ISO9001の出荷検査|初めての担当者向けに確認と記録例を紹介

ISO9001の出荷検査|初めての担当者向けに確認と記録例を紹介

数量は合っていても、製品に不良があればそのまま出荷できません。出荷検査は、お客様へ送る前に、品質と注文内容の両方を確かめる仕事です。 初めて担当するときに迷いやすいのは、「どこを見れば合格なのか」「結果をどう残すのか」という点ではないでしょうか。 この記事では、出荷前の準備から検査・記録・承認までの流れを、印刷物の記入例とともに紹介します。

この記事でわかること

  • 検査の手順・合格の目安と、出荷を認める人を確かめる
  • 決められた品質の確認と、注文内容・梱包などの照合を行う
  • 対象の製品と結果、出荷を認めた人が分かるように残す
  • 確認待ちの物を分け、実物と記録を次の人へ渡す

出荷検査とは

出荷検査は、製品をお客様へ送る前に、決められた品質や注文内容に合っているかを確かめる検査です。数量や送り先だけでなく、製品に必要な検査が済んでいることも確認します。

たとえば印刷物なら、部数が合っていても、ページの順番が違ったり汚れがあったりすれば、そのまま届けることはできません。会社が決めた基準で確認し、結果を記録してから、出荷の承認を受ける流れになります。

ISO9001は、お客様が求める製品やサービスを安定して届けるための国際規格です。出荷前の確認は、不良品や注文と違う物を届けてしまうことを防ぎ、お客様の信頼を守る仕事につながります。

イソログに寄せられたリアルな声

以下は編集部が作成した相談例です。

イソログに寄せられたリアルな声

ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。

5件
検査基準

先輩によって、検査する箇所の説明が違う

印刷業/19人

イソログ相談例

状況

出荷前の確認を頼まれましたが、先輩によって見る箇所の説明が違います。何を確認すれば出荷してよいのか分かりません。

進め方

判断のよりどころになるのは、会社が決めた検査手順と合格の基準です。責任者に今回使う手順、見本、記録用紙をそろえてもらい、実物を見ながら合格と不合格の違いを教わると、見る箇所がはっきりします。

注文変更

伝票は100個、メールは120個。どちらが正しい?

卸売業/24人

イソログ相談例

状況

手元の出荷伝票は100個のままですが、お客様とのメールには120個と書かれています。注文の変更が伝票に反映されていないようです。

進め方

営業担当者に確定した注文内容を確認し、出荷指示をそろえてから検査します。実物の数量は、個数や箱数などの単位も合わせて照合し、結果を出荷責任者へ渡します。

置き場所

検査済みの箱と、まだの箱が同じ棚にある

部品製造業/32人

イソログ相談例

状況

作業を交代したとき、どの箱まで検査が終わったか分かりませんでした。

進め方

前の担当者の記録と実物を照らし、検査済みの範囲を確かめます。まだ検査していない物は、会社が決めた置き場所と表示で分けます。次の担当者には、対象の箱と記録を一緒に示すと取り違えを防げます。

急ぎの出荷

検査の途中なのに、発送を頼まれた

包装加工業/16人

イソログ相談例

状況

必要な確認が残っていますが、集荷の時間に間に合わせたいと言われました。

進め方

確認が終わっていない物は、自分の判断で発送せず、出荷責任者へ連絡します。残っている検査と集荷時刻を伝え、検査を終える段取りや、お客様への納期の連絡を決めてもらいます。

記録

「確認済み」だけでは、後から説明できない

製造業/28人

イソログ相談例

状況

記録には「確認済み」としか書かれていません。後から質問されても、どの製品の何を確かめ、誰が出荷を認めたか分かりません。

進め方

対象の製品、検査項目と結果、検査した人、出荷を認めた人が分かる記録にします。今の用紙に足りない欄があれば、管理する責任者と相談して補うと、後から出荷時の状況をたどれます。

