ISO9001でよくある不適合・指摘事項とは?審査でよく見られる内容と是正処置の書き方を具体的な事例で解説
株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
監修者情報 金光 壮太
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。
これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。
イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
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株式会社GRAND PLANNING 代表取締役 / ISOトラスト 現役ISOコンサルタント
株式会社GRAND PLANNING代表取締役。ISOコンサルティングサービス「ISOトラスト」を運営し、現役のISOコンサルタントとしてISO9001・ISO14001・ISO27001(ISMS)・ISO45001を中心に、ISO認証取得から運用支援、更新審査まで幅広いコンサルティングを実施。 これまで建設業、製造業、IT企業、サービス業、運送業など、多様な業種・企業規模のISO認証取得・運用支援に携わり、少人数企業から上場企業まで数多くの支援実績。また、認証取得だけでなく、取得後の運用改善や内部監査、更新審査・再認証審査まで継続的にサポート。 イソログでは、実際のISOコンサルティングや審査対応で培った経験をもとに、各社のサービス内容や料金、サポート体制、対応規格などを多角的に調査・比較し、公平で分かりやすい情報を提供。ISO取得を検討している企業担当者や経営者が、自社に最適なISOコンサル会社を選べるよう、実務経験に基づいた視点で記事の監修・情報発信を実施。
これまで多数のISO認証取得・運用支援に携わっています。
- ISO9001(品質マネジメントシステム)
- ISO14001(環境マネジメントシステム)
- ISO27001(ISMS)
- ISO45001(労働安全衛生マネジメントシステム)
- ISO認証取得支援
- ISO運用支援
- 更新審査・再認証審査支援
- 内部監査支援
- マネジメントレビュー支援
- ISOコンサル会社の比較・調査・監修
ISO9001の審査で不適合や指摘事項を受けると、「認証に影響するのではないか」「是正処置に何を書けばよいか分からない」「審査員に言われた内容を社内でどう直せばよいか迷う」と不安になる企業は少なくありません。 しかし、不適合や指摘事項は会社を責めるためのものではなく、品質マネジメントシステムを改善するためのきっかけです。 大切なのは、指摘を受けたこと自体よりも、その後に原因を整理し、必要な修正と是正処置を行い、再発防止と効果確認まで説明できる状態にすることです。 特に、文書管理、記録管理、内部監査、品質目標、マネジメントレビュー、不適合品管理などは、ISO9001審査で指摘されやすい代表的な領域です。 本記事では、200社以上のISOコンサルティング支援を実施してきた企業の監修をもとに、ISO9001でよくある不適合・指摘事項と、是正処置の書き方を具体的な事例で解説します。 実際の支援現場で見えてきた独自情報を、特定企業が分からないよう匿名モデルケースとして整理し、指摘文例、悪い対応例、良い是正処置例、原因分析、効果確認の書き方まで実務目線で紹介します。
この記事でわかること
- ISO9001の不適合・指摘事項は、会社を責めるものではなく、仕組みを改善するための材料です。
- よくある不適合は、文書管理、記録管理、内部監査、品質目標、マネジメントレビュー、不適合品管理などに集中しやすい傾向があります。
- 是正処置では、応急的な修正だけでなく、原因分析、再発防止、担当者、期限、効果確認まで整理することが重要です。
- 悪い是正処置は、担当者への注意や再教育だけで終わりがちです。良い是正処置は、手順、記録、確認体制、教育のどこを変えるかまで明確です。
- 同じ指摘を繰り返さないためには、審査後の対応を記録で終わらせず、内部監査やマネジメントレビューにつなげることが大切です。
ISO9001の不適合・指摘事項とは?審査で改善につなげるためのもの
ISO9001の不適合とは、規格要求事項、自社で決めたルール、顧客要求事項、法令要求事項などに対して、実際の運用が合っていない状態を指します。
たとえば、手順書では点検記録を残すと決めているのに記録がない、品質目標を管理すると決めているのに達成状況を確認していない、内部監査で不適合を出しているのに是正処置が完了していない、といった状態です。
ISO9001の審査で指摘を受けると、悪い評価をされたように感じるかもしれません。
しかし、審査で見られているのは、会社の良し悪しではなく、決めた仕組みが実際に運用され、改善につながっているかです。
不適合や指摘事項は、放置すればリスクになりますが、適切に対応すれば品質マネジメントシステムを良くする材料になります。
実務では、不適合という言葉だけでなく、指摘事項、観察事項、改善の機会、改善提案など、さまざまな表現が使われます。
重要なのは名称に振り回されることではなく、指摘された内容の根拠、影響、原因、対応を整理し、次に同じ問題を起こさない状態にすることです。
不適合・指摘事項は、審査で責められるためのものではなく、ISO9001の仕組みを改善するためのきっかけです。
