ISO審査60日前の記録レビュー|抜け漏れを見つける確認手順
株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
監修者情報 金光 壮太
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。
これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。
イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
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株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。 これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。 イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
これまで多数のISO認証取得・運用支援に携わっています。
- ISO9001(品質マネジメントシステム)
- ISO14001(環境マネジメントシステム)
- ISO27001(ISMS)
- ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)
- ISO認証取得支援
- ISO運用支援
- 更新審査・再認証審査支援
- 内部監査支援
- マネジメントレビュー支援
- ISOコンサル会社の比較・調査・監修
ISO審査の60日前は、審査準備を「探す段階」から「説明できる状態に整える段階」へ進める時期です。 90日前に不足している仕組みや記録を洗い出したら、次は実際の記録を一つずつ確認し、抜け漏れ、保存場所、対象期間、承認、版管理、関連記録とのつながりを整えていく必要があります。 審査で見られる記録は、単にファイルに入っていればよいわけではありません。 いつ、誰が、何を実施し、どの基準で判断し、結果をどう改善につなげたのかが説明できることが重要です。 教育記録、内部監査記録、是正処置記録、マネジメントレビュー議事録、現場の点検記録が別々に存在していても、内容がつながっていなければ、運用が回っている証拠として弱くなります。 この記事では、ISO審査60日前に行う記録レビューの手順を整理します。 対象期間の決め方、記録一覧表の作り方、保存場所と責任者の確認、日付・承認・空欄の見方、記録同士の整合性、電子データや紙ファイルの見せ方、抜け漏れ発見時の対応まで、審査当日に慌てないための実務に落とし込んで解説します。
この記事でわかること
- ISO審査60日前は、記録を探す段階ではなく、審査で説明できる証拠として整える段階です。
- 90日前に作った不足リストを、記録名、対象期間、保存場所、責任者、確認状況を入れたレビュー表に変換しましょう。
- 記録レビューでは、記録があるかだけでなく、日付、担当者、承認、版数、空欄、保存期間、関連記録との整合性を確認します。
- 抜け漏れが見つかった場合は、後から正しく補える記録、説明準備が必要な記録、補ってはいけない記録に分けて対応します。
- 審査当日に慌てないためには、紙ファイル、電子データ、クラウド保存のどこに何があるかを部門別に整理し、30日前までの対応担当を決めることが重要です。
ISO審査60日前は、記録を「探す段階」から「説明できる状態に整える段階」
ISO審査60日前に行うべきことは、審査で使いそうな記録を何となく集めることではありません。
90日前に不足している仕組みや記録を洗い出したら、60日前には、実際の記録を審査で説明できる状態へ整える必要があります。
審査員は、記録がファイルに入っているかだけを見るわけではありません。
その記録がいつ作られ、誰が確認し、どの業務や判断につながり、必要な改善が行われているかを確認します。
つまり記録は、審査当日に見せる資料ではなく、ISO運用が実際に回っていることを示す証拠です。
60日前の記録レビューでは、記録名、対象期間、保存場所、責任者、最新版、承認、空欄、関連記録とのつながりを確認します。
この段階で抜け漏れを見つけておけば、30日前までに補足確認、部門連絡、説明準備、保存場所の整理を進められます。
60日前は、記録を集めるだけでなく、審査で質問されても説明できる証拠として整える時期です。
イソログに寄せられたリアルな声
