ISMS認証とは?ISO27001との関係・認証制度の仕組み・取得が必要な企業をわかりやすく解説

ISMS認証とは?ISO27001との関係・認証制度の仕組み・取得が必要な企業をわかりやすく解説
金光 壮太

株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント

監修者情報 金光 壮太

株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。 これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。 イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。

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これまで多数のISO認証取得・運用支援に携わっています。

主な専門分野
  • ISO9001(品質マネジメントシステム)
  • ISO14001(環境マネジメントシステム)
  • ISO27001(ISMS)
  • ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)
主な対応内容
  • ISO認証取得支援
  • ISO運用支援
  • 更新審査・再認証審査支援
  • 内部監査支援
  • マネジメントレビュー支援
  • ISOコンサル会社の比較・調査・監修

取引先から「ISMS認証を取得していますか」「ISO27001認証が必要です」と言われ、そもそもISMS認証とは何なのか、ISO27001とは何が違うのか分からず調べ始める担当者は少なくありません。 ISMS、ISO27001、JIS Q 27001、ISMS認証という言葉が並ぶと、どれが仕組みで、どれが規格で、何を取得すればよいのか分かりにくく感じるはずです。 ISMS認証とは、組織が情報セキュリティを管理する仕組みを構築・運用し、その仕組みがISO/IEC 27001またはJIS Q 27001の要求事項に適合していることを、第三者である認証機関が審査して認める制度です。 簡単にいうと、自社の情報セキュリティ管理体制を外部に説明しやすくするための第三者認証です。 この記事では、ISMS認証とは何か、ISO27001との関係、ISMS・JIS Q 27001・ISMS認証の違い、認証制度の仕組み、取得が必要になりやすい企業、全社取得と部門取得の考え方、取得前に整理しておきたいことまで、初めて担当する方にもわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • ISMS認証とは、情報セキュリティを管理する仕組みがISO27001の要求事項に適合していることを第三者が認める制度です。
  • ISMSは情報セキュリティを管理する仕組み、ISO/IEC 27001はその仕組みが満たすべき国際規格、JIS Q 27001は国内規格として整備されたものです。
  • 実務上は、ISMS認証、ISO27001認証、JIS Q 27001認証が近い意味で使われることがありますが、正式な要求条件は取引先や認証機関に確認することが大切です。
  • ISMS認証は、IT企業だけでなく、顧客情報、個人情報、技術情報、委託業務データ、クラウド上の情報を扱う幅広い企業で必要になりやすい認証です。
  • 取得すべきかどうかは、取引先要求、扱う情報、事業内容、入札条件、海外取引、認証範囲、取得後の運用体制をもとに判断します。

ISMS認証とは?

ISMS認証とは、組織が情報セキュリティを管理する仕組みを構築・運用し、その仕組みがISO27001の要求事項に適合していることを第三者の認証機関が審査して認める制度です。
ISMSはInformation Security Management Systemの略で、日本語では情報セキュリティマネジメントシステムと呼ばれます。

ここで重要なのは、ISMS認証は単なるセキュリティ製品の導入証明ではないという点です。
ウイルス対策ソフトを入れている、ファイアウォールを設置している、クラウドの設定を強化しているといった個別対策だけではなく、組織として情報をどのように管理し、リスクを評価し、ルールを作り、教育し、点検し、改善しているかが見られます。

たとえば、顧客情報を扱うBPO企業であれば、委託元から預かったデータを誰が閲覧できるか、どの端末で処理するか、業務終了後にどう返却・削除するか、誤送信や紛失が起きた場合にどう報告するかまで管理する必要があります。
SaaS企業であれば、顧客データ、クラウド環境、ソースコード、本番環境へのアクセス権限などを、組織的に管理することが求められます。

初心者向けに整理すると、ISMSは情報セキュリティを守るための社内の仕組み、ISO27001はその仕組みが満たすべき基準、ISMS認証は第三者審査によって基準に適合していると認められた状態です。

