ISO9001の顧客支給品管理|初めての担当者向けに進め方と記録例を紹介

ISO9001の顧客支給品管理|初めての担当者向けに進め方と記録例を紹介

お客様から預かった部品や材料は、受け取ってから使い終わるまで、お客様の物として管理します。自社の物と混ぜず、決められた用途で使い、余りの扱いまで確認するのが基本です。 ただ、初めて担当すると「どこに置けばよいか」「傷に気付いたら誰に伝えるか」で迷うこともあります。 この記事では、受取り・保管・使用・返却の流れと、問題が起きたときの報告・記録例を紹介します。

この記事でわかること

  • 誰の何を預かり、何に使うかとお客様の指定を確かめる
  • 受取りの確認を行い、ほかの物と混ざらないように保管する
  • 紛失・破損・使えない状態は、お客様への報告につなげる
  • 報告と返答を記録し、余り・返却・引継ぎまで確かめる

顧客支給品とは

顧客支給品とは、仕事に使うためにお客様から支給される材料や部品などです。この記事では、お客様が所有したまま自社へ預ける物を扱います。たとえば、組立に使う部品や、包装作業で使う袋が当てはまります。

お客様から借りた道具や修理のために預かった品物も、同じように扱いに気を配る必要があります。図面やデータなど、形のない情報も管理の対象です。

預かり品が自社の物や別のお客様の物と混ざると、取り違えや紛失につながります。誰の物かが分かるようにし、受取り、保管、使用、返却まで管理するのが基本です。

ISO9001は、お客様が求める製品やサービスを安定して届けるための国際規格です。預かった物を適切に扱うことは、品質や納期を守り、お客様との信頼を保つことにもつながります。

イソログに寄せられたリアルな声

以下は編集部が作成した相談例です。

イソログに寄せられたリアルな声

ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。

5件
保管

お客様から届いた箱は、どこに置けばいい?

包装加工業/18人

イソログ相談例

状況

梱包材を受け取りましたが、自社で買った物と同じ形です。置き場所が分からず、混ざってしまいそうです。

進め方

誰の、どの仕事に使う梱包材かを普段の担当者に確認します。会社で決めた表示を付け、指定の場所へ保管すると、自社の物との区別が付きます。実際に使う人にも、お客様からの預かり品であることを伝えます。

使い方

借りた道具を、別の仕事にも使っていい?

金属加工業/26人

イソログ相談例

状況

お客様から借りた道具が使いやすく、別の仕事でも使えないかと現場から聞かれました。

進め方

使ってよい範囲は、お客様との約束によります。営業担当者に借りた目的を確認し、用途を変えたい場合は窓口からお客様へ相談します。返答があるまでは、決められた用途で使用します。

傷の発見

この傷は、預かったときからあった?

修理サービス業/12人

イソログ相談例

状況

返却前に傷に気付きましたが、受け取ったときの状態が記録されていません。いつ付いた傷か分からず困っています。

進め方

今分かる状態と、傷に気付いた日時・箇所を上司へ伝え、お客様へ報告する担当者につなぎます。分からない原因は推測で決めず、そのまま伝えます。次の受取りでは、最初の状態を担当者と一緒に確認して記録に残します。

余った材料

仕事が終わったら、余りは処分していい?

印刷業/20人

イソログ相談例

状況

お客様から預かった包装用の袋が余っています。次の仕事にも使うのか、まだ聞いていません。

進め方

余った袋もお客様の物なので、扱いを確かめてから対応します。数量と保管場所を営業担当者へ伝え、返却か継続保管かなどをお客様に確認してもらいます。決まった内容と実際の対応を記録に残します。

報告

班長に伝えたのに、お客様への連絡が止まっていた

部品組立業/31人

イソログ相談例

状況

支給された部品の不足を班長へ伝えましたが、お客様への確認は誰も担当していませんでした。

進め方

社内への連絡だけで終わらないよう、お客様へ報告する人と返答を確認する時期を決めます。記録では「班長へ連絡済み」と「お客様へ報告済み」を区別し、返答待ちの間の保管場所も次の担当者へ伝えます。

預かる前に決めておくこと

預かる前には、何のために使い、どこに保管し、いつ返すかを確認します。お客様の指定がある場合は、受け取る人だけでなく、現場で使う人にも同じ内容を伝えておきます。

事前に確認する項目
項目確認先具体例
持ち主と用途依頼メール・送付明細・営業担当者A社の包装用の袋を、今回の包装作業に使う
受取り時の確認社内の手順・普段の担当者品名、数量、状態を誰が確認するか
保管と使い方お客様の指定・現場の責任者指定の棚に置き、自社の物と区別できる表示を付ける
問題や返却の連絡先営業担当者・社内の連絡先誰がお客様へ連絡し、返答を受け取るか

営業担当者が持っている依頼メールや打ち合わせの記録を見ると、お客様との約束を確認できます。使える人や場所、保管方法にも指定があれば、現場の手順へ反映します。

返却日などが未定の場合は、お客様へ確認する担当者を決めておきます。依頼内容の受け取り方は、ISO9001の受注管理でも紹介しています。

届いた物の確認と保管・使用のルール

届いたら、送付明細や依頼の資料と実物を照らし合わせ、品名・数量・状態を確認します。傷や数量不足があれば、その時点で記録しておくと、後から「いつからそうなっていたか」で困りにくくなります。

使用できるかを判断する担当者が別にいる場合は、その人の確認が済んでから使います。確認した日、担当者、結果も、会社の受取記録に残します。届いた物の確認方法は、ISO9001の受入検査も参考になります。

