ISMSの退職者・異動者のアカウント管理|初めての担当者向けに確認の流れを紹介
退職する人からパソコンを返してもらっても、仕事のメールやチャットを使える状態が残っていることがあります。退職時には、資料を後任へ引き継ぐことに加え、本人の利用を止め、会社の機器や鍵を返してもらう手続きが必要です。 異動の場合は、新しい仕事に必要な利用を残し、不要になった利用を外します。どちらも、依頼を出した後に作業が終わったかまで確かめると、対応漏れを防げます。 この記事では、利用を止める日時の決め方、サービスと返却物の確認、引継ぎ、完了記録の残し方を具体例で紹介します。
この記事でわかること
- パソコンの返却だけでは、アカウントの管理は終わらない
- イソログに寄せられたリアルな声
- 利用を止める日時と、作業を頼む相手を決める
- 使っているサービス・引き継ぐ資料・返却物を一覧にする
- 退職前に資料を引き継ぎ、利用停止と返却を確認する
パソコンの返却だけでは、アカウントの管理は終わらない
アカウントとは、メールやチャットなどのサービスを使うための登録です。会社のパソコンを返しても、自宅の機器から仕事のメールを読める状態が残ることがあります。退職時には、物の返却とサービスの利用停止を、それぞれ確認する必要があります。
異動の場合は、新しい仕事に必要な利用を残し、不要になった利用を外します。例えば、会社共通の勤怠サービスは使い続け、前の部署だけで使っていた顧客資料は見られないようにする、といった変更です。
ISMSは、会社で情報の守り方を決め、続けて見直す仕組みです。退職・異動時のアカウント管理もその一つです。連絡をまとめる人と、実際にサービスの設定を変える人が違う場合は、誰がどこまで担当するかを先に決めておくと、依頼漏れを防げます。
入社時に用意したサービスの一覧があれば、確認の出発点にできます。入社時のアカウント準備と確認例も、利用開始から退職までの記録をつなげる参考になります。
イソログに寄せられたリアルな声
以下は編集部が作成した相談例です。
VOICES
イソログに寄せられたリアルな声
ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。
パソコンを返してもらえば、手続きは終わりですか
印刷業/18人
イソログ相談例
退職予定者のパソコンは受け取りましたが、仕事用メールやチャットの利用停止は、まだ依頼していません。
パソコンの返却だけでは、サービスを使える状態が残ることがあります。使っていたサービスを一覧にし、それぞれの管理担当者へ利用停止を依頼します。作業が終わった連絡まで受け取って、完了を記録します。
総務では、部署ごとのサービスまで分かりません
卸売業/27人
イソログ相談例
会社共通のメールとは別に、営業部が顧客管理サービスを使っていました。設定を変更できる人も分かりません。
本人と上司に、普段の仕事で使うサービスを聞くと、部署独自のものも見つけられます。契約や申込みを担当した人にも聞き、サービス名と変更を頼む相手を一覧に書き足します。
引継ぎが残っているので、利用を止めるのが不安です
広告制作業/14人
イソログ相談例
制作中の資料が退職予定者の保存場所にあります。後任が開けるか分からず、利用停止を依頼できずにいます。
上司と後任が必要な資料を選び、管理担当者に引継ぎ方法を相談します。本人の利用を終える日時も同時に伝えます。資料を社内で使えるようにする準備と、本人の利用を止める準備は、並行して進められます。
異動した人のサービスは、全部止めるのでしょうか
小売業/36人
イソログ相談例
店舗から本部へ異動する社員がいます。勤怠のサービスは使い続けますが、店舗の売上資料を今後も見るかは決まっていません。
異動先でも必要なサービスは残し、前の仕事だけで使っていたものを見直します。異動前後の上司に、続けて使うもの、新しく必要なもの、不要になるものを聞き、変更内容と異動日を管理担当者へ伝えます。
スマートフォンだけ返却待ちです。どう記録しますか
研修サービス業/11人
イソログ相談例
在宅勤務者のパソコンは届きましたが、貸していたスマートフォンはまだ届いていません。確認表を完了にしてよいか迷っています。
パソコンは受領済み、スマートフォンは返却待ちと分けて記録します。到着予定日と受け取る担当者も残すと、追って確認できます。サービスの利用停止は、返却状況とは別に管理担当者へ確かめます。
利用を止める日時と、作業を頼む相手を決める