ポイント

ISMS認証は、情報セキュリティ対策そのものではなく、情報セキュリティを継続的に管理・改善する仕組みがあることを第三者に示す認証です。

イソログに寄せられたISMS認証のリアルな声

ISMS認証では、初めて担当する方ほど、言葉の違いと制度の全体像でつまずきやすくなります。
ISMS、ISO27001、JIS Q 27001、ISMS認証、ISO27001認証という言葉が並び、どれを取得すれば取引先要求を満たせるのか分からないという相談はよくあります。

また、取得が必要だと分かっても、全社で取得するのか、部門単位でよいのか、Pマークとどちらを選ぶべきか、取得後に毎年どのような審査を受けるのかで不安が出やすくなります。
認証取得はゴールではなく、取得後も運用・点検・改善を続ける仕組みなので、最初の理解が曖昧なまま進めると後から手戻りが発生しやすくなります。

ここでは、イソログに寄せられる相談の傾向をもとに、ISMS認証で初心者担当者が迷いやすい状況を整理します。

イソログに寄せられる相談でも、ISMS認証では言葉の違い、取得範囲、取引先要求、取得後の運用に関する悩みが多くあります。

失敗談・相談事例

取得前に確認しておきたい実務上のつまずきを、横にスライドして確認できます。

5事例
違いが不明

ISMS、ISO27001、JIS Q 27001、ISMS認証の関係が分からない

イソログ相談事例

状況

取引先からISO27001の取得状況を聞かれましたが、社内ではISMS認証、ISO27001認証、JIS Q 27001認証という言葉が混在していました。
上司や営業部門へ説明しようとしても、何が仕組みで何が規格なのかを整理できませんでした。

確認したい教訓

まずは、ISMSは仕組み、ISO/IEC 27001は国際規格、JIS Q 27001は国内規格、ISMS認証は第三者審査で認められた状態と分けて理解しましょう。
言葉の整理ができると、取引先への説明や社内稟議が進めやすくなります。

取引先要求

取引先にISMS認証かISO27001認証を求められ、何を取るべきか迷った

イソログ相談事例

状況

新しい業務委託契約の条件として、ISO27001またはISMS認証の取得を求められました。
どの認証を取得すれば条件を満たすのか、取得までどれくらいかかるのかが分からず、営業と管理部門で対応方針が決まりませんでした。

確認したい教訓

実務上は、ISMS認証を取得することでISO/IEC 27001またはJIS Q 27001の認証要求に対応できるケースが多くあります。
ただし、取引先が指定する表記、認証範囲、取得期限は必ず確認しておきましょう。

全社取得不安

会社全体で取得しなければならないと思い、費用と工数で止まった

イソログ相談事例

状況

ISMS認証は全社で取得するものだと思い、全拠点・全部署を対象にした場合の費用や文書作成量を見て、現実的に進められないと感じていました。
実際には、取引先に関係する事業部やサービス単位で検討できることを後から知りました。

確認したい教訓

ISMS認証は、必ずしも全社で取得しなければならないわけではありません。
部門、拠点、サービス、事業単位で認証範囲を設計できる場合があります。
ただし、範囲を狭くしすぎると取引先要求を満たせないことがあるため、目的に合わせて決めることが大切です。

Pマーク迷い

個人情報を扱うのでPマークとISMS認証のどちらがよいか判断できなかった

イソログ相談事例

状況

顧客の個人情報を扱っているため、最初はPマークを検討していました。
しかし、取引先からはISO27001も候補として挙げられ、個人情報だけでなく、営業資料、システム情報、委託業務データも扱っているため、どちらを優先すべきか迷いました。

確認したい教訓

Pマークは個人情報保護に焦点があり、ISMS認証は個人情報を含む幅広い情報資産を対象にしやすい認証です。
守る情報の範囲、BtoB取引、海外対応、入札条件、取引先要求をもとに判断しましょう。