保管中は、持ち主が分かる表示と置き場所を決め、汚れや水濡れ、落下を防ぎます。たとえば、二社から同じ形の包装材を預かった場合は、箱にお客様名を表示し、棚の場所も分ける方法があります。これは説明用の例ですが、小分けした後も、どちらの物か分かるようにすることが大切です。

使用するときは、お客様が指定した用途や扱い方を守ります。借りた道具を別の仕事にも使いたい場合は、営業などの窓口から了解を得てから使います。図面やデータも、会社で認めた保存先に置き、決められた範囲で利用します。

紛失・破損に気付いたら、お客様へ報告する

紛失や破損、使用できない状態が分かったときは、社内への連絡に加えて、お客様への報告が必要です。発見した人が上司や窓口担当へ知らせ、誰がお客様へ報告するかをはっきりさせます。

日本能率協会の審査登録センターが公表するISO9001のよくある質問でも、お客様などの所有物を紛失・損傷した場合や、使うのに適さないと分かった場合の報告と記録について説明されています。

報告するのは、品物と数量、気付いた日時、現在の状態と保管場所、すでに使った分の有無などです。原因が分からなくても、確認できた事実から伝えられます。手元にある物は確認待ちの場所へ分け、ほかの人が使わないようにします。

修理、交換、返却、処分などの対応は、窓口を通じてお客様と相談して決めます。返答が届いたら、実際に扱う人へ伝え、対応した結果まで記録します。

水濡れに気付いたときの報告・記録例

記録は、「何が起きたか」「誰に伝えたか」「次に何をするか」が読んで分かる形にします。普段の受取記録や連絡メモに、お客様へ報告した内容と返答を添えれば、担当者が替わっても経過を追えます。

次は、預かった包装用の袋が保管中に濡れていた場合の架空例です。会社・人名・日付・数量・状況は説明用の仮設定で、実際の顧客記録ではありません。

問題の発見から返答待ちまでの記入例
残すこと記入例
預かった物と受取りA社の包装用の袋100枚。11月10日に田中が受け取り、社内手順で数量と状態を確認
発見したこと11月12日9時、田中が保管中の10枚の水濡れを発見。濡れた時点と原因は不明
その場の対応と社内連絡10枚を確認待ちの場所へ移し、営業の佐藤へ連絡。残り90枚の状態と、使用済み分の有無も確認して伝えた
お客様への報告同日10時、佐藤からA社の窓口へ、10枚の状態、保管場所、確認できた状況を報告
現在の状況と次の担当濡れた10枚は使用せず保管中。返却などの扱いはA社の返答待ち。佐藤が返答を確認し、田中へ伝える

その後、返却することになった場合は、お客様の返答、返した数量と日付、対応した人、先方へ渡した結果を追記します。「返却予定」と「返却済み」を区別すると、残っている仕事が分かります。

ポイント

「上司に伝えた」と「お客様に報告した」は別の段階です。報告する人と返答を受ける人を決め、どこまで済んだかを記録に残すと、連絡が途中で止まるのを防げます。

余った材料の返却と担当者への引継ぎ

仕事が終わって余った材料も、お客様の物です。返すか、次の仕事まで預かるか、処分するかを、お客様との約束に沿って決めます。まだ決まっていなければ、営業などの窓口から希望を確認します。

自社製品の置き場所や確認待ちの表示を整える方法は、ISO9001の製品保管も参考になります。お客様からの預かり品では、こうした基本に加えて、お客様の指定と所有者の区別を守って管理します。

返却時は、相手先、品物と数量、状態、渡し方を確認し、指定に沿って梱包します。いつ、誰が、何を返したかと、先方へ渡した結果を残します。継続保管なら置き場所と担当者を決め、処分する場合もお客様の了解を得てから行います。

担当交代では、実物と記録を一緒に見せると伝わりやすくなります。「A社の袋はこの棚。濡れた10枚は返答待ちで、窓口は営業の佐藤」のように、品物の場所と残っている対応を具体的に引き継ぎます。

表示が外れやすい、返却が後回しになるなどの問題があれば、責任者と方法を見直します。たとえば表示を貼る場所を変えたり、仕事の完了時に余りを確認する欄を設けたりする方法があります。

顧客支給品管理のよくある質問

お客様から届いた物は、すべて顧客支給品になる?

届いた物すべてを、同じ扱いにするわけではありません。お客様の所有物として預かる材料や部品と、自社が購入した物では管理方法が変わります。依頼や取引の資料で、持ち主と使用目的を確認します。

専用の台帳を新しく作る必要がある?

今の受取記録や保管一覧で管理できるなら、新しく作る必要はありません。誰の何を、どこに保管し、問題や返却待ちがあるかを見て分かるように、不足する内容を補います。

破損を上司に伝えれば、対応は終わり?

社内への連絡だけでは終わりません。お客様への報告と、発生したことの記録も必要です。窓口担当が報告し、返答とその後の対応まで確認します。返答待ちの品物は、誤って使われないように分けて保管します。

余った支給品は、処分していい?

お客様の了解がないまま処分することはできません。余った物と数量を知らせ、返却・継続保管・処分のどれにするかを確認します。すでに取り決めがあればそれに従い、対応した日と内容を記録します。

まとめ:受取りから返却まで、お客様の物として管理する

顧客支給品は、持ち主と用途が分かるようにし、決められた方法で保管・使用します。問題があればお客様へ報告し、余りの扱いと返却まで記録に残すことで、担当者が替わっても管理を続けられます。

営業と現場で情報が伝わらない、保管や返却の記録を一人で抱えているといったお悩みは、ISOトラストの取得・運用支援に相談できます。今使っている資料と仕事の流れをもとに、社内で続けられる方法を考えられます。

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