ISO審査前の記録レビューに関する相談では、「記録はあるはずだが保存場所が部門ごとに違う」「教育記録と力量表の内容が合っていない」「内部監査の指摘はあるが是正完了の記録が見つからない」といった声が多くあります。
記録レビューで難しいのは、記録の有無だけを見ても十分ではないことです。
記録があっても、対象期間が足りない、承認が抜けている、関連する是正処置とつながっていない、現場の実態と違う、電子データの場所を担当者しか知らない、という状態では審査当日に説明しにくくなります。
ここでは、イソログに寄せられる相談傾向をもとに、ISO審査60日前の記録レビューでつまずきやすい場面を整理します。
ISO審査60日前の記録レビューで起きやすい迷いや確認漏れを、担当者の相談傾向として整理しました。
Cases
失敗談・相談事例
取得前に確認しておきたい実務上のつまずきを、横にスライドして確認できます。
記録はあるはずなのに、どのフォルダにあるか担当者しか分からなかった
イソログ相談事例
点検記録や教育記録は各部門で保管されていましたが、紙ファイル、共有フォルダ、個人PC、クラウドに分かれており、審査当日にすぐ提示できる状態ではありませんでした。
記録レビューでは、記録の有無だけでなく、保存場所、ファイル名、責任者、提示方法まで一覧化しておくことが大切です。
教育記録はあるが、力量表や作業許可と内容が合っていなかった
イソログ相談事例
教育を実施した記録は残っていましたが、力量評価表が更新されておらず、誰がどの作業を担当できるのか説明しにくい状態でした。
記録は単体で見るのではなく、教育記録、力量表、資格台帳、作業担当表がつながっているかを確認しましょう。
内部監査の指摘は記録されていたが、是正完了の証拠が見つからなかった
イソログ相談事例
内部監査報告書には不適合や観察事項が書かれていましたが、原因分析、是正処置、効果確認の記録が別ファイルになっており、完了状況をすぐに説明できませんでした。
内部監査記録は、指摘事項だけでなく、是正処置、効果確認、完了日まで追える形で整理しておく必要があります。
クラウド保存にしていたが、審査で見せる画面や権限を準備していなかった
イソログ相談事例
記録はクラウド上に保存されていましたが、審査当日に表示する担当者が不在で、アクセス権や検索方法も共有されていませんでした。
電子データは保存して終わりではありません。
審査当日に誰がどの画面で提示するか、検索方法と権限を確認しておきましょう。
抜けている記録を後から作ってよいのか判断できなかった
イソログ相談事例
一部の点検記録に空欄や未記入期間があり、審査前に埋めた方がよいのか、そのまま説明した方がよいのか判断に迷いました。
実施事実がある記録の補足と、実施していない活動を実施済みのように見せる記録は分けて考えます。
事実に基づく補足と説明準備を優先しましょう。
90日前の不足リストを、記録レビュー用の確認表に変換する
60日前の記録レビューは、90日前に作った不足リストをそのまま眺めるだけでは進みません。
不足リストを、記録レビュー用の確認表に変換することから始めます。
確認表には、記録名、対象業務、対象期間、保存場所、責任者、関連文書、確認状況、不足内容、30日前までの対応を入れます。
たとえば、90日前の不足リストに「教育記録が不足している」とだけ書かれている場合、60日前には、どの教育の記録か、誰が対象か、いつ実施したものか、教育後の理解確認があるか、力量表に反映されているかまで分解します。
抽象的な不足を、確認できる記録単位に落とすことが重要です。
確認表を作ると、ISO担当者だけで抱えていた課題を部門ごとに共有しやすくなります。
どの部門が、どの記録を、いつまでに確認するかが見えるため、30日前までの対応計画にもつなげやすくなります。
60日前のレビューでは、90日前の抽象的な不足を、実際に確認できる記録単位へ落とし込みます。
| 項目 | 記入する内容 | 確認の目的 |
|---|---|---|
| 記録名 | 教育記録、点検記録、監査記録、議事録など | 確認対象を具体化する |
| 対象業務・部門 | どの業務、どの部門に関係する記録か | 確認依頼先を明確にする |
| 対象期間 | 審査で見られる可能性がある期間 | 不足期間を判断する |
| 保存場所 | 紙ファイル、共有フォルダ、システム、クラウドなど | 審査当日に提示できるようにする |
| 責任者 | 記録の作成、確認、保管を担当する人 | 修正や説明の窓口を決める |
| 関連記録 | 力量表、是正処置、レビュー議事録など | 記録同士の整合性を見る |