出荷検査に必要な資料と担当者

検査を始める前に必要なのは、検査の手順、合格・不合格を判断する基準、結果を残す用紙や画面です。製品ごとに見る箇所が違うため、今回使う資料をそろえてから作業に入ります。

初めての場合は、実物と見本を見ながら、どこを確認し、どの状態なら合格になるかを教わると分かりやすくなります。測定器などを使う仕事では、使い方も指導を受けてから検査します。

注文書や出荷指示も、変更後の内容になっているかを確認します。手元の伝票とお客様のメールで数量が違う場合は、営業担当者に確定した内容を聞き、資料をそろえます。変更の伝え方は、ISO9001の受注管理でも紹介しています。

検査が終わった後は、会社が定めた人が出荷を認め、発送担当へ引き継ぎます。検査と出荷の判断を同じ人が担当する会社もありますが、誰がどこに結果と承認を残すかは、事前にはっきりさせておきます。

製品・数量・梱包の確認項目

出荷前には、製品そのものの品質と、注文どおりに届けられるかの両方を確認します。前の工程で行った検査の記録を使う場合は、その結果も含めて、必要な確認が済んでいるかを見ます。

出荷前に確認する項目の例
項目確認する内容防ぎたい間違い
製品の種類出荷指示の品名・品番と、実物の表示を照合する似た製品や別の注文分を送る
品質製品ごとの検査手順と基準に沿って検査する品質の基準を満たさない製品を送る
数量と単位確定した数量と実物を、個・箱・枚などの単位も合わせて数える数量不足や、箱数と個数の取り違え
梱包・表示・書類包装、宛先表示、納品書などが社内の手順とお客様の指定に合うかを見る配送中の傷み、送り先や添付物の間違い

実際の検査項目と方法、合格の基準は、製品やお客様の指定によって異なります。上の表にある項目だけで済ませず、会社で決めた検査表を使います。

たとえば印刷物では、承認された見本と照らして、表示やページの順番、汚れ、折れなどを調べる場合があります。これは説明用の例ですが、「見本のどこを見るか」「どの程度まで合格か」が分かれば、担当者による判断のばらつきを減らせます。迷う箇所は、実物を責任者に見せて判断してもらいます。

検査結果と出荷承認の記録例

記録には、どの製品を検査し、どの項目が基準を満たしたかを残します。検査した人と、出荷を認めた人が後から分かることも必要です。「確認済み」だけでは分からない場合は、使った検査表と結び付けて残します。

審査機関J-VACの製品を引き渡す前の確認に関する解説でも、基準を満たしたことと、引渡しを許可した人が分かる記録について説明されています。

次は、印刷会社で案内冊子を出荷する架空の記入例です。会社・人名・日付・数量・検査内容は説明用の仮設定で、実際の顧客記録ではありません。

案内冊子200冊を出荷する場合の記録例
残すこと記入例
対象の製品と使った資料11月18日、A社向け案内冊子200冊。確定した出荷指示、承認された見本、今回の検査表を使用
品質の検査結果検査表の方法で確認。表紙の表示・ページの順番は見本と一致。汚れ・折れは社内の基準内。各項目の結果を検査表に記入
数量・梱包などの結果200冊で出荷指示と一致。指定の梱包、宛先表示、納品書を確認
検査した人と日付11月18日、検査担当の田中が全項目を確認し、結果を検査表へ記入
出荷を認めた人と日付同日、出荷責任者の佐藤が記録を確認し、出荷を承認
発送担当への引継ぎ承認後に出荷待ちの場所へ移し、発送担当の鈴木へ製品と出荷情報を渡した

数値を残す項目は測定値を、合否を記入する項目は判定結果を、会社の決まりに沿って記入します。記録は後から確認できる場所で、定めた期間、保管します。実際に発送したかどうかは、検査表だけでなく出荷記録で確かめられるようにします。