イソログに届いたリアルな声|不適合・指摘事項で不安になる企業の相談
イソログに届いたリアルな声でも、不適合や指摘事項については「審査員に言われた内容をどう直せばよいか分からない」「是正処置報告書の文章が書けない」「毎年同じ指摘を受けてしまう」といった相談があります。
特にISO担当者が兼務の場合、審査後に短い期限で是正処置をまとめなければならず、目の前の記録を直すだけで精一杯になりがちです。
しかし、審査で求められているのは、単に不足している記録を作ることではありません。
なぜその記録が不足したのか、同じことを繰り返さないために仕組みのどこを直すのかを説明できることが重要です。
イソログに届いた相談内容をもとに、不適合・指摘事項で担当者がつまずきやすい場面をまとめました。
Cases
失敗談・相談事例
取得前に確認しておきたい実務上のつまずきを、横にスライドして確認できます。
審査後に何を書けば是正処置になるのか分からなかった
イソログ相談事例
審査で記録漏れを指摘されましたが、是正処置報告書に「今後注意する」と書く以外の表現が思いつきませんでした。
是正処置では、記録を作り直すだけでなく、漏れが起きた原因と再発防止策を具体的に書くことが重要です。
前回と同じ指摘をまた受けてしまった
イソログ相談事例
前回審査で内部監査の記録不足を指摘され、様式を直しました。
しかし翌年も、内部監査の結果が改善につながっていないと指摘されました。
様式の修正だけでは不十分です。
監査計画、監査員教育、指摘後のフォローまで見直す必要があります。
不適合と観察事項の違いが分からなかった
イソログ相談事例
審査報告書に不適合、観察事項、改善の機会が混在しており、どれを優先して対応すべきか迷いました。
まずは要求事項や社内ルールに対する未達があるかを確認し、不適合は期限を決めて是正処置まで進めることが大切です。
現場に指摘内容を説明しても改善につながらなかった
イソログ相談事例
現場には「審査で指摘されたので直してください」と伝えましたが、なぜ問題なのかが伝わらず、対応が表面的になりました。
指摘事項は、審査対応ではなく業務上のリスクとして説明すると、現場の改善行動につながりやすくなります。
不適合・指摘事項・観察事項・改善提案の違い
ISO9001の審査では、審査機関や審査員によって表現が少し異なることがありますが、一般的には、不適合は要求事項を満たしていない状態、観察事項や改善の機会は現時点で重大な未達ではないものの、将来的に不適合や運用上の問題につながる可能性がある状態として扱われます。
実務で大切なのは、言葉の定義を細かく覚えることよりも、対応の優先度を間違えないことです。
不適合は、原因分析と是正処置が必要になります。
観察事項や改善提案は、必ずしも是正処置報告書が必要とは限りませんが、放置すると次回審査で同じ内容が不適合になることもあります。
内部監査でも同じ考え方が使えます。
内部監査で見つけた問題をすべて不適合にすると現場が疲弊しますが、すべて改善提案にしてしまうと重要な問題が是正されません。
要求事項や社内ルールへの未達があるか、品質や顧客に影響するか、再発しているかを見て判断しましょう。
不適合は是正処置が必要です。
観察事項や改善提案も、放置すると次回審査で不適合につながることがあるため、優先度を決めて対応しましょう。
| 区分 | 意味 | 対応の目安 | 例 |
|---|---|---|---|
| 不適合 | 規格要求事項や社内ルールを満たしていない状態 | 原因分析、是正処置、効果確認が必要 | 手順書で定めた検査記録が残っていない |
| 軽微な不適合 | システム全体への影響は限定的だが、要求事項の未達がある状態 | 期限を決めて是正処置を行う | 一部の教育記録に承認漏れがある |
| 重大な不適合 | 要求事項の未達が広範囲、または品質システムの有効性に大きく影響する状態 | 速やかな是正、原因分析、再発防止が必要 | 内部監査やマネジメントレビューが長期間実施されていない |
| 観察事項 | 現時点では不適合とまでは言えないが、注意が必要な状態 | 次回までに見直しや改善を検討する | 記録はあるが、記載内容が部署によってばらついている |
| 改善提案 | より良い運用にするための提案 | 必要性や効果を見て採用を判断する | 文書一覧に保管場所の列を追加すると探しやすい |
ISO9001審査でよく見られる不適合・指摘事項の全体像
ISO9001審査でよく見られる不適合・指摘事項には、いくつかの共通パターンがあります。
多いのは、文書管理・記録管理の不備、内部監査の形骸化、品質目標の管理不足、マネジメントレビューのアウトプット不足、教育訓練記録の不足、不適合品やクレーム対応の記録不足です。
これらの指摘に共通しているのは、仕組みそのものがないというより、決めたルールと実際の運用がずれていることです。
たとえば、文書一覧はあるが最新版が分からない、内部監査は実施しているが指摘後のフォローがない、品質目標はあるが未達時の原因分析がない、マネジメントレビューは開催しているが経営層の判断が記録されていない、といった状態です。
審査前に確認する場合は、規格要求事項を一つずつ読むだけでなく、「決めたことが実際に行われているか」「記録で説明できるか」「問題があったときに改善までつながっているか」を見ると、不適合になりやすい部分を見つけやすくなります。
よくある指摘は、仕組みがまったくないことよりも、決めたルールと実際の運用がずれていることから発生しやすいです。