| 不足内容 | 空欄、未承認、期間不足、保存場所不明など | 30日前までの対応を決める |
まず対象期間を決める|初回・維持・更新で見る記録の範囲
記録レビューを始める前に、どの期間の記録を見るかを決めます。
対象期間が曖昧なまま確認を始めると、担当者によって見る範囲が変わり、抜け漏れの判断もぶれます。
初回審査では、仕組みを作ってから実際に運用した期間の記録が中心になります。
維持審査では、前回審査以降の運用状況が見られやすくなります。
更新審査では、認証期間全体の運用実績や、過去の指摘への対応、継続的改善の流れまで確認されることがあります。
60日前には、審査種別と審査計画をもとに、記録の対象期間を部門へ共有します。
すべての記録を同じ期間で見るのではなく、教育、内部監査、マネジメントレビュー、是正処置、日常点検など、記録の種類ごとに必要な期間を決めると確認しやすくなります。
| 審査種別 | 主に見る記録の範囲 | 60日前に確認すること |
|---|---|---|
| 初回審査 | 運用開始後の初期記録、内部監査、マネジメントレビュー | 仕組みを作っただけでなく運用記録があるか |
| 維持審査 | 前回審査以降の運用記録、前回指摘への対応 | 1年間の記録が部門ごとに保存されているか |
| 更新審査 | 認証期間全体の主要記録、改善の流れ | 複数年分の監査、レビュー、是正、目標管理が追えるか |
| 拡大審査 | 追加部門、追加拠点、追加業務の運用記録 | 追加範囲に必要な記録がそろっているか |
| 移行審査 | 規格変更への対応、教育、文書改訂、運用変更記録 | 変更点への対応が記録で説明できるか |
対象期間を先に決めると、記録の不足が本当に不足なのか、そもそも対象外なのかを判断しやすくなります。
記録一覧表を作り、保存場所・責任者・最新版をそろえる
記録レビューの中心になるのが記録一覧表です。
記録一覧表には、審査で確認される可能性がある記録を並べ、保存場所、責任者、最新版、対象期間、提示方法を記入します。
これがないと、審査当日に担当者が記録を探し回ることになります。
記録一覧表は、ISO事務局だけで作るより、部門責任者や記録の管理担当者と一緒に確認した方が現実に合います。
紙ファイルに保存している記録、共有フォルダに保存している記録、業務システム上に残っている記録、クラウド上の申請履歴など、保存形式が混在していることが多いためです。
最新版の確認も重要です。
古い帳票を使い続けている、改訂後の様式が一部部門に伝わっていない、ファイル名だけでは版数が分からない、といった状態は審査で説明しにくくなります。
60日前の段階で、記録の保存場所と最新版の扱いをそろえておきましょう。
記録一覧表は、審査当日に記録を探さないための地図です。
保存場所と責任者まで必ず入れましょう。
| 項目 | 記入例 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 記録名 | 教育実施記録、内部監査報告書、点検表 | 正式名称と現場での呼び名をそろえる |
| 保存場所 | 総務共有フォルダ、品質管理ファイル、業務システム | 審査当日にすぐ提示できるか確認する |
| 責任者 | 総務担当、品質責任者、部門長など | 問い合わせ先を明確にする |
| 対象期間 | 前回審査以降、直近1年、過去3年など | 審査種別に合っているか確認する |
| 最新版 | 様式番号、改訂日、版数 | 古い様式と混在していないか見る |
| 提示方法 | 紙で提示、画面表示、PDF出力など | 当日の見せ方を決める |
| 確認状況 | 確認済み、要修正、要説明、未確認 | 30日前までの対応を管理する |
審査で聞かれやすい記録を優先順位で分ける
すべての記録を同じ深さで確認しようとすると、60日前からでは時間が足りなくなることがあります。
まずは審査で聞かれやすい記録を優先順位で分けましょう。
優先度が高いのは、規格要求に直結する記録、前回指摘と関係する記録、対象部門の運用実態を示す記録、経営判断や是正処置につながる記録です。
たとえば、内部監査、マネジメントレビュー、是正処置、教育・力量、目標管理、顧客苦情、不適合、法令順守、委託先管理などは、多くの規格で確認されやすい領域です。
現場では、点検表、検査記録、作業記録、設備管理記録、アクセス権確認記録など、自社の業務に応じた記録も重要になります。
優先順位を決めるときは、審査員が確認しそうな記録だけでなく、自社として説明できないと困る記録も含めます。