運用不安

認証取得後に毎年の審査や社内運用を続けられるか不安だった

イソログ相談事例

状況

認証取得まではコンサルに支援してもらえそうでしたが、取得後に教育、内部監査、リスク見直し、維持審査を毎年続けられるか不安でした。
取得することだけに集中していたため、取得後の担当体制が決まっていませんでした。

確認したい教訓

ISMS認証は取得して終わりではありません。
取得後も運用記録、教育、内部監査、マネジメントレビュー、維持審査、更新審査が続きます。
取得前から、誰が運用を担当し、どこまで外部支援を使うかを決めておくことが重要です。

ISMS・ISO27001・JIS Q 27001・ISMS認証の違い

ISMS認証を理解するうえで、最初に整理したいのが用語の違いです。
ISMS、ISO27001、JIS Q 27001、ISMS認証は近い文脈で使われますが、厳密には同じ意味ではありません。

ISMSは、組織が情報セキュリティを管理する仕組みそのものです。
ISO/IEC 27001は、そのISMSが満たすべき要求事項を定めた国際規格です。
JIS Q 27001は、ISO/IEC 27001と整合した国内規格として日本で用いられるものです。
そしてISMS認証は、認証機関が審査を行い、組織のISMSが認証基準に適合していると認める制度です。

実務では、ISMS認証、ISO27001認証、JIS Q 27001認証という表現が近い意味で使われることがあります。
たとえば、取引先からISO27001認証を求められた場合、ISMS認証の登録証で条件を満たせることがあります。
ただし、認証範囲や登録証の表記が条件に合っているかは、取引先や認証機関に確認する必要があります。

ISMS・ISO27001・JIS Q 27001・ISMS認証の違い
用語意味初心者向けの理解
ISMS情報セキュリティを管理・改善する仕組み社内で情報を守るためのマネジメント体制
ISO/IEC 27001ISMSの要求事項を定めた国際規格ISMSが満たすべき世界共通の基準
JIS Q 27001ISO/IEC 27001と整合した日本国内の規格日本語で審査や運用を考えるときに参照される国内規格
ISMS認証第三者の認証機関がISMSの適合性を認める制度自社の情報セキュリティ体制を外部に示す認証
ISO27001認証ISO/IEC 27001に基づく認証を指す実務上の表現ISMS認証と近い意味で使われることが多い

ISMS認証制度の仕組み

ISMS認証制度は、組織が自分で『セキュリティ対策をしています』と宣言するだけではなく、第三者が審査して認証する仕組みです。
認証を受ける企業、審査を行う認証機関、その認証機関の能力や公平性を確認する認定機関が関わります。

認証機関は、企業が構築・運用しているISMSがISO27001の要求事項に適合しているかを審査します。
認定機関は、認証機関が適切な審査を行える能力を持っているか、公平性を保っているかを評価します。
日本ではISMS-ACがISMS分野の認定機関として知られています。

初心者担当者が混同しやすいのが、認証と認定の違いです。
企業が取得するのは認証です。
一方、認証機関が審査能力を認められることを認定といいます。
つまり、自社が認定を取得するのではなく、認定された認証機関から審査を受け、認証を取得するという流れです。

ISMS認証制度に関わる主な立場
立場役割初心者向けの理解
認証を受ける組織ISMSを構築・運用し、認証審査を受けるISO27001を取得したい企業や組織
認証機関組織のISMSが規格に適合しているかを審査し、認証する審査を行い、登録証を発行する機関
認定機関認証機関の能力や公平性を評価し、認定する認証機関をチェックする立場
審査員文書や現場運用を確認し、適合性を評価する審査当日に質問や記録確認を行う人
コンサル会社取得準備や文書作成、運用整備を支援する企業側の準備をサポートする外部支援者

ISMS認証で守る情報とは?