| 領域 | よくある状態 | 審査で見られるポイント |
|---|---|---|
| 文書管理 | 最新版が分からない、旧版が現場に残っている | 文書の承認、改訂、配布、廃止が管理されているか |
| 記録管理 | 必要な記録が残っていない、保管場所が不明 | 記録の作成、保管、検索、保管期間が決まっているか |
| 内部監査 | 毎年同じ質問だけで終わり、改善につながっていない | 監査計画、監査結果、是正処置、フォローが確認できるか |
| 品質目標 | 目標が抽象的、未達時の原因分析がない | 測定可能性、進捗確認、未達時対応があるか |
| マネジメントレビュー | インプット不足、アウトプットが具体的でない | 経営層の判断、資源、改善指示が記録されているか |
| 教育訓練 | 必要な力量が定義されていない、教育記録が不足 | 力量基準、教育実施、評価記録があるか |
文書管理・記録管理でよくある不適合事例
文書管理・記録管理は、ISO9001審査で指摘されやすい領域です。
特に、最新版管理ができていない、旧版が現場で使われている、承認のない様式を使っている、必要な記録が残っていない、保管期間や保管場所が決まっていないといった不備はよく見られます。
文書管理では、手順書や規程、様式が最新版として管理され、必要な人が正しい版を使える状態になっているかが確認されます。
記録管理では、実施した事実を後から確認できるように、必要な記録が残り、検索でき、保管期間に沿って管理されているかが見られます。
ここで重要なのは、文書や記録を増やすことではありません。
審査で説明できる状態とは、必要なルールと記録が過不足なく管理され、現場で使いやすい状態になっていることです。
文書管理・記録管理の是正処置では、目の前の不足を直すだけでなく、最新版の確認方法、保管場所、責任者、確認頻度まで見直しましょう。
| 確認項目 | 指摘文例 | 弱い是正処置 | 良い是正処置 |
|---|---|---|---|
| 最新版管理 | 製造現場で使用している作業手順書が文書一覧の最新版と一致しておらず、旧版が使用されていた。 | 旧版を回収し、最新版に差し替えた。 | 旧版を回収して最新版に差し替えたうえで、文書改訂時の配布先確認欄を文書一覧に追加する。改訂後は品質保証部が現場掲示版と共有フォルダを確認し、1か月後の内部確認で旧版が残っていないことを確認する。 |
| 様式管理 | 検査記録に承認されていない独自様式が使用されており、必要な判定欄が含まれていなかった。 | 正しい様式を使うよう周知した。 | 使用中の検査記録様式を棚卸しし、承認済み様式以外を廃止する。共有フォルダには最新版のみを掲載し、現場リーダーが月次で使用様式を確認する。 |
| 記録保管 | 教育記録の保管場所が部署ごとに異なり、対象者の教育完了状況を確認できなかった。 | 不足している教育記録を集めた。 | 教育記録の保管場所を人事フォルダに統一し、教育対象者一覧と教育記録を紐づけて管理する。毎月末に人事担当者が未完了者を確認し、品質保証部へ報告する。 |
| 保管期間 | 顧客クレーム対応記録の保管期間が定められておらず、過去の再発状況を確認できなかった。 | 今後は記録を保管する。 | 記録管理表にクレーム対応記録の保管期間と保管責任者を追加する。過去1年分の記録を整理し、同一原因の再発状況をマネジメントレビューに報告する。 |
内部監査でよくある不適合事例
内部監査は、ISO9001の運用状況を自社で確認し、改善につなげるための重要な活動です。
しかし実務では、毎年同じ部署に同じ質問をして終わる、監査結果がチェックだけで終わる、監査で見つけた問題が是正処置につながらない、監査員の力量が確認されていないといった指摘がよくあります。
審査では、内部監査を実施しているかだけでなく、監査計画がプロセスやリスクを考慮しているか、監査結果に客観的証拠があるか、不適合や改善点がフォローされているかが確認されます。
内部監査が形だけになっていると、ISO9001の改善活動が機能していないと見られやすくなります。
内部監査の指摘は、現場の粗探しではありません。
業務の抜け漏れやリスクを早めに見つけ、外部審査や顧客トラブルの前に改善するためのものです。
内部監査で指摘されやすいのは、実施の有無ではなく、計画、根拠、指摘後のフォロー、監査員の力量が説明できるかです。
| 確認項目 | 指摘文例 | 弱い是正処置 | 良い是正処置 |
|---|---|---|---|
| 監査計画 | 内部監査計画が毎年同一であり、前年度の不適合や品質目標未達のプロセスが重点監査対象に反映されていなかった。 | 次回から重点監査を行う。 | 内部監査計画書に前年度不適合、品質目標未達、顧客クレーム発生状況を考慮する欄を追加する。次回計画作成時に品質保証部が重点監査対象を選定し、管理責任者が承認する。 |
| 監査記録 | 内部監査記録に確認した記録名やサンプルが記載されておらず、適合判断の根拠を確認できなかった。 | 監査記録を詳しく書くようにした。 | 内部監査記録様式に確認資料、対象期間、サンプル件数、確認結果の記入欄を追加する。監査員へ記入例を共有し、次回監査後に品質保証部が記録内容をレビューする。 |
| 是正フォロー | 内部監査で指摘された不適合について、是正処置の完了確認と効果確認の記録が残されていなかった。 | 是正完了を確認した。 | 内部監査指摘一覧に是正期限、完了日、完了確認者、効果確認予定日、効果確認結果を追加する。指摘後3か月以内に再発有無を確認し、未完了案件は品質会議で報告する。 |
