ISOの内部監査とは?目的・外部監査との違いを初心者向けに解説
ISOの内部監査とは、自社の仕事の進め方を、ISO規格や社内で決めたルールと照らし合わせて確認する活動です。 記録を見たり、担当者に話を聞いたりして、改善につなげます。 初めて内部監査を任されると、「何を確認すればよいのか」「外部の審査とは何が違うのか」と迷うこともあるでしょう。 まずは、内部監査の目的と、仕事を見るときの基本を理解すれば大丈夫です。 この記事では、ISO9001・ISO14001・ISO27001の内部監査について、身近な例を使って説明します。 ISO内部監査員養成講座ガイドの1本目として、これから学ぶ方が全体像をつかめる内容にまとめました。
この記事でわかること
- ISOの内部監査の意味と目的
- 内部監査・取引先の監査・認証審査の違い
- ISO9001・ISO14001・ISO27001で確認する仕事と記録の例
- 初めて内部監査を担当する方が学ぶ順番
ISOの内部監査とは?まずは基本を知ろう
ISOの内部監査は、会社が自分たちの仕事の仕組みを確かめるために行う監査です。
「監査」と聞くと難しく感じますが、ここでは、決めた基準と実際の仕事を照らし合わせ、事実に基づいて確認することだと考えてください。
たとえば、会社で「出荷前に商品を点検し、結果を記録する」と決めているとします。
内部監査では、そのルールがISO規格などの必要な条件に合っているか、現場で点検が行われているかを確認します。
さらに、点検によって商品の間違いや不具合を見つけられているかも確かめます。
対象になるのは、品質や環境、情報セキュリティなどを管理する会社の仕組みです。
この仕組みを「マネジメントシステム」と呼びます。
手順書だけでなく、担当者の役割、仕事の進め方、記録、見直しの方法も含まれます。
この記事では、ISO9001・ISO14001・ISO27001のマネジメントシステムを対象にした内部監査の基本を紹介します。
最初に覚えたいのは「決めたルール」「実際の仕事」「その結果」の3つです。
このつながりを見ると、何のために記録を確認するのかがわかりやすくなります。
イソログに寄せられたリアルな声
初めて担当すると、疑問をうまく言葉にできないこともあります。
ここでは、内部監査を学び始める方の疑問と、最初に確認することを整理しました。
以下は編集部が作成した架空の相談例です。業種・人数・状況は仮設定で、実際に届いた発言や顧客の体験談を紹介するものではありません。
Voices
イソログに寄せられたリアルな声
ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。
何から勉強すればよいのかわからない
イソログ相談例
通常の仕事と兼任で内部監査を担当することになりました。
規格や手順書を開いても、最初に読む場所を決められません。
自社の規格、今回確認する仕事、社内の監査手順を先に確認すると、学ぶ範囲を整理できます。
担当者にどう質問すればよいか迷う
イソログ相談例
「ルールを守っていますか」と聞くと、「守っています」という返事で話が終わってしまいます。
具体的な仕事の進め方を知りたいと感じています。
「最近行った仕事を例に、手順と記録を見せていただけますか」と聞くと、実際の状況を一緒に確かめやすくなります。
書類がそろっていればよいのか知りたい
イソログ相談例
手順書と記録はそろっています。
ただ、それだけで十分か、現場の仕事も見たほうがよいのか判断に迷います。
書類の有無に加えて、実際にその手順で仕事をしているか、記録が仕事の事実と合っているかを確認します。
認証審査があるのに、内部監査も行う理由は?
イソログ相談例
認証機関の審査を受けているため、社内でも監査する意味を知りたいと考えています。
内部監査は自社の課題を見つけて改善する機会です。
認証審査との役割の違いを知ると、両方を行う意味が整理できます。
普段の仕事を続けながら基礎を学びたい
イソログ相談例
まとまった勉強時間を取りにくく、資料を読んだだけでは監査の場面を思い浮かべられません。
基礎を学ぶ時間を小分けにし、自社の手順書や記録と結びつけて復習します。
動画講座も学習方法の一つです。
内部監査は何のために行うの?
ISOの内部監査では、大きく2つのことを確認します。
一つは、ISO規格や会社のルールなど、必要な条件に合っているか。
もう一つは、仕事の仕組みが、目指す結果につながっているかです。
前者を「適合性」、後者を「有効性」と呼びます。
最初は専門用語を暗記するより、「必要な条件を満たしているか」「仕組みが役立っているか」と理解しましょう。
たとえば、出荷時の商品間違いを減らすために、商品名と数量を確認するルールを設けたとします。
記録には確認した印が付いているのに、間違いが続いていたらどうでしょうか。
確認する項目が足りないのか、点検の時間が取りにくいのか、実際の作業を調べる必要があります。
目標に届かなかった場合は、その理由を調べます。必要な条件を満たしているかと、改善できる点があるかを整理すると、次の対応を考えやすくなります。
確認した結果は関係する部門や管理者に伝えます。
問題があれば、その場の処置だけでなく、原因を確かめて再び起きにくくする対応につなげます。
うまく機能している方法も共有すれば、ほかの仕事の参考になります。
「どの仕事の、どの記録を見たか」を具体的に残しましょう。
基準と事実を結びつけて伝えると、対象部署も状況を理解し、対応を考えやすくなります。
内部監査と外部監査はどう違う?