ISMS認証で守る情報は、個人情報だけではありません。
顧客情報、社員情報、営業資料、契約書、設計図、ソースコード、クラウド上のデータ、システム設定情報、委託業務で預かるデータなど、組織にとって価値があり、漏えい・改ざん・利用不能になると影響が出る情報が対象になります。

ISMSでは、情報セキュリティの三要素である機密性、完全性、可用性をバランスよく考えます。
機密性は、許可された人だけが情報にアクセスできる状態です。
完全性は、情報が正確で改ざんされていない状態です。
可用性は、必要なときに情報やシステムを利用できる状態です。

たとえば、医療福祉事業者では利用者情報の機密性が重要ですが、診療・介護記録が正確である完全性や、必要なときに閲覧できる可用性も重要です。
EC事業者では注文情報や配送先情報の機密性だけでなく、注文データが正確であること、繁忙期にもシステムが止まらないことが重要です。
製造業では設計図面や取引先情報の機密性に加え、最新図面が正しく共有される完全性が重要になります。

ISMS認証で考える情報セキュリティの三要素
要素意味実務での例
機密性許可された人だけが情報にアクセスできる状態顧客情報の閲覧権限を担当者に限定する
完全性情報が正確で改ざんされていない状態契約書や設計図の最新版を管理し、変更履歴を残す
可用性必要なときに情報やシステムを利用できる状態バックアップや復旧手順を整え、業務停止に備える

ISMS認証が必要になりやすい企業

ISMS認証は、すべての企業に法律で義務づけられている認証ではありません。
ただし、取引先要求、入札条件、委託先管理、上場準備、海外取引、クラウドサービスの信頼性説明などの場面で、取得が必要または有利になることがあります。

特に必要になりやすいのは、顧客や取引先から重要情報を預かる企業です。
システム開発会社、SaaS企業、BPO企業、人材会社、コールセンター、データ入力会社、医療福祉関連事業者、金融関連事業者、製造業の設計・技術部門などでは、取引先から情報セキュリティ体制の証明を求められることがあります。

一方で、取得すべきかどうかは業種名だけで決まりません。
扱う情報の重要度、取引先が求める条件、競合企業の取得状況、入札や委託契約の要件、取得後に運用できる体制があるかを見て判断します。
たとえば、従業員20名規模のSaaS企業でも大手企業へサービス提供する場合は取得が重要になることがあります。
反対に、大きな会社でも認証範囲や取得目的が曖昧なまま進めると、費用対効果が見えにくくなります。

ISMS認証が必要になりやすい企業の例
企業・業種必要になりやすい理由確認したいポイント
IT・SaaS企業顧客データ、クラウド環境、ソースコードを扱うため大手顧客の取引条件やセキュリティチェックシート
システム開発会社顧客の業務情報や本番環境に関わることがあるため開発・保守範囲、アクセス権限、委託先条件
BPO・コールセンター委託元から大量の個人情報や業務データを預かるため委託契約、作業場所、端末管理、再委託の有無
人材・派遣会社応募者情報、スタッフ情報、企業情報を扱うためPマークとの違い、BtoB取引、求人・派遣システム
医療福祉関連利用者情報や職員情報など機微な情報を扱うため紙書類、システム、委託先、職員教育
製造業設計図面、技術情報、取引先情報を扱うため技術情報の持ち出し、海外拠点、サプライチェーン要求
上場準備企業内部管理体制や情報管理体制の説明が求められるため監査対応、社内規程、リスク管理体制

ISMS認証は全社で取得すべき?部門単位でもよい?

ISMS認証は、必ずしも会社全体で取得しなければならないわけではありません。
認証範囲は、会社全体、特定の事業部、拠点、サービス、業務プロセスなど、自社の目的に合わせて設計できます。
これを適用範囲または認証範囲と呼びます。

たとえば、SaaS企業がまずクラウドサービスを提供する事業部だけを対象に取得するケースがあります。
BPO企業が特定の委託業務を扱う部門だけを対象にするケースもあります。
製造業では、設計開発部門や特定工場を中心に認証範囲を設計することがあります。