審査で必ず聞かれるかどうかではなく、聞かれたときに根拠として使えるかを基準にしましょう。
| 優先度 | 記録の例 | 優先する理由 |
|---|---|---|
| 高 | 内部監査、是正処置、マネジメントレビュー | マネジメントシステムの有効性を示す中心記録だから |
| 高 | 教育・力量、資格、作業許可 | 人が適切に業務を行える根拠になるから |
| 高 | 前回指摘、観察事項、不適合への対応記録 | 過去の課題への改善状況を示すから |
| 中 | 目標管理、会議記録、部門別活動記録 | 計画と実績のつながりを説明するため |
| 中 | 点検、検査、確認、保守、アクセス権確認など | 現場運用の実態を示すため |
| 低 | 審査対象外の古い参考資料、過去様式、重複保存物 | 誤って提示しないよう整理するため |
優先順位を付ける目的は、重要記録を先に整え、審査当日に説明できない状態を避けることです。
日付・担当者・承認・版数・空欄を確認する
記録レビューでは、記録があるかだけでなく、記録の中身を確認します。
特に見落としやすいのが、日付、担当者、承認、版数、空欄です。
これらが抜けていると、記録の信頼性や運用の一貫性を説明しにくくなります。
日付は、活動がいつ行われたかを示す基本情報です。
担当者や承認者は、誰が実施し、誰が確認したかを示します。
版数や改訂日は、最新の様式を使っているかを確認するために必要です。
空欄は、該当なしなのか、記入漏れなのかを判断しなければなりません。
60日前の段階では、細かい記入ミスを責めるより、記録として説明できる状態かを見ます。
空欄を見つけたら、実施事実があるのか、該当なしなのか、記入ルールが曖昧なのかを確認し、必要に応じて部門へ確認します。
日付、担当者、承認、版数、空欄は、記録の信頼性を支える基本項目です。
60日前にまとめて確認しましょう。
| 確認項目 | 見る内容 | よくある抜け漏れ |
|---|---|---|
| 日付 | 実施日、確認日、承認日が分かるか | 実施日だけあり承認日がない |
| 担当者 | 作成者、実施者、確認者が明確か | 部署名だけで個人や役割が不明 |
| 承認 | 必要な承認や確認が完了しているか | 承認欄が空欄のまま保管されている |
| 版数 | 最新版の様式や手順に基づいているか | 旧様式と新様式が混在している |
| 空欄 | 該当なし、未実施、記入漏れの区別があるか | 空欄の理由が分からない |
| 保存期間 | 必要な期間、記録が保存されているか | 古い記録が廃棄済みで説明できない |
| ファイル名 | 年月、部門、記録名が分かるか | 似た名前のファイルが複数ある |
記録同士の整合性を見る|教育・監査・是正・レビューがつながっているか
記録レビューで特に重要なのが、記録同士の整合性です。
教育記録、内部監査記録、是正処置記録、マネジメントレビュー議事録、目標管理記録が別々に存在していても、内容がつながっていなければ、仕組みが回っている証拠として弱くなります。
たとえば、内部監査で教育不足が指摘されているのに、是正処置に教育計画がなく、マネジメントレビューにも報告されていない場合、課題が改善につながっているか説明しにくくなります。
逆に、監査指摘、原因分析、是正、教育、効果確認、レビュー報告がつながっていれば、PDCAが回っていることを示しやすくなります。
60日前には、重要な記録を横断して確認します。
単独の記録がきれいかどうかより、課題が発見され、対応され、確認され、必要に応じて経営層へ報告されているかを見ます。
| つなげて見る記録 | 確認するつながり | 整合していない例 |
|---|---|---|
| 教育記録と力量表 | 教育後に力量評価や作業許可へ反映されているか | 教育済みなのに力量表が未更新 |
| 内部監査と是正処置 | 指摘事項が原因分析、処置、効果確認まで進んでいるか | 監査指摘だけあり是正記録がない |
| 不適合記録と再発防止 | 発生内容から原因と再発防止がつながっているか | 応急処置だけで原因分析がない |
| 目標管理とレビュー | 目標の達成状況が経営層へ報告されているか | 未達なのにレビューで触れていない |
| 前回指摘と改善記録 | 前回指摘への対応が完了し、効果確認されているか | 対応予定のまま止まっている |
| 現場記録と手順書 | 手順で決めた記録が実際に残っているか | 手順書にない独自帳票だけ使っている |
記録レビューでは、記録を縦に見るだけでなく、関連する記録を横につなげて確認することが大切です。