利用停止の日時は、本人が仕事で使う必要がなくなる時点を基準に決めます。例えば、最終出勤日の業務が終わった後は使わないなら、その日の業務終了時に止める日程を組めます。退職日まで有給休暇を取る場合も、退職日だけを見て利用を残すのではなく、残りの期間に業務で使う予定があるかを上司と確認します。
人事・総務から退職日と最終出勤日を聞き、上司が確認した利用終了の日時を、サービスの管理担当者へ伝えます。「6月30日の18時」のように時刻まで共有すると、勤務中に止めてしまうことや、退職後も使える状態が残ることを防げます。
サービスごとに担当者が違う会社では、連絡をまとめる人を決めます。「メールは情報管理担当、勤怠は総務」のように依頼先を一覧にしておけば、作業後の確認先も分かります。
会社で決めている手順との合わせ方は、ISMSの社内ルールと周知の進め方でも紹介しています。異動の場合も、異動日と変更内容を同じように関係者へ伝えます。
使っているサービス・引き継ぐ資料・返却物を一覧にする
会社共通の一覧だけでは、部署で独自に契約したサービスが抜けることがあります。本人と上司に「朝、何を開いて仕事を始めますか」「お客様との連絡や資料の保存には何を使いますか」と聞くと、実際に使っているものを拾いやすくなります。
サービスの一覧と、機器を貸したときの記録に照らし合わせ、次のようなものを確認します。
| 確認するもの | 確認する内容の例 | 聞く相手・依頼先の例 |
|---|---|---|
| 仕事用メール・チャット | 使っているサービスと、担当を引き継ぐ相手 | 本人、上司、サービスの管理担当 |
| 部署で使うサービス | 顧客管理、勤怠、ネット上の資料保管などの利用状況 | 本人、部署の担当、総務 |
| 引き継ぐ資料 | 作業中のファイル、連絡先、紙資料の置き場所 | 本人、上司、後任 |
| 会社から借りている物 | パソコン、スマートフォン、充電器、USBメモリ | 本人、貸与品の担当 |
| 入退室に使う物 | 入館カード、社員証、鍵の貸出状況 | 本人、総務、施設の担当 |
例えば、営業担当者が部署で申し込んだ名刺管理サービスを使っているなら、それも一覧に加えます。本人が契約や設定変更の窓口も担当している場合は、その役割を後任へ引き継ぐ準備も必要です。
元になる一覧がないときは、会社で使う情報や資料を書き出す手順を参考に、本人の仕事で使うものから書き出せます。
退職前に資料を引き継ぎ、利用停止と返却を確認する
資料の引継ぎは、後任が実際にファイルを開けて、仕事を続けられるところまで確かめます。保存場所だけを伝えても、開く権限がなかったり、進行中の案件が分からなかったりすると、退職後に困ってしまいます。上司と後任で必要な資料を選び、不明な点は本人がいるうちに聞いておきます。
利用停止とアカウントの削除は、別の作業です。本人が使えないようにすることを先に準備し、削除は必要なメールや資料の保存・引継ぎを確認してから進めます。削除すると資料も消えるサービスがあるため、管理担当者には残したい資料と利用停止の日時を一緒に伝えます。
引継ぎが終わらない場合も、退職者が使える状態を残して解決するのではなく、上司と管理担当者で社内に資料を引き継ぐ方法を決めます。必要なデータを保管することと、退職者本人の利用を止めることは両立できます。
パソコンやスマートフォンは、貸出記録と現物を照らし合わせて受け取ります。在宅勤務者には返送方法と到着予定日を案内し、入館カードや鍵も返却先の担当者に受領を確認します。
国立循環器病研究センターが公表した退職時チェックシートでは、退職前の引継ぎと、最終出勤日のスマートフォン・職員証などの返却を時期に分けています。社内の確認表でも、事前に準備することと当日の返却物を分けると、本人へ案内しやすくなります。掲載された機器や日程をそのまま使うのではなく、自社の貸出品と決めた日程を記入します。
異動時は、残す利用・追加する利用・外す利用を分ける
異動した人のサービスを、すべて止める必要はありません。異動先でも使うものを残し、新しい仕事に必要なものを追加します。一方で、前の仕事だけで使っていた資料やサービスは、引き続き必要かを見直します。
異動前後の上司に、次のように聞くと変更内容を整理できます。例えば営業部から総務部へ移るなら、営業の顧客資料を今後も見る仕事があるか、新しくどの総務の資料が必要かを確認します。
| 整理するもの | 上司に聞く内容の例 |
|---|---|
| 引き続き使うもの | 会社共通のメールや勤怠は、そのまま使いますか |
| 不要になるもの | 前の部署の顧客資料は、異動後も見る仕事がありますか |
| 新しく使うもの | 異動先の仕事で、どのサービスや資料を使いますか |