ただし、範囲を狭くしすぎると、取引先が求めている条件を満たせないことがあります。
営業部門が契約窓口になっているのに営業活動が範囲外、顧客データを保管する情シス部門が範囲外、委託業務に関わる拠点が範囲外といった状態では、認証の説明が難しくなる場合があります。
認証範囲は、取得目的、取引先要求、情報の流れ、管理責任を見ながら決めることが重要です。

ISMS認証範囲の考え方
認証範囲の例向いているケース注意点
全社取得会社全体で情報管理体制を示したい場合費用や工数は大きくなりやすい
部門単位特定事業部で取引先要求がある場合関連する管理部門や情シス部門を範囲に含めるか検討する
拠点単位特定の本社、支店、工場で情報を扱う場合他拠点との情報共有や遠隔運用を確認する
サービス単位SaaSやBPOなど特定サービスの信頼性を示したい場合サービス提供に関わる人・システム・委託先を整理する
段階的拡大最初は重要範囲で取得し、後から拡大したい場合将来の拡大計画を踏まえて文書体系を作る

ISMS認証を取得するメリット・デメリット

ISMS認証のメリットは、単に認証マークを取得できることだけではありません。
取引先への説明がしやすくなる、入札や委託契約の条件を満たしやすくなる、情報管理の責任者やルールが明確になる、社員のセキュリティ意識が上がるといった効果があります。

一方で、デメリットや負担もあります。
取得準備には、情報資産の洗い出し、リスクアセスメント、規程作成、教育、内部監査、マネジメントレビュー、審査対応が必要です。
認証取得後も、毎年の維持審査、3年ごとの更新審査、ルール見直し、運用記録の管理が続きます。

そのため、ISMS認証は『取れば終わり』ではなく、『情報セキュリティを継続的に管理する仕組みを社内に残す』ものとして考えることが大切です。
取得目的が取引先対応だけの場合でも、取得後の運用体制まで見ておかないと、担当者だけに負荷が集中しやすくなります。

ISMS認証のメリット・デメリット
区分内容実務での見方
メリット取引先や顧客への信頼性を示しやすいセキュリティチェックや営業資料で説明しやすくなる
メリット入札や委託契約の条件に対応しやすい取得していないことで候補から外れるリスクを下げられる
メリット情報資産や権限管理が整理される誰がどの情報を扱うかを把握しやすくなる
メリット社員のセキュリティ意識が高まる教育やルール周知を通じて日常業務の注意点が共有される
デメリット取得準備に費用と工数がかかる審査費用、コンサル費用、社内担当者の作業時間が発生する
デメリット取得後も運用と審査が続く維持審査、更新審査、内部監査、教育記録の管理が必要になる

ISMS認証取得までの大まかな流れ

ISMS認証の取得は、一般的には、取得目的の整理、適用範囲の決定、情報資産の洗い出し、リスクアセスメント、管理策の決定、社内ルールの整備、教育、内部監査、マネジメントレビュー、一次審査、二次審査という流れで進みます。

最初に行うべきなのは、なぜ取得するのかを明確にすることです。
取引先要求なのか、入札条件なのか、社内の情報管理強化なのか、上場準備なのかによって、認証範囲やスケジュールが変わります。
目的が曖昧なまま進めると、必要以上に範囲を広げたり、逆に取引先条件を満たさない範囲で取得してしまったりすることがあります。

その後、情報資産を洗い出し、リスクを評価し、必要な管理策を決めます。
社内規程や手順を整え、従業員教育を行い、一定期間運用したうえで内部監査とマネジメントレビューを実施します。
審査では、文書だけでなく、実際の運用記録や担当者へのヒアリングも確認されます。