現場記録が手順書どおりに残っているか確認する
現場記録は、ISOの仕組みが実際に運用されていることを示す重要な証拠です。
点検表、検査記録、作業記録、設備保守記録、入退室記録、アクセス権確認、廃棄物管理記録など、規格や業務によって確認対象は変わります。
60日前の現場記録レビューでは、手順書で決めた記録が実際に残っているかを確認します。
現場では、手順書と違う帳票を使っている、紙からシステムに変わったが文書が更新されていない、記録はあるが保存場所が部門内だけで共有されていない、といったことが起こりやすくなります。
現場記録を見るときは、記録の有無だけでなく、現場担当者がその記録の意味を説明できるかも確認します。
なぜその点検をするのか、異常があったらどうするのか、誰が確認するのかが説明できれば、記録が単なる書類ではなく運用に使われていることを示しやすくなります。
現場記録は、手順書どおりに残っているかだけでなく、現場がその意味を説明できるかまで確認しましょう。
| 確認項目 | 見る内容 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 手順との一致 | 手順書で定めた記録が残っているか | 手順書と実際の帳票を照合する |
| 記入タイミング | 実施時、日次、月次など決めた頻度で記録しているか | 日付の間隔や未記入期間を見る |
| 異常時対応 | 異常や不適合が出たときの処置が残っているか | 異常欄と是正記録をつなげる |
| 確認者 | 責任者や承認者が確認しているか | 押印、署名、電子承認を確認する |
| 保存場所 | 現場、事務所、共有フォルダ、システムのどこか | 審査時に提示できる方法を確認する |
| 現場説明 | 担当者が記録の目的を説明できるか | 記録を見ながら短くヒアリングする |
電子データ・紙ファイル・クラウド保存の見せ方を整える
近年は、ISO記録の保存形式が一つに統一されていない会社が多くあります。
紙ファイル、Excel、PDF、業務システム、クラウドストレージ、ワークフロー履歴などが混在している場合、審査当日にどのように見せるかを60日前に決めておく必要があります。
紙ファイルの場合は、背表紙、目次、対象期間、保管場所を整理します。
電子データの場合は、フォルダ階層、ファイル名、アクセス権、検索方法、表示端末を確認します。
クラウド保存の場合は、審査当日にログインできる担当者、閲覧権限、画面共有の方法、必要に応じたPDF出力方法を確認します。
重要なのは、すべてを印刷することではありません。
審査員が確認したい記録を、必要なタイミングで、正しい版で、無理なく提示できることです。
形式よりも、記録の所在と提示方法が明確であることを重視しましょう。
| 保存形式 | 確認すること | 審査前の準備 |
|---|---|---|
| 紙ファイル | 背表紙、目次、対象期間、保管場所 | 審査対象期間の記録を探しやすくする |
| Excel・PDF | ファイル名、更新日、保存フォルダ、版数 | 最新版と過去版を混同しないようにする |
| 業務システム | 検索条件、表示画面、出力方法 | 担当者不在でも表示できるようにする |
| クラウド保存 | アクセス権、共有範囲、ログイン方法 | 審査当日の閲覧権限を確認する |
| ワークフロー | 申請、承認、差戻し、完了履歴 | 承認証跡を画面で説明できるようにする |
| メール・チャット | 正式記録として扱うかどうか | 必要ならPDF化や記録台帳への転記ルールを確認する |
電子データやクラウド保存は便利ですが、審査当日に誰がどう提示するかまで決めておかないと記録を見せられないことがあります。
抜け漏れがある記録を一覧化し、原因と影響を整理する
記録レビューで抜け漏れが見つかったら、すぐに個別対応へ走るのではなく、まず一覧化します。
抜け漏れ記録一覧には、記録名、対象部門、対象期間、不足内容、原因、影響、対応方針、担当者、期限を入れます。
原因を整理する理由は、単なる記入漏れなのか、運用ルールが曖昧だったのか、担当者交代で引き継ぎが抜けたのか、そもそも活動が実施されていなかったのかで対応が変わるためです。
影響を整理する理由は、その記録不足が審査でどのように説明されるべきかを判断するためです。
抜け漏れを一覧化すると、同じ原因が複数部門で起きていることも見えてきます。
たとえば、帳票の保存場所が部門ごとに違う、承認欄の意味が共有されていない、旧様式が残っている、といった問題は、個別記録の修正だけでなくルールの見直しが必要です。