内部監査と外部監査の違いは、誰の立場で、何のために確認するかです。
自社の立場で行う内部監査を「第一者監査」と呼びます。
外部監査には、取引先などの立場で行う「第二者監査」と、独立した認証機関などが行う「第三者監査」があります。
ISO認証の場面では、第三者監査にあたる確認を「認証審査」と呼びます。
初めて学ぶ方は、内部監査、取引先の監査、認証審査の3つに分けると整理しやすくなります。
たとえば、商品の供給元として信頼できるかを顧客が確認するのは、第二者監査の例です。
認証機関が、会社の仕組みをISO規格に照らして確認するのは、第三者監査の例です。
監査の区分は、誰の立場で行うかによって決まります。社外の専門家に依頼する場合も、自社の立場で業務の仕組みを確認する活動は内部監査に当たります。
| 種類 | 確認する立場 | 主な目的 | 結果の使い方 |
|---|---|---|---|
| 内部監査(第一者) | 会社自身、または会社に代わって監査する人 | 自社の仕組みの実施状況や課題を確かめる | 社内の改善や管理者による見直しに活かす |
| 取引先の監査(第二者) | 顧客など、取引に関係する相手、またはその代理人 | 取引上求める条件や、供給元の管理状況を確かめる | 取引の判断や、取引先からの改善要求に活かす |
| 認証審査(第三者) | 独立した認証機関 | ISO規格に合い、仕組みが機能しているかを審査する | 認証の取得・維持・更新の判断に用いる |
認証審査でも、ルールに合っているかだけでなく、仕組みの実施状況や有効性を確認します。
「有効性を見るのは内部監査だけ」と覚えないようにしましょう。
内部監査では、具体的に何を確認するの?
内部監査では、まず今回確認する仕事と、判断の基準を決めます。
基準には、自社に適用するISO規格、社内の手順、関係する法令や契約上の条件などがあります。
監査計画に沿って、今回確認する部署と業務を整理します。
実施するときは、担当者への質問、記録の確認、現場での観察などを組み合わせます。
説明を聞くだけではわかりにくい場合も、最近の仕事の記録や、実際の作業を見ることで状況を確かめやすくなります。
ISO9001は商品・サービスの品質、ISO14001は環境への取り組み、ISO27001は情報セキュリティを管理する仕組みが中心です。
扱うテーマは異なりますが、決めたことと実際の仕事を照らし合わせる基本は共通しています。
次の表は、仕事の場面を思い浮かべるための一例です。
質問と記録をつなげて確認してみよう
出荷前の点検を確認するなら、「点検していますか」に加えて、「最近出荷した商品を例に、何を確かめたか教えてください」と聞いてみましょう。
その説明と点検記録を照らし合わせると、具体的な仕事の進め方がわかります。
気になる点があれば、決めた手順や必要な条件も確認します。
手順に合っていない事実が見つかった場合と、手順には合っているものの改善の余地がある場合では、結果の伝え方が異なります。
関係する記録や担当者の説明を確かめ、基準と事実がつながる形で結果をまとめましょう。
表の例を参考に、自社の業務、適用する規格、社内ルールに合う確認項目を選びましょう。
質問と資料をセットで考えると、当日の確認が進めやすくなります。
| 規格・主なテーマ | 仕事の例 | 確かめる事実・記録の例 |
|---|---|---|
| ISO9001:品質 | 出荷前の商品確認や、サービス提供前の内容確認 | 必要な確認が行われたか。確認結果や、間違いが起きたときの対応記録はどうなっているか |
| ISO14001:環境 | 自社の活動に関係する廃棄物の分別・保管・引き渡し | 決めた分別や保管方法を実施しているか。関係する引き渡し記録などを確認できるか |
| ISO27001:情報セキュリティ | 退職者が使っていたシステムのアカウント管理 | 自社で決めた期限・方法で利用権限を停止したか。申請や作業の記録を確認できるか |
初めて内部監査を担当したら、何から学べばいい?