| 監査員力量 | 内部監査員の選定基準や教育記録がなく、監査員として必要な力量を確認できなかった。 | 監査員に教育を実施した。 | 内部監査員の力量基準を定め、監査経験、教育受講、監査記録作成能力を評価する。新任監査員は初回監査時に経験者が同席し、監査後に記録レビューを行う。 |
品質目標管理でよくある不適合事例
品質目標管理では、目標が抽象的で測定できない、品質方針とのつながりが説明できない、達成状況を確認していない、未達時の原因分析や改善策がないといった指摘がよくあります。
ISO9001では、品質目標を設定するだけでなく、達成に向けた計画を立て、必要に応じて監視し、更新することが求められます。
そのため、年度初めに目標を決めて、年度末に結果だけ確認する運用では、途中の管理が弱いと見られることがあります。
品質目標が未達だったこと自体が必ず不適合になるわけではありません。
問題になりやすいのは、未達なのに原因分析がない、次の対策がない、経営層の見直しにつながっていない状態です。
品質目標の是正処置では、目標値、測定方法、確認頻度、未達時対応、品質方針との関係まで整理すると、審査で説明しやすくなります。
| 確認項目 | 指摘文例 | 弱い是正処置 | 良い是正処置 |
|---|---|---|---|
| 測定可能性 | 品質目標が品質向上という表現のみで、達成基準、測定方法、目標値が設定されていなかった。 | 品質目標を見直した。 | 品質方針の顧客満足向上に対応する指標として、顧客クレーム件数を月3件以下に設定する。品質目標管理表に目標値、実績、責任者、確認頻度を追加し、月次会議で確認する。 |
| 進捗確認 | 品質目標の達成状況が年度末にのみ確認されており、期中の監視記録がなかった。 | 今後は定期的に確認する。 | 品質目標管理表に月次実績欄を追加し、各部門長が毎月末に実績を入力する。未達傾向が2か月連続した場合は、原因と対策を品質会議で確認する。 |
| 未達時対応 | 品質目標が未達であったにもかかわらず、原因分析と改善策が記録されていなかった。 | 次年度も改善を継続する。 | 未達項目ごとに原因分析欄と対策欄を追加する。今回の未達原因は新任者教育の遅れであったため、教育対象者一覧を月初に更新し、教育完了率を月次で確認する。 |
| 方針との整合 | 部門別品質目標と品質方針の関係が明確でなく、品質方針を実務に展開していることを確認できなかった。 | 品質方針に合わせて目標を作る。 | 品質目標管理表に品質方針との関連欄を追加する。各部門の目標が顧客満足、品質安定、納期遵守、改善活動のどれに対応するかを明記し、マネジメントレビューで妥当性を確認する。 |
マネジメントレビューでよくある不適合事例
マネジメントレビューでは、開催していることだけでなく、必要なインプットが確認され、経営層によるアウトプットが記録されているかが見られます。
よくある指摘は、議事録にインプット項目が不足している、アウトプットが「継続する」だけで具体性がない、前回の指示事項のフォローがない、資源や改善に関する判断が記録されていないといった内容です。
マネジメントレビューは、ISO担当者が審査用に作る会議記録ではありません。
品質目標、顧客満足、内部監査、不適合・是正処置、外部提供者、資源、改善機会などを経営層が確認し、次に何をするかを決める場です。
そのため、議事録では「報告した」だけでなく、「経営層が何を判断したか」「誰がいつまでに何をするか」が分かることが重要です。
マネジメントレビューでは、必要なインプットがそろい、経営層の具体的な判断がアウトプットとして残っているかが重要です。
| 確認項目 | 指摘文例 | 弱い是正処置 | 良い是正処置 |
|---|---|---|---|
| インプット | マネジメントレビュー議事録に、内部監査結果、不適合・是正処置、顧客満足に関するインプットが含まれていなかった。 | 次回から必要項目を入れる。 | 議事録様式にISO9001で求められるインプット項目を一覧化し、各項目の資料担当者を設定する。開催前に品質保証部が資料の有無を確認し、未提出項目は管理責任者へ報告する。 |
| アウトプット | マネジメントレビューのアウトプットが全項目で現状維持と記載されており、改善や資源に関する判断内容を確認できなかった。 | アウトプットを詳しく書く。 | アウトプット欄に決定事項、担当者、期限、必要資源、フォロー方法を追加する。今回のレビューでは、クレーム増加に対して検査手順の見直しと教育実施を決定し、次回会議で効果を確認する。 |
| 前回フォロー | 前回マネジメントレビューで決定した教育計画の実施状況が、今回レビューで確認されていなかった。 | 前回分も確認する。 | 議事録の冒頭に前回アウトプットのフォロー欄を追加し、完了、未完了、継続、効果確認結果を記録する。未完了項目は期限と責任者を再設定する。 |
| 経営判断 | 品質目標未達や内部監査指摘に対して、経営層の判断や資源配分に関する記録がなかった。 | 経営層に報告した。 | 品質目標未達と内部監査指摘を経営課題として整理し、必要な教育時間、担当者、システム改善の要否をレビューで判断する。決定事項はアウトプットとして記録し、次回レビューで実施状況を確認する。 |
教育訓練・力量管理でよくある不適合事例