抜け漏れは、見つけた順に直すのではなく、一覧化して原因と影響を見てから対応を決めましょう。
| 項目 | 書く内容 | 使い方 |
|---|---|---|
| 記録名 | 不足が見つかった記録 | 対象を明確にする |
| 対象部門 | 不足が発生した部門や拠点 | 確認依頼先を決める |
| 対象期間 | 何月分、前回審査以降、過去3年など | 不足範囲を判断する |
| 不足内容 | 未作成、空欄、未承認、保存場所不明など | 対応の種類を分ける |
| 原因 | 記入ルール不明、担当者変更、運用未実施など | 再発防止につなげる |
| 影響 | 審査で説明が必要か、関連記録へ影響するか | 優先順位を決める |
| 対応方針 | 補足、説明準備、ルール見直し、是正処置など | 30日前までの対応へつなげる |
後から補ってよい記録・補ってはいけない記録を分ける
記録の抜け漏れが見つかったときに、最も注意したいのが後追い対応です。
実施した事実があるのに記入漏れや保存漏れがあった場合と、そもそも活動を実施していなかった場合では対応が違います。
この2つを混同すると、審査で信頼を落とす原因になります。
後から補ってよい可能性があるのは、実施事実を別の証拠で確認できる記録です。
たとえば、教育を実施したことが出席者メールや研修資料で確認できる、承認がシステム履歴に残っている、点検自体は実施しており担当者メモやシステムログがある、といったケースです。
この場合も、いつ、何を根拠に補足したのかを分かるようにしておく必要があります。
一方、実施していない点検、開催していない会議、参加していない教育、確認していない承認を、実施済みのように記録することは避けるべきです。
その場合は、事実として不足を整理し、原因、影響、今後の運用、必要に応じた是正処置を説明できるようにします。
| 分類 | 例 | 対応方針 |
|---|---|---|
| 補足できる可能性がある | 実施済み教育の参加者名簿だけ未整理 | 根拠資料を確認し、補足日と理由を残す |
| 補足できる可能性がある | 承認済みだが承認欄への転記が漏れている | 承認履歴を確認して修正経緯を明確にする |
| 説明準備が必要 | 一部期間だけ点検記録が抜けている | 不足期間、原因、再発防止を整理する |
| 説明準備が必要 | 保存場所変更で一部記録が見つからない | 探索状況と今後の保存ルールを説明する |
| 補ってはいけない | 実施していない点検を実施済みにする | 虚偽記録に見える対応を避ける |
| 補ってはいけない | 参加していない人の教育記録を作る | 未実施として扱い、必要なら新たに教育を行う |
後から補う場合でも、事実に基づく補足であることが前提です。
実施していない活動を実施済みに見せる対応は避けましょう。
部門別に記録確認を依頼するときの進め方
記録レビューは、ISO担当者だけで完結しません。
現場記録、教育記録、点検記録、委託先管理記録、アクセス権確認記録などは、実際に管理している部門に確認しなければ正確な状態が分かりません。
部門へ記録確認を依頼するときは、単に「記録を確認してください」と伝えるだけでは不十分です。
確認対象、対象期間、保存場所、確認項目、提出期限、抜け漏れが見つかったときの報告方法を明確にします。
可能であれば、部門別の確認表を渡し、記録名ごとに確認済み、要修正、要説明、未確認を選べるようにします。
また、部門に依頼する前に、審査でその記録がなぜ必要なのかを短く説明しておくと協力を得やすくなります。
記録確認は、ISO担当者のための作業ではなく、部門が自分たちの運用を説明するための準備だと伝えましょう。
部門へ記録確認を依頼するときは、対象、期間、確認項目、期限、報告方法までセットで伝えましょう。
| 依頼項目 | 伝える内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 確認対象 | 記録名、業務、関連する手順書 | 部門が何を見ればよいか明確にする |
| 対象期間 | 前回審査以降、直近1年、過去3年など | 確認範囲のズレを防ぐ |
| 確認項目 | 日付、承認、空欄、保存場所、最新版など | 見る観点をそろえる |
| 提出期限 | 60日前から30日前までの期限 | 全体スケジュールに乗せる |
| 報告方法 | 確認表、メール、共有フォルダ、会議報告など | 確認結果を集約しやすくする |
| 不明点の窓口 | ISO担当者、部門責任者、外部支援会社など | 判断に迷った記録を放置しない |