| 引き継ぐ物と資料 | 前の部署で使ったファイルや機器は、誰へ渡しますか |
決まった変更内容と異動日を、管理担当者へ伝えます。引継ぎのため前の部署の資料をしばらく使う場合は、何のために、いつまで使うかを上司が決め、終了日も共有します。
変更後は、本人に新しい仕事で必要な資料を開けるか聞き、管理担当者には不要な利用を外したか確認します。新しい利用を追加するだけで終わらせず、前の部署の利用も確認すると、使える範囲が増え続けるのを防げます。
部署の共有場所では、利用者だけでなく、資料の保存先や管理する人も引き継ぎます。今あるフォルダーの見直し方と変更後の記入例は、ISMSの共有フォルダー管理で紹介しています。
記録には「依頼済み」と「完了」を分けて残す
停止を依頼しただけでは、作業が終わったかどうかは分かりません。サービスごとに管理担当者から完了の連絡を受け、誰の利用を、いつ止めたかを記録します。返却物は受け取った人、資料の引継ぎは後任に確認し、一つの表に結果を集めると残りの作業が見えます。
次は、卸売会社の社員が退職する場合の架空例です。人名・日付・状況は説明用の仮設定で、一律の作業期限を示すものではありません。
| 確認したこと | 結果と残る対応の例 |
|---|---|
| 対象者と予定 | 営業部の田中。退職日・最終出勤日は6月30日。利用終了は同日18時と上司が確認 |
| 資料の引継ぎ | 6月27日、後任の鈴木が案件資料を開けることを確認。取引先への担当変更案内も上司が確認 |
| サービスの利用停止 | 6月30日18時10分、情報管理担当の佐藤から、メール・チャット・顧客管理の3サービスで利用停止を確認したと連絡あり |
| 貸与品の返却 | 6月30日、総務の山田がパソコン・充電器・入館カードを受領。スマートフォンは返送待ち |
| 残った作業 | スマートフォンは7月1日到着予定。山田が受領を確認し、届かなければ本人へ連絡する |
スマートフォンが届いたら「7月1日、山田が受領」と追記します。予定を過ぎた作業は担当者に状況を聞き、上司にも共有します。後から別のサービスが見つかった場合は、本人がまだ使える状態かを管理担当者に確認し、必要な対応を依頼します。
「依頼済み」と「完了確認済み」を書き分けると、残った作業を見落としにくくなります。返事を待っているものには、担当者と次に確認する日も残します。
確認表と完了連絡は、関係する担当者が見つけられる場所へまとめます。保存先の考え方は、ISMSの文書・記録管理の基本で紹介しています。
退職・異動時のアカウント管理のよくある質問
退職者のアカウントは、すぐ削除すればよい?
いいえ、必要な資料を確かめずに削除するのは避けます。まず本人が使えないようにし、残すメールや資料の保存・引継ぎを確認してから削除を進めます。削除でデータが消えるサービスもあるため、管理担当者に保存したいものを伝えます。
退職日と最終出勤日が違う場合、いつ利用を止める?
最終出勤日の後に仕事で使わないなら、その日の業務終了時を基準に止める日程を組めます。残りの期間にも使う業務がある場合は、上司が必要性と終了日時を確認し、管理担当者へ伝えます。退職後も本人が使える状態は残さないようにします。
異動者のサービスも、全部止める必要がある?
いいえ、異動先でも必要なサービスは使い続けます。前の仕事だけで使っていたものは利用を外し、新しい仕事に必要なものを追加します。変更内容は異動前後の上司に確認して、管理担当者へ依頼します。
専任の情報システム担当者がいない会社では、誰に頼む?
普段そのサービスを管理している社内担当者や、契約している保守会社に依頼します。分からなければ、総務や上司から申込み・契約を担当した人をたどると、連絡先を探せます。サービスごとの依頼先と、完了連絡を受け取る人を一覧にしておくと、その後も確認しやすくなります。
退職・異動の手順を含め、ISMSの運用を相談する
退職・異動時の管理では、使っていたサービス、引き継ぐ資料、返却物を一覧にすると、誰へ何を頼むかが分かります。利用停止や変更の日時を関係者に伝え、実際に終わったことまで確かめると、次の担当者にも状況を引き継げます。
ISOトラストは、ISO27001(ISMS)の取得から取得後の運用まで支援しています。退職・異動時の役割分担や確認手順を整えたい場合は、現在の確認表と困っている場面を伝え、ISMSの運用についてどのような支援を受けられるか相談できます。
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