教育訓練・力量管理では、教育を実施したかだけでなく、業務に必要な力量を明確にし、その力量を満たしているかを評価しているかが確認されます。
よくある指摘は、力量基準がない、教育記録が不足している、教育を受けたことは分かるが有効性評価がない、新任者や異動者の教育漏れがあるといった内容です。
ISO9001では、品質に影響する業務を行う人に必要な力量を明確にし、必要に応じて教育訓練などの処置を行い、その有効性を評価することが求められます。
つまり、教育記録を残すだけではなく、その人が実際に業務を行える状態になっているかを確認する必要があります。
特に、検査員、設計担当者、現場責任者、クレーム対応担当者、内部監査員などは、品質への影響が大きいため、力量の根拠を説明できるようにしておきましょう。
教育訓練では、教育した事実だけでなく、必要な力量を満たしているか、教育が有効だったかまで確認しましょう。
| 確認項目 | 指摘文例 | 弱い是正処置 | 良い是正処置 |
|---|---|---|---|
| 力量基準 | 検査業務に必要な力量基準が定められておらず、検査員が適切な力量を持っていることを確認できなかった。 | 検査員に教育を実施した。 | 検査員の力量基準として、検査手順理解、判定基準理解、実務経験、判定結果の一致率を設定する。既存検査員を基準に照らして評価し、不足がある場合は再教育と実地確認を行う。 |
| 教育記録 | 新任担当者の教育記録が一部残されておらず、必要な教育が完了したことを確認できなかった。 | 不足していた教育記録を作成した。 | 入社・異動時に教育対象者一覧を作成し、教育項目、実施日、講師、理解度確認、承認欄を一元管理する。毎月、人事担当者と部門長が未完了者を確認する。 |
| 有効性評価 | 教育実施記録はあるが、教育後に業務を適切に実施できるかの有効性評価が記録されていなかった。 | 教育後に確認するようにした。 | 教育記録に有効性評価欄を追加し、教育後1か月以内に上長が作業観察または記録レビューで評価する。評価結果が基準未満の場合は追加教育を行う。 |
| 内部監査員教育 | 内部監査員に対する教育記録がなく、監査員として必要な力量を確認できなかった。 | 監査員研修を受けた。 | 内部監査員の登録基準を定め、研修受講、監査同行、監査記録レビューを力量評価の条件にする。年1回、監査員一覧と力量評価結果を見直す。 |
不適合品管理・クレーム対応でよくある不適合事例
不適合品管理やクレーム対応では、問題が発生したときに、どのように識別し、処置し、原因を分析し、再発防止したかが確認されます。
よくある指摘は、不適合品の識別が不十分、処置結果の記録がない、顧客クレームの原因分析が浅い、再発防止や効果確認が記録されていないといった内容です。
現場では、不良品を手直しした、顧客に謝罪した、代替品を送った、という応急対応で終わってしまうことがあります。
しかしISO9001では、不適合な製品やサービスを管理し、必要に応じて是正処置を行い、同じ問題を繰り返さない仕組みが求められます。
特に顧客クレームは、品質マネジメントシステムの有効性を確認する重要な情報です。
クレーム件数だけでなく、原因分類、再発状況、是正処置の効果まで見ることが重要です。
不適合品やクレームの対応では、応急処置だけで終わらせず、原因分析、再発防止、効果確認まで記録に残すことが重要です。
| 確認項目 | 指摘文例 | 弱い是正処置 | 良い是正処置 |
|---|---|---|---|
| 不適合品識別 | 不適合品が適合品と同じ保管場所に置かれており、誤出荷を防ぐ識別管理が不十分であった。 | 不適合品を別の場所に移動した。 | 不適合品置き場を明確に区分し、識別票の添付を必須にする。現場リーダーが毎日終業時に不適合品置き場を確認し、1か月後に誤混入がないことを記録で確認する。 |
| 処置記録 | 不適合品の手直し結果について、再検査の記録が残されていなかった。 | 再検査を実施した。 | 不適合品処置記録に処置内容、再検査者、再検査結果、出荷可否判定欄を追加する。手直し品は再検査記録が承認されるまで出荷できないルールに変更する。 |
| クレーム原因分析 | 顧客クレームに対する原因が担当者の確認不足と記載されているのみで、再発防止策につながる原因分析が行われていなかった。 | 担当者へ注意喚起した。 | 確認不足の背景として、出荷前チェック項目に梱包状態の確認が含まれていなかったことを原因と特定する。チェックリストを改訂し、出荷担当者へ教育したうえで、翌3か月の同一原因クレーム件数を確認する。 |
| 効果確認 | 是正処置後に同一原因の再発有無を確認した記録がなく、処置の有効性を確認できなかった。 | 再発していないことを確認する。 | 是正処置一覧に効果確認予定日と確認方法を追加する。同一原因クレームについて、是正後3か月間の発生件数を品質会議で確認し、結果を是正処置記録に残す。 |
是正処置の書き方|悪い例・良い例で解説
是正処置とは、発生した不適合の原因を取り除き、再発を防ぐための処置です。
ここで混同しやすいのが、修正と是正処置の違いです。
修正は、発生した不適合をその場で直すことです。
一方、是正処置は、なぜ不適合が起きたのかを分析し、同じ問題が再発しないように仕組みを見直すことです。
たとえば、教育記録が残っていなかった場合、不足している教育記録を作成することは修正です。
しかし、なぜ教育記録が残らなかったのかを確認し、教育対象者の抽出方法、記録様式、責任者、確認頻度を見直すことが是正処置です。
