ISMS内部監査のやり方|ISO27001の確認項目・質問例・記録の残し方
ISMS内部監査は、情報セキュリティのルールが実際の業務で守られ、リスクへの対策が役立っているかを確認する活動です。 担当者への質問と設定・記録の確認を組み合わせると、日常の運用を具体的に確かめられます。 この記事では、ISO27001の確認項目、質問例、見せてもらう資料を表にまとめました。 退職者の権限管理を確認する架空の監査例を使い、準備から報告書の書き方、対応後の確認まで順に説明します。
この記事でわかること
- リスク評価・適用宣言書から監査の重点と確認資料を決める方法
- ISO27001の要求事項・管理策に対応する質問と証拠の例
- 退職者対応を一件たどり、確認した事実と未確認の点を分ける方法
- 不適合の根拠、証拠の扱い、是正後の確認を記録する方法
ISMS内部監査は何を確認する?ISO27001と監査範囲
ISMS内部監査は、情報セキュリティのルールが実際に守られ、情報を適切に管理できているかを確認する活動です。ISO27001(正式名称:ISO/IEC 27001)の9.2に基づき、自社のルールと規格の要求事項への適合、ISMSの実施・維持の状況を確かめます。
監査では、日常の仕事に沿って手順、設定、記録を見比べます。たとえば退職者のアカウントを確認するなら、人事の連絡から各サービスの権限停止までをたどると、処理の抜けを見つけやすくなります。
| 対象 | 確認すること | 確認の例 |
|---|---|---|
| マネジメントシステムの要求事項 | 箇条4~10に関する自社の仕組みと運用 | 事業や業務の変化をリスク評価・目標・見直しへ反映したか |
| リスク対応として採用した管理策 | 必要な管理策の選択理由、実施状況と効果 | 退職時の権限停止を、社内手順と実際の設定で照合 |
| 自社が守ると決めた条件 | 社内手順、顧客との約束などの該当条件 | 停止期限・対象サービス・確認担当が実務に反映されているか |
システムの弱点を詳しく調べるときは、脆弱性診断や侵入テストなどの専門的な調査を組み合わせます。内部監査では、こうした調査の結果と、その後の対応状況も確認します。必要な知識を持つ担当者と、確認方法を計画しておきましょう。
規格の版と、実際に監査する範囲をそろえる
ISOの公式案内で示される規格はISO/IEC 27001:2022です。監査では、適用する規格の本体と追補をセットで確認します。国内のJIS規格との関係は、次の表で整理できます。
| 使う規格 | 合わせて確認するもの |
|---|---|
| ISO/IEC 27001:2022 | ISO/IEC 27001:2022/Amd 1:2024(気候変動への対応に関する追補) |
| JIS Q 27001:2023 | JIS Q 27001:2025は追補1。2023年版と併用する |
JIS Q 27001:2025は、2023年版に追加する追補です。監査では2023年版と併用します。詳しい関係はISMS-ACの制度概要で確認できます。
監査する範囲は、適用範囲の文書と現在の業務を見比べて決めます。在宅勤務や委託先、クラウドとの関わりも確認しましょう。「開発部のアカウント管理」を監査する場合も、人事の退職連絡や委託先の作業が確認対象になることがあります。
イソログに寄せられたリアルな声
ISMSの監査で迷いやすい場面を、5つの相談例にまとめました。いずれも編集部が作成した架空の例で、業種・人数・状況は仮設定です。実際に届いた発言や顧客実績を紹介するものではありません。
Voices
イソログに寄せられたリアルな声
ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。
93項目を全部聞くべきでしょうか
イソログ相談例
状況
管理策の一覧をそのまま質問にすると、業務の話までたどり着けません。
監査で確かめること
リスク評価と適用宣言書を読み、今回重点的に見る管理策を選びます。箇条4~10の確認も含め、監査全体で必要な範囲を確認できる計画にしましょう。