審査員に説明しやすい記録ファイル・フォルダ構成
記録レビューの最後には、審査員に説明しやすいファイルやフォルダ構成に整えます。
これは見栄えを良くするためではなく、必要な記録をすぐに提示し、運用の流れを説明しやすくするためです。
おすすめは、審査で見られやすいテーマごとに整理する方法です。
たとえば、01_審査計画、02_方針・目標、03_教育・力量、04_内部監査、05_是正処置、06_マネジメントレビュー、07_現場記録、08_前回指摘対応、09_部門別記録のように分けると、審査当日に探しやすくなります。
ただし、審査用に実態と違うフォルダを作り込みすぎる必要はありません。
日常運用で使っている保存場所を基本にしつつ、審査当日に見せるための索引やショートカットを用意する程度が実務的です。
重要なのは、誰が案内しても同じ記録にたどり着けることです。
| フォルダ名 | 入れる記録 | 説明しやすい理由 |
|---|---|---|
| 01_審査計画 | 審査計画、対象部門、当日スケジュール | 審査範囲と当日の流れを確認できる |
| 02_方針・目標 | 方針、目標、実績、評価記録 | 会社や部門の活動とつなげやすい |
| 03_教育・力量 | 教育計画、教育記録、力量表、資格台帳 | 人に関する証拠をまとめて示せる |
| 04_内部監査 | 監査計画、チェックリスト、報告書 | 監査の流れを説明しやすい |
| 05_是正処置 | 原因分析、処置、効果確認、完了記録 | 改善の流れを追いやすい |
| 06_マネジメントレビュー | 議事録、報告資料、決定事項、フォロー表 | 経営判断と改善指示を示せる |
| 07_現場記録 | 点検、検査、作業、保守、アクセス権など | 部門の実運用を確認できる |
| 08_前回指摘対応 | 前回指摘、対応記録、効果確認 | 過去課題への対応を説明できる |
フォルダ構成は審査用に飾るためではなく、日常運用の記録へ迷わずたどり着くために整えます。
30日前までに完了させる記録レビュー後の対応リスト
60日前の記録レビューで見つかった課題は、30日前までに対応状況を整理しておきます。
30日前は、現場説明、当日の資料整理、審査員への提示準備に移る時期です。
そのため、60日前から30日前の間に、記録の抜け漏れ、保存場所、整合性、部門確認をできるだけ完了させます。
対応リストには、記録の修正、保存場所の整理、関連記録との照合、部門への再確認、説明メモの作成、審査当日の提示方法を入れます。
対応が完了していないものは、未完了の理由、担当者、期限、審査で聞かれた場合の説明方針を整理します。
重要なのは、30日前の時点で「何が残っているか」が分かることです。
未完了項目があること自体よりも、未完了を把握していないことの方が審査当日の混乱につながります。
60日前のレビュー結果を、30日前の最終準備へつなげましょう。
60日前の記録レビューは、30日前の最終準備へつなげるための作業です。
レビュー結果を必ず対応リストに落としましょう。
| 対応項目 | 具体的な作業 | 完了基準 |
|---|---|---|
| 記録一覧の更新 | 保存場所、責任者、対象期間、確認状況を反映 | 審査対象記録が一覧で追える |
| 抜け漏れ対応 | 空欄、未承認、保存場所不明を整理 | 補足、説明、未完了の区分ができている |
| 整合性確認 | 教育、監査、是正、レビューのつながりを見る | 関連記録の矛盾が整理されている |
| 部門確認 | 現場記録や業務記録を部門に確認してもらう | 部門責任者の確認結果が残っている |
| 提示方法の確認 | 紙、電子、クラウドの見せ方を決める | 当日担当者が提示できる |
| 説明メモ作成 | 不足理由、対応状況、今後の改善をまとめる | 聞かれたときに説明できる |
| 未完了管理 | 残課題、担当者、期限、影響を整理 | 30日前時点の残課題が見える |
まとめ:60日前の記録レビューで、審査当日に慌てない証拠をそろえる
ISO審査60日前は、記録を探す段階から、審査で説明できる証拠に整える段階です。
90日前に洗い出した不足リストを記録レビュー表に変換し、対象期間、保存場所、責任者、最新版、日付、承認、空欄、関連記録との整合性を確認しましょう。
記録は、ファイルに入っているだけでは十分ではありません。
教育、内部監査、是正処置、マネジメントレビュー、現場記録がつながり、実際に運用が回っていることを説明できる状態にすることが重要です。