最初は、自社の仕事と結びつけながら学ぶと理解しやすくなります。
次の3つを順に確認してみてください。
① 自社のルールを知る
対象の規格、今回監査する仕事、社内の監査手順を確認します。
過去の監査報告書があれば、どんなことを確かめ、結果をどう伝えているかも見ておきましょう。
② 対象のISO規格の基本を学ぶ
規格がどのような仕組みを求めているかを学びます。
難しい言葉が出てきたら、社内の手順書や仕事の例に置き換えて考えてみましょう。
自社で適用している規格の版も、ISO担当者に確認します。
③ 質問・記録の確認・結果の伝え方を練習する
一つの仕事を選び、何を質問し、どの記録を見ればよいか考えます。
可能であれば、経験のある監査員の進め方を見たり、監査の前に質問の練習をしたりすると、場面をイメージしやすくなります。
基礎を学んだら、自社の仕事で確かめる
学ぶ方法には、社内教育、書籍、研修、動画講座などがあります。
まず基礎をまとめて学び、その後に自社の手順や記録を使って復習すると、知識と実際の仕事を結びつけやすくなります。
また、監査では公平な確認が大切です。
自分が担当した仕事を自分だけで評価することを避けるなど、監査する人の組み合わせを社内のルールに沿って考えます。
内部監査の基本がわかったら、次は監査員の役割と学び方を整理しましょう。
講座で学ぶ場合も、修了したことに加えて、質問や記録の確認を実務で練習することが大切です。
基礎から学びたい方へ|ISOトラストの内部監査員養成講座

内部監査の基礎を動画で学びたい方には、イソログ運営会社のサービス「ISOトラスト」の内部監査員養成講座をご紹介します。
ISO9001・ISO14001・ISO27001の講座が規格ごとに用意されているため、自社に必要な講座を選べます。
完全オンラインの動画教材なので、普段の仕事と両立しながら、自分の都合に合わせて学びたい方にも取り入れやすい形式です。
自分のペースで学び、必要な部分を見直せる
講座では、各規格のポイントと内部監査の方法を、約30~60分の動画で学びます。
好きな時間に視聴でき、視聴期間の制限なく繰り返し復習できる点が特徴です。
修了証明書はメールでデータが送付されます。
基本を学んだ後に自社の手順書や監査記録を見直すと、講義の内容を実際の仕事に結びつけやすくなります。
対象規格、料金、教材の対応する規格の版などを確認し、自社で必要な教育に合う講座を選びましょう。
詳しい内容と申し込み方法は、次の講座ページで確認できます。
次に読む|ガイド2/5
ISO内部監査員になるには?
資格の必要性・役割・学び方を解説
内部監査の基本がわかったら、次は担当者の役割と学び方を確認しましょう。
2本目では、資格が必要かどうか、どのように知識と経験を身につけるかを初心者向けに解説します。
よくある質問
ISOの内部監査とは、簡単にいうと何ですか?
自社の仕事の仕組みを、ISO規格や社内で決めたルールと照らし合わせて確認する活動です。
担当者への質問や記録の確認を通じて、実際の状況を確かめ、改善につなげます。
ISOの内部監査では、何を確認するのですか?
必要な条件や社内ルールに合っているかと、その仕組みが役立っているかを確認します。
たとえば出荷前の点検なら、点検手順、実際の作業、点検結果の記録などを照らし合わせます。
確認する項目は自社の仕事に合わせて決めます。
内部監査と認証審査は同じものですか?
内部監査は自社の立場で業務を確認し、改善につなげる活動です。認証審査は独立した認証機関が行い、ISO認証の取得・維持・更新を判断します。
どちらも仕組みが適切に機能しているかを確認します。
社外の専門家が実施したら、外部監査になるのですか?
社外の専門家が自社に代わって行う内部監査もあります。区分は、誰の立場で何を目的に確認するかによって決まります。
依頼する際は、目的と確認範囲を共有しておきましょう。
書類がそろっていれば、内部監査は十分ですか?
書類の確認とあわせて、実際の仕事も確かめます。担当者に手順を説明してもらい、記録や現場の作業と見比べると、ルールがどのように使われているかが分かります。
内部監査で指摘が出たら、どうすればよいですか?
まず、どの基準に対して、どのような事実が確認されたのかを関係者と共有します。
必要な条件を満たしていない場合は、社内の手順に沿って処置し、原因と再び起きにくくする対応を検討します。
その後、対応の実施状況と効果を確かめます。
ISO9001・ISO14001・ISO27001の内部監査は、何が違いますか?
品質、環境、情報セキュリティと、主に管理するテーマが異なります。
そのため、確認する仕事や記録も変わります。
一方、必要な条件と実際の仕事を照らし合わせ、確認結果を改善につなげる基本は共通しています。
初めて内部監査を担当するとき、最初に何を学べばよいですか?
自社の監査手順と対象の仕事、適用するISO規格の基本、質問や記録の確認方法の順に学ぶと整理しやすくなります。
社内教育や動画講座などで基礎を学び、自社の手順書と記録を使って復習しましょう。
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監修者コメント
初めての内部監査では、一つの仕事について「どんなルールがあるか」「実際にどう進めているか」「結果をどう確認しているか」をつなげて考えると、質問の目的が見えてきます。
わからない点は事実を確認しながら整理し、基礎学習と自社での実践を少しずつ積み重ねましょう。