クラウドは認証済みなら確認不要ですか
イソログ相談例
状況
サービス提供会社がISO27001を取得しているため、自社で見る点が分かりません。
監査で確かめること
提供会社と自社の役割分担を確認します。そのうえで、自社が管理する権限や共有設定、退職時の停止状況を、設定画面や処理記録で確かめます。
情シス担当者が一人で兼任しています
イソログ相談例
状況
設定を理解している担当者が、その設定を自分で監査する予定です。
監査で確かめること
担当業務以外を監査できるように、監査員の割当を調整します。設定を確認できる知識を社内で育てる方法や、必要な知識と公平性を備えた外部の専門家に協力してもらう方法があります。
記録がないだけで不適合にできますか
イソログ相談例
状況
退職者の処理完了欄が空白でした。停止していないと書いてよいか迷っています。
監査で確かめること
完了欄が空白なら、管理画面や操作履歴で停止の有無を確認します。記録の書き忘れなのか、停止漏れなのかが分かるように報告しましょう。
ログをどこまで添付すればよいですか
イソログ相談例
状況
監査報告書へ利用者名や操作履歴を大量に貼り付けています。
監査で確かめること
対象・日時・確認結果と、証拠を確認できる保管先を残します。ログを添付するときは判断に必要な部分を選び、閲覧できる人も決めておきます。
準備|リスク評価・適用宣言書から監査計画へつなぐ

まず、情報がどの仕事で使われ、どこで紛失・漏えい・利用停止などが起こり得るかを整理します。その対策として決めたルールを確認し、実際の運用が分かる資料を準備しましょう。
| 資料・情報 | 確かめること | 質問へのつなげ方 |
|---|---|---|
| 適用範囲・業務一覧 | 拠点、業務、外部との接点が現状と合うか | 新しいサービスや在宅勤務を、どこで管理していますか |
| 情報資産の一覧 | 情報、利用サービス、責任者の対応が分かるか | この顧客情報は、ほかのサービスにも保存されますか |
| リスク評価 | 変更や事故の情報を反映しているか | その変更で何が困ると考え、どう評価しましたか |
| リスク対応計画・適用宣言書 | 選択理由、実施状況、必要な承認等がつながるか | 必要と決めた対策を、どの手順と記録で確認できますか |
| 前回の監査・事故・是正記録 | 完了報告後の運用と、残る課題は何か | 前回の対応後、同じ条件の仕事は発生しましたか |
| 自社手順・契約の該当条件 | 実施すべき内容と判断基準が明確か | 期限と担当は何を根拠に決め、現場へどう伝えていますか |
リスク評価をもとに必要な管理策を選び、附属書Aの93管理策と比べて抜けを確認します。適用宣言書には、必要な管理策とその選択理由、実施状況、附属書Aから除外する理由を整理します。必要に応じて附属書A以外の管理策も採用します。この関係はJIPDECのISMS適合性評価制度の解説書でも説明されています。
適用宣言書で「実施済み」とした管理策は、現場の設定や記録で確かめます。除外理由も、現在の業務に合っているかを見直しましょう。たとえば新しいクラウドを導入した場合は、その使い方を踏まえて管理策の必要性を確認します。
リスク評価そのものの作り方はISO27001のリスクアセスメントの進め方、選択理由の整理は適用宣言書の作成と管理策の関係も参考にしてください。ここでは、その内容が実際の運用につながっているかを監査します。
監査員・方法・抽出対象まで計画する
監査プログラムには、監査の頻度、方法、責任者、計画、報告の進め方を定めます。一回ごとの監査では、業務の重要性と前回の結果から、確認する範囲と基準を具体的にします。監査員は、対象業務の知識と監査の技能を持つ人を選び、担当業務を自分で評価することがないよう割当を調整しましょう。
| 項目 | 決め方の例 |
|---|---|
| 目的・範囲 | 退職時の権限停止が、対象サービスを漏れなくカバーしているか |
| 基準 | 自社が適用するISO/JIS規格、アクセス管理手順の版・該当箇所、適用宣言書 |
| 担当・応対者 | 人事・システム管理の当事者を外した監査員と、必要な技術知識を持つ確認担当を確保 |