ISMS認証取得までの主な流れ
ステップ実施すること注意点
1. 取得目的の整理取引先要求、入札条件、社内管理強化などを確認する目的によって認証範囲や期限が変わる
2. 適用範囲の決定対象部署、拠点、サービス、業務を決める取引先要求と情報の流れに合っているか確認する
3. 情報資産の洗い出し顧客情報、契約書、システム、クラウド、紙文書を整理する重要情報の抜け漏れを防ぐ
4. リスクアセスメント漏えい、改ざん、紛失、利用不能などのリスクを評価する評価基準を決めて一貫性を持たせる
5. 管理策とルール整備アクセス権、教育、バックアップ、委託先管理などを決める現場が守れる手順に落とし込む
6. 教育と運用従業員へルールを周知し、運用記録を残す受講記録や点検記録を残す
7. 内部監査・レビュー運用状況を確認し、経営層が見直す指摘事項と改善記録を残す
8. 一次審査・二次審査認証機関による文書審査と実地審査を受ける規程、記録、現場運用の整合性を確認される

ISMS認証を取得する前に整理しておきたいこと

ISMS認証の取得を検討する段階では、いきなり規程作成に入るよりも、まず自社の取得目的と前提条件を整理することが大切です。
取引先から何を求められているのか、いつまでに必要なのか、対象となる部署やサービスはどこなのか、どの情報を守る必要があるのかを確認しましょう。

特に重要なのは、認証範囲と取引先要求の一致です。
取引先が求めている業務が認証範囲に入っていなければ、認証を取得しても十分な説明にならないことがあります。
反対に、必要以上に範囲を広げると、費用や工数が増え、取得までの期間も長くなりやすくなります。

コンサル会社に相談する場合も、事前に情報を整理しておくと、見積もりや提案内容を比較しやすくなります。
自社取得で進めるのか、コンサルを活用するのか、文書作成から審査対応まで支援してもらうのか、取得後の運用支援も必要なのかを検討しておくと、相談が具体的になります。

取得前に整理しておきたい項目
項目確認する内容なぜ重要か
取得目的取引先要求、入札、社内管理強化、上場準備など目的によって範囲や優先順位が変わる
取得期限いつまでに認証が必要か準備期間と審査日程を逆算する必要がある
認証範囲対象部署、拠点、サービス、業務取引先要求を満たす範囲か確認するため
扱う情報顧客情報、個人情報、技術情報、委託業務データなどリスクアセスメントと管理策の前提になる
社内体制経営層、ISMS責任者、事務局、各部署担当取得後も運用できる体制が必要になる
既存ルール就業規則、情報管理規程、IT利用ルール、教育記録既存文書を活かせるか確認できる
外部支援の範囲自社取得、コンサル活用、運用支援の有無費用と社内工数のバランスを決めやすい

ISMS認証でよくある誤解

ISMS認証では、よくある誤解を早い段階で解消しておくことが大切です。
たとえば、ISMS認証を取得すればセキュリティ事故が絶対に起きないと思ってしまうケースがあります。
しかし、ISMS認証はリスクをゼロにする制度ではありません。
リスクを把握し、適切に管理し、問題が起きたときに改善する仕組みを整える制度です。

また、個人情報だけを守ればよいという誤解もあります。
ISMS認証では、個人情報だけでなく、営業情報、技術情報、契約情報、システム情報、クラウド上のデータなど、組織にとって重要な情報を幅広く扱います。
個人情報保護が中心のPマークとは、対象情報や取得目的が異なる場合があります。

さらに、認証は取得すれば終わりではありません。
取得後も、維持審査、更新審査、内部監査、教育、リスク見直し、改善活動が続きます。
取得時だけ文書を整えるのではなく、日常業務で続けられる仕組みにすることが重要です。

ISMS認証でよくある誤解と正しい理解
誤解正しい理解実務上の注意点
ISO27001とISMS認証は完全に別物ISMS認証はISO27001を認証基準として審査される制度です取引先が求める表記と認証範囲を確認する
個人情報だけ守ればよいISMSでは個人情報以外の重要情報も対象になります情報資産台帳で幅広い情報を整理する
全社で取得しなければ意味がない目的に応じて部門・拠点・サービス単位で取得できる場合があります範囲を狭くしすぎると説明しにくいことがある
認証を取れば事故がゼロになるリスクを管理し、改善する仕組みを整える認証ですインシデント対応や再発防止も重要になる
取得したら終わり取得後も維持審査、更新審査、教育、内部監査が続きます運用担当者と年間スケジュールを決めておく
コンサルに任せれば社内対応は不要社内の運用主体はあくまで自社です経営層と現場担当者の関与が必要になる

