、物理的、アレルゲンを確認する |
| 4 | 既存の管理手段を確認する | 今どの手順や記録で抑えているかを見る |
| 5 | 評価対象を整理する | 起こりやすさと重大性で判断する準備をする |
| 6 | 根拠を残す | 除外理由や判断理由を説明できるようにする |
生物的・化学的・物理的ハザードの見つけ方
ハザード分析では、生物的、化学的、物理的の3つの視点を基本にします。
生物的ハザードは、病原細菌、ウイルス、寄生虫、カビ毒などが関係します。
原材料由来、温度管理不足、加熱不足、冷却遅れ、作業者由来の汚染、清掃不備、交差汚染などから発生することがあります。
化学的ハザードには、洗浄剤や殺菌剤の残留、農薬や動物用医薬品、重金属、アレルゲン、食品添加物の誤使用、潤滑油の混入などがあります。
特にアレルゲンは、原材料管理、保管分離、ライン切替、洗浄確認、表示確認まで関係するため、単独の工程だけでなく全体の流れで見る必要があります。
物理的ハザードには、金属片、ガラス片、硬質プラスチック、石、木片、骨片、毛髪、設備部品などがあります。
設備の摩耗、照明や器具の破損、包装資材の破片、作業者の持ち込み品、原材料由来異物などが原因になり得ます。
物理的ハザードは、発生源、検出手段、除去手段、出荷前確認をセットで考えましょう。
| 種類 | 具体例 | 見つける視点 |
|---|---|---|
| 生物的ハザード | 病原細菌、ウイルス、寄生虫、カビ毒 | 温度、時間、加熱、冷却、汚染経路を確認する |
| 化学的ハザード | 洗浄剤、残留農薬、動物用医薬品、潤滑油 | 原材料、薬剤管理、設備保全、残留を確認する |
| アレルゲン | 特定原材料、交差接触、表示ミス | 保管、切替、洗浄、表示、包装資材を確認する |
| 物理的ハザード | 金属、ガラス、硬質プラスチック、石、骨片 | 設備破損、原料由来、持ち込み、検出工程を見る |
| 表示関連 | アレルゲン誤表示、保存方法誤表示 | ラベル発行、包装資材、切替時確認を見る |
原材料・工程・保管・出荷で見落としやすい危害要因
ハザード分析で見落としやすいのは、製造工程そのものではなく、その周辺にあるリスクです。
原材料では、仕入先変更、規格変更、代替原料、アレルゲン、農薬・動物用医薬品、異物、微生物汚染、包装破損などを確認します。
受入検査や仕入先評価だけでなく、原材料仕様書や規格書の更新も重要です。
工程では、通常作業だけでなく、立ち上げ、切替、停止、手直し、再加工、洗浄後の再開、一時保管、ライン詰まり、設備トラブル時の対応を確認します。
通常時は問題がなくても、非定常作業で交差汚染や温度逸脱、異物混入が起こることがあります。
保管・出荷では、温度帯、湿度、積み替え、先入れ先出し、保管期限、包装破損、ラベル違い、誤出荷、輸送中の温度逸脱などを確認します。
消費者がどのように扱うか、取引先が再加工するか、加熱せずに喫食するかによっても重大性は変わります。
ハザード分析では、自社工場内だけでなく、前後のフードチェーンも意識しましょう。
| 場面 | 見落としやすい要因 | 確認する記録・情報 |
|---|---|---|
| 原材料 | 仕入先変更、規格変更、アレルゲン、異物 | 原材料規格書、受入記録、仕入先評価 |
| 工程切替 | 洗浄不足、アレルゲン交差接触、ラベル混在 | 切替記録、洗浄確認、包装資材確認 |
| 非定常作業 | 再加工、手直し、一時保管、ライン停止 | 作業手順、保留記録、再開確認記録 |
| 設備 | 部品脱落、摩耗、潤滑油混入、洗浄しにくい箇所 | 点検記録、保全記録、清掃記録 |
| 保管 | 温度逸脱、先入れ先出し不備、包装破損 | 温度記録、在庫記録、保管点検 |
| 出荷・流通 | 誤出荷、輸送温度逸脱、積み替え時の破損 | 出荷記録、配送条件、クレーム記録 |
危害要因を評価する際の起こりやすさと重大性の考え方
危害要因を洗い出した後は、それぞれのハザードを評価します。
ISO22000のハザード評価では、管理手段を適用する前に最終製品中で発生する起こりやすさと、意図した用途に関連して起きる健康への悪影響の重大性を考えることが重要です。
すでに管理しているから低いと判断するのではなく、管理手段を適用する前のリスクとして評価する点に注意します。
起こりやすさは、原材料の性質、工程条件、過去の発生状況、設備や環境、作業者の関与、温度や時間、交差汚染の可能性などから考えます。
重大性は、発生した場合に消費者へどの程度の健康被害が起こるか、対象消費者が乳幼児、高齢者、免疫が低い人などを含むか、加熱せずに喫食されるかなどを踏まえて考えます。
評価方法は、点数方式でもランク方式でも構いませんが、チーム内で判断基準をそろえる必要があります。