| 方法・資料 | 人事の対象一覧、利用サービス一覧、停止依頼、設定画面と管理者の操作履歴を照合 |
| 抽出の理由 | 退職事例から、利用サービスや処理担当が異なるものを選ぶ。差異があれば対象を広げる |
| 未確認時の扱い | 追加資料の担当・期限を決め、確認できなかったサービスと期間を報告へ残す |
監査時間と記録の件数は、業務量やリスク、前回の結果から決めます。差異が見つかったときに追加確認できる時間も確保しましょう。予定の整え方は内部監査計画書の作り方と記入例で詳しく説明しています。
ISO27001の確認項目・質問例|要求事項と管理策を分ける
チェックリストには、知りたいことを具体的な質問にし、見せてもらう資料もセットで書きます。次の表は編集部作成の質問例です。自社の業務と監査基準に合わせて、質問や確認先を調整して使えます。
箇条4~10:ISMSを運用する仕組みの確認
| 確認テーマ・参照箇条 | 質問例 | 見る資料・判断の手がかり |
|---|---|---|
| 状況・範囲(4.1~4.3) | 業務や関係者の要求の変化を、どの範囲・リスクへ反映しましたか | 適用範囲、課題・要求の整理と変更履歴。実際の業務との一致 |
| 役割(5.3) | 担当者が不在でも、承認や事故連絡を誰が行うか分かりますか | 役割分担、代行の決め方、関係者への周知と実際の処理記録 |
| リスク評価(6.1.2、8.2) | 新サービスの導入時に、何を再評価しましたか | 評価基準、変更前後の評価、見直しの実施日と対象 |
| リスク対応(6.1.3、8.3) | 採用した対策の実施状況と、残るリスクをどう把握していますか | 対応計画、適用宣言書、実施証拠、リスク所有者の承認・受容の記録 |
| 目標・評価(6.2、9.1) | 何を測定し、結果からどの対応を決めましたか | 目標、測定方法・時期、結果と評価記録。数値の集計だけで終わらないか |
| 力量・認識(7.2、7.3) | その役割に必要な知識をどう確かめ、困ったときの連絡先をどう伝えましたか | 力量の確認、教育・OJT記録、担当者への聞き取り |
| 内部監査・レビュー(9.2、9.3) | 監査結果と業務の変化から、経営として何を決めましたか | 監査プログラム・結果、レビューの入力と決定、対応の追跡 |
| 是正(10.2) | 同じ問題が起きる可能性を調べ、対応の効果をどう確認しましたか | 不適合の事実、原因分析、対策、その後の運用と効果の確認 |
気候変動については、4.1で自社に関連する課題かどうかを判断し、4.2で関係者の要求も考慮しているかを確認します。詳しくはISMS-ACの追補に関する案内を参照できます。たとえば拠点や委託先の浸水・停電が情報の利用や顧客との約束に影響する場合は、そのリスクと対応を確認します。
附属書A:採用した管理策の実施を確かめる
表の参照番号はISO/IEC 27001:2022の附属書Aに対応しています。適用宣言書で採用した管理策と、自社の手順・契約条件をもとに、今回重点的に見る項目を選びましょう。実際の設定や記録に合わせて質問を追加すると、運用を詳しく確認できます。
| 確認テーマ・附属書Aの参照番号 | 質問例 | 見る資料・判断の手がかり |
|---|---|---|
| 情報資産・分類(5.9、5.12) | この情報はどこに保存され、誰が管理し、どの扱いに分類されていますか | 情報資産一覧、保存先、責任者、分類と取扱い。新サービスの抜け |
| ID・権限(5.16、5.18) | 異動・退職の一件を選び、依頼から全対象の権限変更まで示せますか | 在籍情報、対象サービス、申請・承認、設定と操作履歴の一致 |
| 特権(8.2) | 管理者権限は誰が必要と判断し、いつ見直しましたか | 管理者一覧、承認、見直し結果、共有利用や例外の扱い |
| 委託先(5.19、5.20、5.22) | 情報を渡す条件と責任分担を決め、変更や問題をどう確認していますか | 委託先の評価、合意内容、サービスの確認記録と対応 |