是正処置報告書では、不適合の内容、影響確認、修正、原因分析、是正処置、担当者、期限、効果確認を整理すると、審査員にも社内にも伝わりやすくなります。
是正処置は、発生した問題を直すだけではなく、同じ問題が起きないように仕組みを変えることです。
| 項目 | 悪い書き方 | 良い書き方 |
|---|---|---|
| 不適合内容 | 記録漏れがあった。 | 2026年4月から6月の新任者教育記録3件について、教育実施日は確認できたが、理解度確認と承認欄が未記入であった。 |
| 修正 | 記録を直した。 | 対象3件について、実施内容と受講者を確認し、理解度確認を実施したうえで教育記録を補完した。 |
| 原因分析 | 担当者が忘れていた。 | 教育実施後に記録を品質保証部へ提出する期限が明確でなく、部門長による月次確認も設定されていなかった。 |
| 是正処置 | 担当者に注意した。 | 教育記録様式に提出期限と確認者欄を追加し、毎月末に部門長が未提出記録を確認する運用へ変更する。新任者教育の対象者一覧は人事が月初に更新する。 |
| 効果確認 | 再発がないか確認する。 | 是正後3か月間、教育対象者一覧と教育記録を照合し、未提出または未承認の記録が0件であることを確認する。 |
原因分析の書き方|担当者のミスで終わらせない
ISO9001の不適合対応でよくある失敗が、原因分析を「担当者の確認不足」「注意不足」「教育不足」で終わらせてしまうことです。
もちろん担当者の確認漏れが直接のきっかけになることはありますが、それだけでは再発防止につながりにくくなります。
原因分析では、なぜ担当者が確認できなかったのか、なぜ教育が不足したのか、なぜ記録漏れに気づけなかったのかを掘り下げる必要があります。
手順、様式、責任者、確認頻度、教育、情報共有、承認ルート、システムの使い方など、仕組みのどこに弱さがあったのかを見ます。
現役ISOコンサルタントの支援現場でも、同じ指摘を繰り返す会社ほど、原因が個人の注意不足で止まっている傾向があります。
原因を仕組みの問題として捉えると、是正処置も具体的になり、審査で説明しやすくなります。
原因分析では、人のミスで止めず、手順、記録、責任者、確認体制、教育のどこに弱さがあったかを見ましょう。
| 不適合の内容 | 浅い原因分析 | 深掘りした原因分析 |
|---|---|---|
| 検査記録の記入漏れ | 担当者が記入を忘れた。 | 検査完了後に記録を確認する責任者が決まっておらず、日次での記録確認が運用されていなかった。 |
| 旧版手順書の使用 | 現場が最新版を確認していなかった。 | 文書改訂時に現場掲示版と共有フォルダを更新する手順がなく、旧版回収の確認記録もなかった。 |
| 品質目標の未達対応なし | 部門長の意識が不足していた。 | 品質目標の月次確認ルールがなく、未達傾向を品質会議で報告する基準が定められていなかった。 |
| 内部監査のフォロー不足 | 監査員がフォローを忘れた。 | 内部監査指摘一覧に効果確認予定日と確認責任者の欄がなく、未完了案件を管理する仕組みがなかった。 |
| クレーム再発 | 担当者の確認不足だった。 | 出荷前チェックリストに該当確認項目がなく、同一原因クレームを分類して確認するルールもなかった。 |
再発防止と効果確認の具体例
是正処置では、再発防止と効果確認が重要です。
再発防止は、同じ不適合を繰り返さないために仕組みを変えることです。
効果確認は、その処置が実際に有効だったかを後から確認することです。
よくある弱い対応は、「担当者へ周知した」「教育を実施した」「今後注意する」で終わることです。
これらは必要な場合もありますが、それだけでは本当に再発を防げるかが分かりません。
再発防止としては、チェック方法の追加、記録様式の改訂、承認ルートの明確化、管理表への項目追加、定期確認の設定など、仕組みに残る変更を入れることが大切です。
効果確認では、何を、いつ、誰が、どの記録で確認するかを決めます。
確認時期は内容によって異なりますが、1か月後、3か月後、次回内部監査時、次回マネジメントレビュー時など、実際に再発有無を判断できるタイミングを設定しましょう。
再発防止は仕組みに残る変更、効果確認はその変更が有効だったことを記録で示す活動です。
| 不適合 | 再発防止策 | 効果確認の書き方 |
|---|---|---|
| 旧版手順書の使用 | 文書改訂時に配布先確認表を作成し、現場掲示版と共有フォルダの更新を品質保証部が確認する。 | 是正後1か月以内に対象文書3件をサンプリングし、現場掲示版と共有フォルダが最新版であることを確認する。 |
| 教育記録の承認漏れ | 教育記録様式に承認者欄と提出期限を追加し、月末に部門長が未承認記録を確認する。 | 是正後3か月間、教育対象者一覧と教育記録を照合し、未承認記録が0件であることを確認する。 |
| 品質目標の未達対応なし | 品質目標管理表に未達時の原因分析欄と対策欄を追加し、2か月連続未達の場合は品質会議で報告する。 | 次回四半期会議で、未達項目に原因と対策が記録されているかを確認する。 |
| 内部監査指摘のフォロー不足 | 内部監査指摘一覧に完了確認者、効果確認予定日、効果確認結果を追加する。 | 次回内部監査前に全指摘事項の完了状況を確認し、期限超過がないことを記録する。 |
| 顧客クレーム再発 | 同一原因クレームを分類し、出荷前チェックリストに原因別の確認項目を追加する。 | 是正後3か月間、同一原因クレームの発生件数を月次で確認し、0件であることを品質会議で確認する。 |