担当者ごとに感覚で点数を付けると、重要ハザードの判断にばらつきが出ます。
評価基準、情報源、判断理由を残し、後から説明できるようにしましょう。
| 評価軸 | 確認する内容 | 根拠になりやすい情報 |
|---|---|---|
| 起こりやすさ | 管理前に発生・混入・増殖・残存する可能性 | 過去不適合、原料特性、工程条件、検査結果 |
| 重大性 | 健康被害の程度 | 食中毒事例、対象消費者、喫食方法、法令 |
| 意図した用途 | 加熱して食べるか、そのまま食べるか | 製品表示、取引先仕様、使用方法 |
| 対象消費者 | 一般消費者か、影響を受けやすい人か | 製品用途、販売先、顧客要求 |
| 管理前提 | 既存管理手段を適用する前のリスク | 評価基準、分析表、チーム判断 |
許容水準をどう考えるか
許容水準とは、最終製品において食品安全ハザードがどの水準までであれば許容できるかを考えるための基準です。
ハザード分析では、危害要因を特定するだけでなく、最終製品としてどの状態を安全とみなすのかを整理する必要があります。
許容水準を考えるときは、法令・規格、顧客要求、業界基準、科学的知見、製品特性、意図した用途、対象消費者を確認します。
たとえば、加熱して喫食する製品とそのまま食べる製品では、同じハザードでも重大性や必要な管理水準が変わります。
乳幼児や高齢者向けの食品では、より慎重な判断が必要になることがあります。
許容水準は、OPRPやCCPの管理基準を決める前提にもなります。
ただし、許容水準、処置基準、許容限界を混同しないようにしましょう。
許容水準は最終製品としての食品安全上の受け入れ水準、処置基準はOPRPでの管理基準、許容限界はCCPでの管理基準として整理すると理解しやすくなります。
| 確認材料 | 確認する内容 | 実務ポイント |
|---|---|---|
| 法令・基準 | 食品衛生法、規格基準、通知、業界基準 | 最低限守るべき水準を確認する |
| 顧客要求 | 取引先規格、品質保証協定、仕様書 | 法令より厳しい要求がないか見る |
| 製品特性 | 水分活性、pH、保存温度、包装形態 | ハザードの増殖や残存に関係する |
| 意図した用途 | そのまま喫食、加熱調理、再加工 | 消費者側の使い方を前提にする |
| 対象消費者 | 一般消費者、乳幼児、高齢者、病院食 | 重大性の判断に反映する |
| 科学的根拠 | 文献、検査データ、妥当性確認結果 | 基準設定の説明材料にする |
管理手段を決める流れ
重要な食品安全ハザードを特定したら、そのハザードをどの管理手段で予防、除去、または許容水準まで低減するかを決めます。
管理手段には、PRP、OPRP、CCP、手順書、設備管理、洗浄、温度管理、加熱、金属検出、アレルゲン切替確認、仕入先管理、表示確認などがあります。
管理手段を決めるときは、単に「この工程で管理する」と書くだけでは不十分です。
その管理手段が対象ハザードに本当に効くのか、どの基準で確認するのか、誰がどの頻度で監視するのか、基準外時にどの製品へ影響するのか、記録で追えるのかを整理します。
複数の管理手段を組み合わせる場合は、どれが主要な管理で、どれが補完的な管理かも明確にします。
また、管理手段は現場で実行できるものでなければなりません。
理論上は有効でも、測定できない、記録できない、作業者が理解できない、頻度が高すぎて続かない管理では形骸化します。
食品安全上必要な厳しさと、現場で継続できる運用のバランスを取りましょう。
| 確認項目 | 確認する内容 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 対象ハザード | 何を予防・除去・低減するのか | ハザード分析表とつなげる |
| 管理効果 | その手段でハザードを抑えられるか | 妥当性確認や根拠を確認する |
| 基準 | 処置基準や許容限界を設定できるか | 測定・観察できる形にする |
| 監視方法 | 誰が、何を、どの頻度で確認するか | 現場で続けられる方法にする |
| 逸脱時対応 | 基準外時に製品をどう扱うか | 保留、隔離、再処理、廃棄を決める |
| 記録 | 管理した証拠が残るか | 審査で追える帳票にする |
PRP・OPRP・CCPをどう分類するか
管理手段を決めたら、それをPRP、OPRP、CCPのどれとして扱うかを整理します。
PRPは、食品安全の土台となる一般的な衛生管理です。
清掃、害虫防除、従業員衛生、設備保全、保管管理、交差汚染防止などが該当します。
重要ハザードを直接管理するというより、安全な製造環境を維持する基盤です。