| クラウド(5.23) | 導入から利用終了まで、自社と提供会社の分担は明確ですか | 利用一覧、契約・分担、権限や共有の設定、終了時の返却・削除の扱い |
| 在宅勤務・端末(6.7、8.1) | 社外で使う端末に、決めた保護設定と例外管理が適用されていますか | 貸与・利用一覧、構成の確認、端末管理の記録、紛失時の連絡手順 |
| 入退室(7.2) | 退職・委託終了後の入室権限と貸与カードはどう処理しましたか | 対象者一覧、権限変更、カード回収と例外の記録 |
| バックアップ(8.13) | 必要な情報を、目標に合う状態へ戻せるとどう確かめましたか | 対象・頻度の設定、実行結果、復元確認の条件・結果と不備への対応 |
| ログ・監視(8.15、8.16) | 何を監視し、検知した事象を誰が判断して対応しますか | 対象と期間、監視設定、通知・確認・対応記録。保存だけで終わらないか |
| 脆弱性・構成(8.8、8.9) | 把握した問題の影響をどう判断し、対策や例外を管理しましたか | 対象機器・ソフト一覧、収集した情報、評価・変更・検証、未対応理由 |
| 事故対応(5.24、5.26、5.27) | 発見から判断・連絡・復旧・振り返りまで、一件をたどれますか | 連絡体制、事故または演習の記録、時系列、改善と対応後の確認 |
| 変更(8.32) | 本番の設定を変える際、影響・承認・確認・戻し方をどう管理しましたか | 変更申請、影響の評価、承認、検証、実施履歴と例外の扱い |
説明を聞いたら、「直近の一件を見せてください」「対象となるサービスは、どの一覧で確認できますか」と質問を続けます。説明と記録に違いがあれば、同じ対象・日時・条件を見ているかをそろえて確認しましょう。
実施|退職者対応を一件たどる監査の進め方

ここからは、システム開発業45名、本社1拠点と在宅勤務を対象にした架空の監査例で説明します。人物ID、規程名、日付、結果、アカウントの停止期限は、この作例のために編集部が設定しています。
| 項目 | 仮の設定 |
|---|---|
| 監査日・対象 | 2026年10月16日。9月30日退職のD01・D02・D03を抽出 |
| 選んだ理由 | 3名で利用サービスと処理担当が異なるため、この作例では3件を選んだ |
| 対象サービス | メール、チケット管理、ソースコード管理、クラウドストレージ |
| リスクと管理策 | リスクR-07:退職者のアクセス残存。適用宣言書で5.18を採用 |
| 自社の判断基準 | アクセス管理手順IS-04第3版6.2:最終在籍日の18:00までに対象サービスの個人アカウントを無効化 |
| 監査員・応対者 | 処理の当事者ではない監査員。人事と各サービスの管理者が記録を提示 |
最初に対象をそろえ、依頼から設定まで追う
人事の退職者一覧からD03の最終在籍日を確認し、資産・サービス一覧で利用していたサービスを調べます。その一覧と停止依頼書を見比べ、依頼の対象がそろっているかを管理者と確認します。
| 段階 | 質問・確認 | 残すこと |
|---|---|---|
| 1 対象者・対象範囲 | 最終在籍日と利用サービスを、人事情報・サービス一覧で照合 | 抽出対象、期間、利用していたサービスと未確認の有無 |
| 2 依頼・承認 | 誰が何をいつ依頼し、誰が実行する予定だったか | 依頼ID、対象サービス、依頼・承認と実行担当 |
| 3 実際の処理 | 管理者が示す設定状態と操作履歴を、対象ID・時刻で照合 | 無効化の状態、実行日時、証拠の参照先 |
| 4 差異の追加確認 | 完了欄が空白なら、別の記録や設定で実施を確かめる | 未記録と未実施を分けた事実、追加で必要な確認 |
| 5 結果の共有 | 確認事実と基準を応対者と照合し、未確認範囲も説明 | 判断、相手の説明、差異、報告・追加確認の予定 |
権限を持つ管理者に設定画面と操作履歴を示してもらい、対象IDと処理日時を確認します。検証のために操作が必要な場合は、目的・権限・業務への影響を事前に決め、担当者に実施してもらいます。パスワードの共有を伴わない方法で進めましょう。