不良品や検査待ちの製品があるとき

基準に合わない製品や、検査が終わっていない製品は、出荷できる物と分けておきます。置き場所や「検査待ち」などの表示を決めておくと、ほかの担当者が誤って発送するのを防げます。

責任者への連絡では、製品名と数量、基準と違う箇所、保管場所を伝えます。たとえば数量が出荷指示と合わないときは、記録を「確認中」とし、対象の箱を示して原因を調べます。手直しした後も、必要な再検査と出荷の承認を受けてから発送担当へ渡します。

納期が迫っていても、検査の途中で自分の判断だけで発送することは避けます。残っている項目と集荷時刻を出荷責任者に伝え、検査を終える段取りや、お客様への納期の連絡を決めてもらいます。通常と異なる扱いが必要な場合は、権限のある人の承認と、該当する場合のお客様の了解が必要です。

ポイント

引継ぎでは、対象の箱と記録を一緒に示し、「ここまで検査済み」「この項目は責任者の判断待ち」と具体的に伝えます。実物・表示・記録が一致していれば、交代後も状況をつかめます。

担当交代の引継ぎとミスの再発防止

担当者が交代するときは、検査済みの範囲、出荷承認の有無、残っている作業を引き継ぎます。承認済みの製品は、発送担当がどの品物を、どの指示で送るか分かるように渡します。

検査を終えた製品を出荷まで保管する際の置き場所や表示、担当交代のメモは、ISO9001の製品保管で紹介しています。棚に置いたことと出荷の承認を混同せず、残る対応まで伝えます。

同じ不良や確認漏れが続くときは、実際に起きた場面から原因を探します。箱数と個数を取り違えたなら記録の単位をはっきり書く、検査待ちの製品が混ざったなら表示と置き場所を変える、といった見直しが考えられます。

手順の変更は責任者の確認を受け、使う人へ伝えてから、次の出荷で改善できたかを見ます。説明が伝わりにくい箇所を直す方法は、ISO9001の作業手順書の作り方でも紹介しています。

出荷検査のよくある質問

出荷検査は品名と数量だけを見ればいい?

品名と数量だけでは足りません。製品に必要な品質の検査が済んでいることも確認します。梱包・表示・添付書類に指定があれば、それらも会社の検査表や出荷指示と照らし合わせます。

最終検査と出荷検査は、別々に行う必要がある?

必ず別々に行うわけではありません。会社によって、品質を調べる最終検査と、出荷前の数量や梱包の確認を分ける場合も、まとめて行う場合もあります。必要な検査が出荷前に済み、その結果を確認できるようにしておくことが基本です。

納期が迫っていて、検査が終わらないときは?

自分の判断で発送せず、すぐに出荷責任者へ連絡します。残っている検査と集荷時刻を伝え、検査の段取りやお客様への連絡を決めてもらいます。通常と異なる扱いで進める場合も、必要な承認を受けてから対応します。

ISO9001用に検査表を新しく作る必要がある?

今の検査表で必要な結果と出荷の承認を残せるなら、新しく作る必要はありません。対象の製品、検査項目と結果、出荷を認めた人が分かるかを見て、不足する欄があれば今の用紙や画面に補います。

まとめ:検査・記録・承認を終えてから出荷する

出荷検査では、品質と注文内容への適合を確かめ、結果を残してから出荷の承認を受けます。初めて担当する場合は、一件の出荷を先輩と一緒に担当すると、資料の使い方から発送担当への引継ぎまでをつかみやすくなります。

検査と出荷の役割があいまいな場合や、記録の残し方で困っている場合は、ISOトラストの取得・運用支援に相談できます。今使っている検査表や手順をもとに、社内で続けられる運用を考えられます。

ISOトラストの取得・運用支援の案内
ISOトラストの取得・運用支援を確認する

ISOコンサル会社選びで迷ったら、まずは比較してみましょう。

目的や規格に合う会社を整理し、取得までの進め方を確認できます。

おすすめ会社を見る