OPRPは、ハザード分析の結果、重要な食品安全ハザードを管理するために必要と判断された運用上の管理手段です。
処置基準を設定し、測定または観察によって管理します。
冷却、包装、洗浄確認、アレルゲン切替、清潔区域管理など、会社の工程によってOPRPとして整理されることがあります。
CCPは、許容限界を設定して重点的に管理する工程です。
加熱殺菌、金属検出、冷却などがCCPになり得ますが、工程名だけで決めるものではありません。
同じ金属検出でも、最終出荷判断に直結する場合と、工程内確認の一部である場合では分類が変わることがあります。
分類結果ではなく、なぜその分類にしたかを説明できることが重要です。
| 区分 | 役割 | 基準 | 例 |
|---|---|---|---|
| PRP | 食品安全管理の土台を整える | 衛生管理上の基準 | 清掃、害虫防除、従業員衛生、設備保全 |
| OPRP | 重要ハザードを運用上管理する | 処置基準 | 冷却、洗浄確認、アレルゲン切替、包装確認 |
| CCP | 重要ハザードを重点的に管理する | 許容限界 | 加熱殺菌、金属検出、重要な冷却工程 |
| 判断根拠 | ハザード分析と管理手段の有効性 | 評価基準と分類基準 | 工程名だけでは決めない |
| 見直し | 工程・製品・設備変更時に再評価する | 内部監査や検証結果 | 分類の妥当性を確認する |
ハザード分析表に残すべき記録と根拠
ハザード分析表には、単に危害要因の名称を並べるだけでなく、判断の根拠を残すことが重要です。
審査や見直しの場面では、なぜそのハザードを重要と判断したのか、なぜ重要ではないと判断したのか、どの管理手段で管理するのかを説明できる必要があります。
基本的には、工程、投入物、想定されるハザード、ハザードの種類、発生要因、起こりやすさ、重大性、評価結果、重要ハザードかどうか、既存の管理手段、追加管理の要否、PRP・OPRP・CCPの分類、管理基準、記録様式、判断根拠を整理します。
表が大きくなりすぎる場合は、ハザード分析表、OPRP管理表、HACCPプランに分けて整理しても構いません。
また、判断根拠には、法令、顧客要求、原材料規格、検査結果、過去の不適合、クレーム、回収事例、設備仕様、妥当性確認結果などを使います。
根拠が曖昧なままだと、担当者が変わったときに判断を引き継げず、審査でも説明しにくくなります。
| 項目 | 記載内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 工程 | 受入、保管、加工、加熱、包装、出荷など | どこで発生するハザードか明確にする |
| ハザード | 生物的、化学的、物理的、アレルゲンなど | 対象となる危害要因を特定する |
| 発生要因 | 混入、増殖、残存、交差汚染、誤表示 | 管理すべき原因を整理する |
| 評価 | 起こりやすさ、重大性、評価結果 | 重要ハザードを判断する |
| 管理手段 | PRP、OPRP、CCP、その他手順 | どの手段で抑えるかを示す |
| 判断根拠 | 法令、顧客要求、検査結果、過去情報 | 審査や見直しで説明できるようにする |
審査で確認されやすいポイントとよくある不備
ISO22000の審査では、ハザード分析表が存在するかだけでなく、分析の前提、評価方法、判断根拠、管理手段とのつながりが確認されます。
特に、フローダイアグラムが現場実態と合っているか、すべての工程で危害要因が検討されているか、評価基準が明確か、重要ハザードの判断理由が説明できるかは見られやすいポイントです。
よくある不備としては、工程の抜け漏れ、現場確認の不足、原材料由来ハザードの見落とし、アレルゲンや表示ミスの軽視、起こりやすさと重大性の評価根拠不足、OPRPとCCPの分類根拠不足、管理手段と記録の不一致があります。
分析表では重要と判断しているのに、現場記録がない場合も注意が必要です。
審査前には、食品安全チームでハザード分析表を読み合わせ、工程ごとに「このハザードはなぜ重要か」「どの管理手段で抑えているか」「基準外時に何をするか」「記録はどこにあるか」を説明できる状態にしましょう。
現場担当者にも、自分の作業がどの食品安全ハザードを防ぐためのものかを伝えておくと、審査対応だけでなく運用の質も高まります。
| 確認項目 | 見られること | よくある不備 |
|---|---|---|
| フローダイアグラム | 現場実態と合っているか | 一時保管、再加工、委託工程が抜けている |
| 危害要因の洗い出し | 工程ごとに検討されているか | アレルゲン、表示、保管リスクが弱い |
| 評価方法 | 起こりやすさと重大性の基準があるか | 担当者の感覚で点数が決まっている |