抜け漏れが見つかった場合は、後から補ってよいもの、説明準備が必要なもの、補ってはいけないものに分けて対応します。
60日前のレビュー結果を部門別に共有し、30日前までの対応リストに落とし込めば、審査当日に記録を探し回るリスクを減らせます。
記録を「見せる資料」として整えるのではなく、自社のISO運用を説明する証拠として使える状態にしておきましょう。
| 確認項目 | できている状態 | 不足時の対応 |
|---|---|---|
| レビュー表 | 記録名、対象期間、保存場所、責任者が一覧化されている | 90日前の不足リストを記録単位に分解する |
| 対象期間 | 初回、維持、更新に応じた確認範囲が決まっている | 審査種別と審査計画を確認する |
| 保存場所 | 紙、電子、クラウドの所在と提示方法が分かる | 保存場所とアクセス権を整理する |
| 形式確認 | 日付、担当者、承認、版数、空欄を確認済み | 記入漏れと該当なしを区別する |
| 整合性 | 教育、監査、是正、レビューがつながっている | 関連記録を横断して確認する |
| 抜け漏れ対応 | 補足、説明、補ってはいけない記録を区分済み | 原因と影響を整理する |
| 30日前対応 | 残課題、担当者、期限が管理されている | 対応リストへ落とし込む |
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おすすめ会社を見るよくある質問
ISO審査60日前には何を確認すべきですか?
90日前に洗い出した不足リストをもとに、記録名、対象期間、保存場所、責任者、最新版、日付、承認、空欄、関連記録との整合性を確認します。
60日前は、記録を探す段階ではなく、審査で説明できる証拠として整える段階です。
記録レビューではどの期間の記録を見ればよいですか?
審査種別によって変わります。
初回審査では運用開始後の記録、維持審査では前回審査以降の記録、更新審査では認証期間全体の主要記録や改善の流れを確認することが多くなります。
審査計画と対象範囲をもとに、記録の種類ごとに対象期間を決めましょう。
記録の抜け漏れが見つかった場合、後から作成してもよいですか?
実施した事実があり、別の証拠で確認できる場合は、補足記録として整理できることがあります。
ただし、実施していない活動を実施済みのように記録することは避けるべきです。
抜け漏れの範囲、原因、影響、今後の対策を整理して説明できるようにしましょう。
紙の記録と電子データはどちらで準備すべきですか?
どちらでも構いません。
重要なのは、審査当日に必要な記録を正しい版で提示できることです。
紙の場合はファイルや目次、電子データの場合はフォルダ構成、ファイル名、アクセス権、検索方法を確認しておきましょう。
記録の保存場所が部門ごとに違う場合はどう整理すればよいですか?
記録一覧表に、記録名、部門、保存場所、責任者、提示方法を入れて整理します。
保存場所を無理に一つへ統一するより、どこに何があり、誰が提示できるかを明確にする方が実務的です。
審査当日に担当者不在でも探せる状態を目指しましょう。
審査で見せる記録はすべて印刷しておく必要がありますか?
すべてを印刷する必要はありません。
電子データや業務システム上の記録でも、審査員が確認できる形で提示できれば問題ありません。
ただし、アクセス権、表示方法、検索条件、出力方法は事前に確認しておきましょう。
記録同士の整合性とは何を確認することですか?
教育記録と力量表、内部監査と是正処置、マネジメントレビューと改善指示、前回指摘と対応記録など、関連する記録が矛盾なくつながっているかを見ることです。
単体の記録があるだけでなく、課題発見から改善までの流れを説明できるかが重要です。
記録レビューはISO担当者だけで進めてもよいですか?
ISO担当者だけで進めると、現場記録や保存場所の実態を見落としやすくなります。
ISO担当者は全体管理を行い、部門責任者や記録管理担当者に、対象記録、対象期間、確認項目、期限を明確にして確認を依頼しましょう。
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監修者コメント
審査前90日準備講座の2本目記事です。
ISO審査60日前の記録レビューとして、90日前の不足リストを記録レビュー表へ変換し、対象期間、保存場所、責任者、日付、承認、版数、空欄、記録同士の整合性、電子データや紙ファイルの見せ方、30日前までの対応リストまで扱います。
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