確認できたことと、まだ分からないことを分ける
この作例では、D01とD02は4サービスとも期限内の無効化を設定と履歴で確認できたとします。D03については、次の差異が見つかりました。
| サービス | 照合した事実 | 今回の判断 |
|---|---|---|
| メール | 9月30日17:20の無効化履歴と、監査日の無効状態を確認 | 社内の停止基準を満たすことを確認 |
| チケット管理 | 9月30日17:30の無効化履歴と、監査日の無効状態を確認 | 社内の停止基準を満たすことを確認 |
| クラウドストレージ | 9月30日17:40の無効化履歴と、監査日の無効状態を確認 | 社内の停止基準を満たすことを確認 |
| ソースコード管理 | 10月16日10:20の管理画面で個人アカウントが有効。管理者も停止未実施を確認 | 期限までの無効化要求を満たしていない |
この時点で確認できたのは、D03のアカウントの停止漏れです。退職後の利用や情報への影響は未確認なので、定めた事故対応の責任者へ共有し、ログの調査や対応の判断につなげます。報告書でも、停止漏れの事実と、これから調べる点を分けて記録します。
完了欄が空白の場合も、実際の設定と処理履歴を確認します。停止済みであれば記録の不備、停止していなければ処理の不備として、それぞれ社内手順と照らし合わせて整理できます。
記録・報告|不適合の根拠と是正後の確認を残す
報告書には、判断に使った手順、確認した設定や記録、その結果を順に書きます。どのアカウントが、いつの時点で、どの基準を満たしていなかったかを具体的に示すと、担当部署が対応を考えやすくなります。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 指摘ID・対象 | IA26-04/退職者D03のソースコード管理アカウント |
| 基準 | アクセス管理手順IS-04第3版6.2。最終在籍日9月30日の18:00までに対象サービスの個人アカウントを無効化する社内要求 |
| 確認した事実 | 10月16日10:20、D03の当該アカウントは有効表示。管理者への照会でも停止未実施を確認 |
| 証拠 | 人事対象一覧HR-09、サービス利用照合表SV-10、停止依頼REQ-0930-03、管理画面確認記録EV-04。版・対象ID・確認日時を記録 |
| 判断 | 定めた期限までに対象アカウントを無効化しておらず、IS-04第3版6.2を満たしていない |
| 関連する管理策 | 適用宣言書で採用した管理策5.18、リスクR-07との関係も記載する |
| 未確認の点 | 退職後のアクセス有無、影響、停止漏れの原因は、この時点で未確認 |
| 対応・確認予定 | システム管理責任者が初動と影響を確認。原因・対策の担当と期限、効果を見る時期を調整して追跡 |
重大・軽微などの区分は、自社の判定基準に沿って、件数と影響の両方から判断します。今回の確認範囲は3名なので、ほかの退職者については必要な追加確認を計画します。報告書全体の構成は内部監査報告書の書き方と記入例を参考にできます。
証拠をたどれることと、情報を広げすぎないことを両立する
報告書には、対象ID、日時、システム名、確認結果と、証拠の参照先を整理します。元のログは閲覧権限を限定した保管先で管理すると、必要な人が根拠を確認しやすくなります。
| 残す情報 | 扱い方 |
|---|---|
| 対象・日時・条件 | 対象サービス、照合用の対象ID、設定確認時刻・履歴の期間を明記 |
| 参照先 | 記録ID、文書の版、保管場所、必要な箇所。担当者だけに分かる略称を避ける |
| 画面・記録の複製 | 判断に必要な範囲を選び、不要な氏名等はマスキング。照合に必要なID・時刻は維持 |
| アクセスと保管 | 監査・対応に必要な人の閲覧範囲、保存期間、返却・削除の扱いを自社の規程で決める |
画面共有や記録の複製では、確認に必要な情報だけを表示します。パスワードや秘密鍵は監査記録に含めず、対象IDや設定状態、操作日時などで事実を確かめましょう。
修正・原因の検討・効果の確認を分けて追う