審査後にやってはいけない不適合対応
不適合や指摘事項を受けた後に、急いで対応しようとするあまり、かえって次回審査で問題になりやすい対応をしてしまうことがあります。
特に注意したいのは、その場しのぎで記録だけ整える、原因を個人の責任だけにする、是正処置の効果確認を残さない、指摘内容を社内に共有しない、といった対応です。
審査後は期限があるため、まず不足している記録や現場状態を修正することは必要です。
しかし、それだけで終わると、同じ不適合が再発しやすくなります。
審査員が次回確認するのは、指摘された記録が一時的に直っているかだけではなく、同じ問題を起こさない仕組みになっているかです。
また、指摘内容をISO担当者だけで抱え込むのも避けたい対応です。
不適合の多くは、現場、管理部門、経営層の運用と関係しています。
関係者に内容を共有し、なぜ問題なのか、どの業務リスクにつながるのかを説明することで、実効性のある改善につながります。
審査後の対応は、記録を整えるだけで終わらせず、同じ問題を繰り返さない仕組みまで直すことが重要です。
| やってはいけない対応 | なぜ問題か | 見直し方 |
|---|---|---|
| 不足記録を後から作るだけで終わる | なぜ記録漏れが起きたのかが改善されず、再発しやすい | 記録作成のタイミング、責任者、確認方法を見直す |
| 担当者への注意だけで終わる | 個人の意識に依存し、仕組みとして再発防止になりにくい | 手順、様式、承認、教育、チェック体制を見直す |
| 是正処置に期限や担当者を書かない | 誰がいつまでに対応するか分からず、未完了になりやすい | 是正処置一覧で担当者、期限、完了確認者を管理する |
| 効果確認を残さない | 処置が有効だったか説明できない | 1か月後、3か月後、次回監査時など確認時期と方法を決める |
| 指摘内容を社内共有しない | ISO担当者だけの対応になり、現場の行動が変わらない | 関係部署へ指摘の背景、影響、対応内容を共有する |
| 同じ指摘を軽く扱う | 再発している問題は仕組みの弱さと見られやすい | 前回是正処置の有効性を見直し、原因分析をやり直す |
匿名モデルケース|同じ指摘を繰り返す会社が改善できた例
ここでは、実際の支援先企業で見られた傾向を、特定企業が分からないように配慮した匿名モデルケースとして紹介します。
ある会社では、2年連続で内部監査に関する指摘を受けていました。
1年目は、内部監査記録に確認した資料名やサンプルが記載されていないという指摘でした。
会社は監査記録様式に確認資料欄を追加しましたが、翌年も内部監査が改善につながっていないとして、同じような指摘を受けました。
原因を確認すると、問題は様式だけではありませんでした。
監査計画が毎年同じ部署を同じ順番で回るだけになっており、前年度の不適合、品質目標未達、顧客クレームの発生状況が監査テーマに反映されていませんでした。
また、監査員がどのように客観的証拠を確認すればよいか理解しておらず、監査後の是正処置フォローも一覧管理されていませんでした。
そこで、内部監査計画書に重点監査テーマの欄を追加し、前年度不適合、品質目標未達、顧客クレームの内容をもとに監査対象を決める運用に変更しました。
監査記録様式には、確認資料、対象期間、サンプル件数、確認結果を記入する欄を追加しました。
さらに、内部監査指摘一覧を作成し、是正期限、完了確認者、効果確認予定日を管理するようにしました。
次回審査では、内部監査で品質目標未達の部門を重点的に確認し、未達原因と改善策が品質会議とマネジメントレビューに報告されていることを説明できました。
このケースで重要だったのは、指摘された様式を直したことではなく、監査計画、監査員教育、是正フォローまで含めて仕組みを見直したことです。
同じ指摘を繰り返す場合は、前回の是正処置が表面的だった可能性があります。
原因分析をやり直し、運用全体を見直しましょう。
自社だけで不適合対応すべきか、ISOコンサルタントに相談すべきか
ISO9001の不適合対応は、自社だけで進めることも可能です。
不適合の内容が限定的で、原因が明確であり、社内で手順や記録を見直せる場合は、ISO担当者と関係部署で対応できます。
たとえば、一部の記録漏れや様式の記入不足など、影響範囲が明確なものは自社対応でも進めやすいでしょう。
一方で、同じ指摘を繰り返している、不適合の原因が複数部門にまたがる、是正処置報告書の書き方が分からない、重大な不適合を受けた、審査期限までに対応を整理できない、といった場合は、外部のISOコンサルタントに相談した方が進めやすい場合があります。
外部支援を使う目的は、審査員に提出する文章だけを整えることではありません。
指摘内容の根拠を整理し、原因分析を深掘りし、修正と是正処置を分けて考え、再発防止と効果確認まで運用に落とし込むことが重要です。
特に、文書管理、内部監査、品質目標、マネジメントレビューなど複数の仕組みに関係する指摘は、全体を見て直した方が効果的です。
不適合対応は文章を整えるだけでは不十分です。
原因分析と再発防止を運用に落とし込めるかを基準に、自社対応か外部支援かを判断しましょう。
| 状況 | 自社対応で進めやすいケース | 外部支援を検討したいケース |
|---|---|---|
| 指摘の範囲 | 一部の記録漏れや様式不備など、影響範囲が限定的 | 複数部門、複数プロセスに関係する指摘を受けている |