| 重要ハザード | 判断理由が説明できるか | 重要とした根拠や除外理由がない |
| 管理手段 | PRP、OPRP、CCPとつながっているか | 分析表と管理表、記録が一致しない |
| 見直し | 変更時に再評価しているか | 原材料や工程変更後も古い分析のまま |
ISO22000のハザード分析を形だけで終わらせないために
ISO22000のハザード分析は、認証取得のために一度作って終わる資料ではありません。
製品、原材料、工程、設備、包装形態、保管条件、顧客要求、法令、クレーム、不適合が変われば、ハザード分析も見直す必要があります。
分析表が古いままだと、現場の実態とずれ、食品安全上のリスクを見落とす可能性があります。
形だけで終わらせないためには、ハザード分析表を現場の記録、教育、内部監査、マネジメントレビュー、是正処置とつなげることが重要です。
重要ハザードを管理するための記録が残っているか、基準外時に処置できているか、検証結果を見直しに反映しているかを定期的に確認しましょう。
自社だけでハザード分析を整理するのが難しい場合は、ISO22000に詳しいコンサル会社の支援内容を比較するのも一つの方法です。
特に、初回認証、OPRP・CCP分類、ハザード分析表の見直し、審査前確認では、外部の視点があることで、見落としや根拠不足に気づきやすくなります。
ISOコンサル会社選びで迷ったら、まずは比較してみましょう。
目的や規格に合う会社を整理し、取得までの進め方を確認できます。
おすすめ会社を見るよくある質問
ISO22000のハザード分析とは何ですか?
ISO22000のハザード分析とは、食品安全に影響する危害要因を特定し、それぞれの起こりやすさと重大性を評価し、どの管理手段で予防・除去・低減するかを決める作業です。
PRP、OPRP、CCP、ハザード管理プランの土台になります。
ハザード分析ではどのような危害要因を扱いますか?
主に生物的ハザード、化学的ハザード、物理的ハザードを扱います。
実務では、アレルゲン、交差汚染、表示ミス、温度逸脱、保管・流通条件、原材料由来のリスクなども食品安全上の観点として確認します。
ハザード分析を始める前に何を準備すべきですか?
製品情報、原材料情報、添加物、アレルゲン、包装形態、保存条件、賞味期限、意図した用途、対象消費者、フローダイアグラム、現場確認結果、法令・顧客要求、過去の不適合やクレームを準備すると分析しやすくなります。
危害要因の評価では何を見ますか?
危害要因の評価では、管理手段を適用する前に最終製品中で発生する起こりやすさと、意図した用途に関連して起きる健康への悪影響の重大性を見ます。
過去の不適合、検査結果、原材料特性、対象消費者、喫食方法などを根拠に判断します。
PRP、OPRP、CCPはどう分ければよいですか?
PRPは食品安全管理の土台となる一般衛生管理、OPRPは重要ハザードを運用上管理する手段、CCPは許容限界を設定して重点的に管理する工程です。
工程名だけで決めず、ハザード分析、管理手段の有効性、基準外時の製品影響を踏まえて分類します。
ハザード分析表には何を記載すべきですか?
工程、想定されるハザード、ハザードの種類、発生要因、起こりやすさ、重大性、評価結果、重要ハザードかどうか、管理手段、PRP・OPRP・CCPの分類、判断根拠、関連記録などを記載すると、審査や見直しで説明しやすくなります。
ISO22000の審査ではハザード分析のどこを見られますか?
審査では、フローダイアグラムが現場実態と合っているか、危害要因が工程ごとに洗い出されているか、評価方法と判断根拠が明確か、重要ハザードと管理手段がつながっているか、OPRP・CCP分類や記録が妥当かを確認されやすいです。
ハザード分析は一度作れば終わりですか?
一度作って終わりではありません。
製品、原材料、工程、設備、包装形態、保管条件、顧客要求、法令、クレーム、不適合などが変わった場合は見直しが必要です。
内部監査やマネジメントレビューでも定期的に確認しましょう。
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監修者コメント
競合上位にはハザード分析の基礎、危害要因3分類、分析表の作り方を説明する記事が多い一方、ISO22000の8章運用、OPRP・CCP分類、審査で問われる判断根拠、現場を巻き込んだ分析の進め方まで踏み込んだ記事は少ない。
本記事では専門コンテンツとして、単なるHACCP解説ではなく、ISO22000認証・運用で使えるハザード分析の実務に焦点を当てた。
公開前にCMS側のカテゴリー名が `ISO22000専門コンテンツ`、URL階層が `/column/iso22000/expert/` で問題ないか確認すること。