まとめ:ISMS認証は、情報セキュリティ体制を第三者に示すための認証

ISMS認証とは、組織が情報セキュリティを管理する仕組みを構築・運用し、その仕組みがISO27001の要求事項に適合していることを第三者の認証機関が認める制度です。
ISMSは仕組み、ISO/IEC 27001は国際規格、JIS Q 27001は国内規格、ISMS認証は第三者審査で認められた状態と整理すると理解しやすくなります。

取得が必要かどうかは、取引先要求、扱う情報、事業内容、入札条件、海外取引、認証範囲、取得後の運用体制によって変わります。
IT企業やSaaS企業だけでなく、BPO、人材、医療福祉、製造業、上場準備企業など、重要情報を扱う幅広い企業で取得が検討されます。

初めて取得を検討する場合は、まず取得目的、認証範囲、扱う情報、社内体制、取得期限を整理しましょう。
全社取得が必要なのか、部門やサービス単位でよいのか、Pマークとどちらを優先すべきか、取得後の運用まで対応できるかを確認したうえで、必要に応じてISO27001に強い専門家へ相談することが大切です。

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よくある質問

ISMS認証とは何ですか?

ISMS認証とは、組織が情報セキュリティを管理する仕組みを構築・運用し、その仕組みがISO27001の要求事項に適合していることを、第三者の認証機関が審査して認める制度です。
顧客や取引先に情報セキュリティ体制を説明しやすくする認証です。

ISMSとISO27001は何が違いますか?

ISMSは、情報セキュリティを管理・改善する仕組みそのものです。
ISO/IEC 27001は、そのISMSが満たすべき要求事項を定めた国際規格です。
つまり、ISMSは仕組み、ISO27001は基準と考えると分かりやすくなります。

ISMS認証とISO27001認証は同じ意味ですか?

実務上は近い意味で使われることが多くあります。
ISMS認証は、ISO/IEC 27001またはJIS Q 27001を認証基準として審査される認証制度です。
ただし、取引先が求める表記、認証範囲、登録証の条件は確認しておきましょう。

JIS Q 27001とは何ですか?

JIS Q 27001は、ISO/IEC 27001と整合した日本国内の規格です。
日本国内でISMS認証を取得する際には、ISO/IEC 27001やJIS Q 27001の要求事項に基づいて審査が行われます。

ISMS認証はどんな企業に必要ですか?

取引先から取得を求められている企業、顧客情報や機密情報を預かる企業、IT・SaaS・BPO・人材・医療福祉・製造業など、重要情報を扱う企業で必要になりやすい認証です。
入札条件、業務委託、上場準備、海外取引で求められることもあります。

ISMS認証は全社で取得しなければなりませんか?

必ずしも全社で取得する必要はありません。
部門、拠点、サービス、事業単位で認証範囲を設計できる場合があります。
ただし、取引先が求める業務や情報の流れが範囲に含まれているかを確認することが大切です。

ISMS認証とPマークはどちらを取得すべきですか?

個人情報保護を中心に考える場合はPマークが候補になります。
一方、個人情報だけでなく、営業情報、技術情報、システム情報、委託業務データなど幅広い情報資産を対象にしたい場合や、BtoB取引・海外取引で求められる場合はISMS認証が候補になります。
取引先要求と扱う情報の範囲で判断しましょう。

ISMS認証は取得したら終わりですか?

取得して終わりではありません。
認証取得後も、維持審査、更新審査、内部監査、教育、リスク見直し、マネジメントレビューなどを継続する必要があります。
取得前から、取得後の運用体制も考えておくことが重要です。

監修者コメント

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