| 原因分析 | 原因が明確で、社内で再発防止策を決められる | 原因が担当者のミスで止まり、深掘りできていない |
| 再発状況 | 初回の指摘で、同じ問題は繰り返していない | 前回と同じ指摘を再度受けている |
| 報告書作成 | 不適合内容、原因、是正処置、効果確認を自社で書ける | 是正処置報告書に何を書けばよいか分からない |
| 審査期限 | 期限までに関係部署と調整できる | 提出期限が近く、対応方針の整理が間に合わない |
| 仕組みの見直し | 一部の手順や記録様式の修正で対応できる | 内部監査、品質目標、マネジメントレビューなど全体を見直す必要がある |
まとめ|不適合は隠すものではなく、ISO9001を改善するための材料
ISO9001で不適合や指摘事項を受けると、不安になるのは自然です。
しかし、不適合は会社を責めるものではなく、品質マネジメントシステムを改善するための材料です。
重要なのは、指摘されたことを隠したり、その場しのぎで記録だけ整えたりすることではなく、原因を整理し、同じ問題を繰り返さない仕組みに変えることです。
ISO9001審査でよく見られる指摘は、文書管理・記録管理、内部監査、品質目標、マネジメントレビュー、教育訓練、不適合品管理、クレーム対応などに集中しやすい傾向があります。
これらは、どれも仕組み自体がないというより、決めたルールと実際の運用がずれていることで発生しやすいものです。
是正処置では、まず発生した問題を修正し、そのうえで原因分析を行い、再発防止策を決め、担当者、期限、効果確認方法まで記録しましょう。
「担当者に注意した」「今後気をつける」だけでは、再発防止として弱く見られます。
手順、記録、責任者、確認体制、教育のどこを変えるのかまで具体化することが大切です。
自社だけで不適合対応を整理するのが難しい場合は、ISO9001の審査対応や運用改善に強いコンサル会社を比較しておくと安心です。
単に報告書を作るだけでなく、同じ指摘を繰り返さない仕組みづくりまで支援してくれる会社を選びましょう。
不適合は隠すものではなく、改善に使うものです。
原因分析、是正処置、効果確認までつなげることで、ISO9001の運用が強くなります。
ISOコンサル会社選びで迷ったら、まずは比較してみましょう。
目的や規格に合う会社を整理し、取得までの進め方を確認できます。
おすすめ会社を見るよくある質問
ISO9001で不適合を受けると認証は取り消されますか?
不適合を受けたからといって、直ちに認証が取り消されるとは限りません。
多くの場合は、期限内に原因分析と是正処置を行い、審査機関に認められれば認証の維持が可能です。
ただし、重大な不適合を放置したり、是正処置が不十分だったりする場合は、認証に影響する可能性があります。
軽微な不適合と重大な不適合の違いは何ですか?
軽微な不適合は、要求事項の未達があるものの、品質マネジメントシステム全体への影響が限定的な状態です。
重大な不適合は、要求事項の未達が広範囲に及ぶ場合や、システムの有効性に大きな影響がある場合に扱われます。
具体的な判断は審査機関や審査内容によって異なります。
是正処置はいつまでに提出する必要がありますか?
提出期限は審査機関や不適合の内容によって異なります。
一般的には、審査報告書で期限が示されるため、その期限に合わせて原因分析、修正、是正処置、効果確認方法を整理します。
期限が短い場合でも、記録を整えるだけでなく、再発防止まで説明できる内容にすることが重要です。
是正処置と修正の違いは何ですか?
修正は、発生した不適合をその場で直すことです。
たとえば、不足していた記録を補完する、旧版文書を最新版に差し替える、といった対応です。
是正処置は、不適合の原因を取り除き、同じ問題が再発しないように仕組みを見直すことです。
審査では、修正だけでなく是正処置まで求められることがあります。
原因分析はどこまで書けばよいですか?
担当者の確認不足や注意不足で終わらせず、なぜ確認不足が起きたのかを掘り下げることが重要です。
手順が不明確だったのか、記録様式に必要な欄がなかったのか、責任者や確認頻度が決まっていなかったのか、教育や周知が不足していたのかなど、再発防止につながる原因まで整理しましょう。
内部監査で見つけた指摘も是正処置が必要ですか?
内部監査で見つけた内容が、規格要求事項や社内ルールに対する不適合であれば、是正処置が必要になる場合があります。
一方、改善提案や軽微な気づきであれば、優先度を決めて改善活動として扱うこともあります。
重要なのは、内部監査で見つけた問題を放置せず、必要に応じて原因分析やフォローにつなげることです。
同じ指摘を繰り返すとどうなりますか?
同じ指摘を繰り返すと、前回の是正処置が有効ではなかった、または仕組みとして改善できていないと見られる可能性があります。
再発した場合は、前回の原因分析や是正処置が表面的でなかったかを見直し、手順、記録、教育、責任者、効果確認のどこに弱さがあったかを再確認しましょう。
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監修者コメント
200社以上のISOコンサルティング支援を実施してきた企業の監修を前提に、不適合対応でつまずきやすい原因分析、修正と是正処置の違い、再発防止、効果確認を実務的に整理しました。
単なる不適合一覧ではなく、実際の指摘文、弱い是正処置、良い是正処置を比較できる構成にし、特定企業が分からないよう匿名モデルケースとして具体性を持たせています。