アカウントの停止は、目の前の問題を直す処置です。再発を防ぐには、サービス一覧の更新、停止依頼、実行、完了確認のどこで漏れたかを調べ、原因に合う対策を考えます。
| 段階 | 今回の作例で確認すること |
|---|---|
| 直ちに行う修正・影響確認 | 権限を持つ担当者が無効化し、必要なセッション・トークン等の扱いも確認。アクセス履歴や影響は担当責任者が調査・判断 |
| 原因と類似範囲の調査 | 停止対象の作成方法、サービス一覧との照合、実行・完了確認の分担を調べる。他の退職者・類似サービスもリスクに応じて確認 |
| 原因に対応する対策 | 原因が対象一覧の更新漏れなら、一覧の更新と停止依頼を連携させ、完了時の照合方法を見直す |
| 実施の確認 | 改定した手順、対象一覧、担当者への周知、実際の処理記録を照合 |
| 有効性の確認 | 次の退職・異動など、対策が働く実例で対象漏れと期限内処理を確認。11月13日を候補日とし、実例がなければ確認方法・時期を再調整 |
表の後半は、これから行う対応と効果の確認予定です。監査結果を関係する管理層へ報告し、実際の処理記録で対策の効果を確認します。その結果を次回の監査計画や、必要なマネジメントレビューに活かしましょう。
ISMS内部監査のよくある質問
実施前に迷いやすい点をまとめました。質問を押すと回答が開きます。
ISMS内部監査は年1回でよいですか?
頻度は、業務の重要性、前回の監査結果、自社の状況をもとに監査プログラムで決めます。新サービスの導入、事故、組織変更があった場合は、追加の監査や範囲の見直しも検討します。
93管理策を毎回すべてチェックする必要がありますか?
適用宣言書で管理策の選択・除外理由と実施状況を確認し、今回重点的に見る項目を選びます。監査全体では、必要な管理策と箇条4~10のISMSの運用を確認できる計画にします。
少人数の会社で、監査員は何人必要ですか?
必要な人数は、監査する業務と担当者の知識・技能から決めます。自分の担当業務を自分で評価することがないよう割り当て、社内で人を確保するのが難しければ、育成や外部支援を組み合わせます。
オンラインだけで監査できますか?
画面共有で設定や記録を確認できる場合は、オンラインを活用できます。入退室や現場での情報の扱いなど、画面越しに確認しにくい項目は現地で補います。確認方法と共有する情報を事前に打ち合わせておきましょう。
クラウドの提供会社がISO27001取得済みなら、自社の確認は省けますか?
自社が担当する設定や運用は、引き続き確認します。提供会社の認証範囲と契約上の役割分担を確かめたうえで、自社の共有設定、管理者権限、退職時の停止などを監査します。
監査記録は何年保存すればよいですか?
保存期間は、自社に適用される要求や契約、社内規程、次回の確認に必要な期間をもとに定めます。保管先、閲覧できる人、保存期間を過ぎた記録の扱いも一緒に決めておくと管理しやすくなります。
内部監査員の資格や講座の修了証は必須ですか?
特定の民間資格や修了証は、すべての組織に共通する必須条件ではありません。自社の任命条件を確認し、担当する監査に必要な知識と技能を身につけます。講座で基礎を学び、自社の手順や記録で練習する方法も役立ちます。
実務に備える|ISOトラストの内部監査員養成講座
まず対象業務を一つ選び、説明を聞く、記録をたどる、社内の基準と見比べる、結果を書く、という流れを練習してみましょう。退職時の権限停止など、身近な仕事を使うと、質問と記録を結びつける感覚をつかみやすくなります。
基礎学習の選択肢として、ISOトラストの内部監査員養成講座があります。ISO27001を含む規格別のオンライン動画講座で、規格のポイントと内部監査技法を約30~60分で学ぶ内容です。動画は繰り返し視聴でき、修了証明書はデータで送付されると案内されています。
講座を選ぶときは、教材の対応版や学習内容、料金を確認しましょう。受講後に自社の適用宣言書や手順書を使って質問と報告の練習をすると、学んだ内容を実務に活かせます。必要な技術知識は、経験者とのOJTなどで補っていきます。
一括資料請求






