ISO9001の製品保管|置き場所・表示・引継ぎの基本

ISO9001の製品保管|置き場所・表示・引継ぎの基本

同じ箱が並んでいて、どれを次の工程へ渡せばよいか分からない。製品の保管では、傷や汚れを防ぐことに加え、何の製品がどこにあり、確認はどこまで済んでいるかを分かるようにしておくことが大切です。この記事では、自社の製品を一時保管して次の担当者へ渡す場面をもとに、置き場所、表示、包装が破れていたときの連絡、引継ぎの記入例を紹介します。

この記事でわかること

  • 製品保管は、次へ渡すまで品質を保つ仕事
  • イソログに寄せられたリアルな声
  • 置く前に、製品と会社の保管指示を確かめる
  • 品名だけでなく、確認待ちの状態も分かる表示にする
  • 包装と置き場所を保ち、勝手に扱いを変えない

製品保管は、次へ渡すまで品質を保つ仕事

製品の保管は、完成した物や次の作業を待つ物を、傷や汚れ、取り違えが起きないように置いておく仕事です。例えば、検査が終わった部品を一時保管する場合も、ぶつけて傷を付けたり、別の品番の箱と混ぜたりすると、次の工程で困ってしまいます。

この記事では、自社が所有する製品を、社内で一時保管して次の担当者へ渡す場面を扱います。大切なのは、品物に合う場所と扱い方を守り、「何があるか」「どこまで確認が済んだか」を次の人にも分かるようにすることです。

お客様から預かっている材料や部品では、持ち主との約束や問題が起きたときの報告も確かめます。その場合は、ISO9001の顧客支給品管理を参照してください。

イソログに寄せられたリアルな声

以下は編集部が作成した相談例です。

イソログに寄せられたリアルな声

ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。

5件
製品の区別

同じ箱が並び、どちらの製品か分からなかった

樹脂製品製造業・従業員24名

イソログ相談例

状況

見た目が同じ箱を隣の棚へ移しました。元の棚にしか品名が書かれておらず、移動した後は中身を見分けられなくなりました。

進め方

元の保管記録や製造の指示と照らして、責任者に対象の製品を確かめてもらいます。記憶で品名を書き直すのは避けます。次に移すときは、箱と一緒に必要な表示も移り、移動先でも区別できるかを確認します。

仮置き

指定の棚がいっぱいで、空いている床に置きたくなった

金属部品製造業・従業員31名

イソログ相談例

状況

製品が続けて届き、いつもの棚に入りません。近くの空いた場所へ、しばらく置いてよいか迷いました。

進め方

現場の責任者に、製品に合う仮置き場所を決めてもらいます。通路や別の製品の場所へ独断で置かず、決まった場所と移した数量を記録します。次の担当者にも仮置き中であることを知らせます。

小分けの表示

箱から半分取り出したら、残りの数が伝わらなかった

包装加工業・従業員18名

イソログ相談例

状況

20個入りの箱から10個を次の工程へ渡しました。箱の表示は20個のままで、交代した人が残数を取り違えそうになりました。

進め方

会社の記入方法で、取り出した分と残りの数を更新します。小分け先にも必要な品名や状態の表示を付け、元の箱だけを見ないと分からない状態を防ぎます。表示を変える範囲が不明なときは責任者に確認します。

包装の破れ

包装は破れているが、中身を見れば使えそうに思えた

生活用品製造業・従業員22名

イソログ相談例

状況

保管中の箱に破れを見つけました。外から見る限り製品に傷はなく、そのまま次へ回してよいか悩みました。

進め方

外から見える範囲だけで問題なしとはせず、対象の箱を確認待ちとして分けます。品名、数量、破れの箇所、置き場所を責任者に伝えます。包装の直し方や製品の確認は、判断を受けてから対応します。

担当交代

出荷用の棚にあるので、発送してよいと思ってしまった

印刷業・従業員27名

イソログ相談例

状況

前の担当者が出荷用の棚へ移した箱を見つけました。引継ぎメモには場所だけが書かれ、検査や出荷の承認が済んでいるか分かりません。

進め方

棚の場所だけで出荷可とは判断せず、検査の結果と出荷を認めた記録を確認します。引継ぎでは、場所に加えて確認済みの範囲と残る作業を伝えます。判断待ちの製品は、誰が見ても待ちの状態だと分かるようにします。

置く前に、製品と会社の保管指示を確かめる

初めて保管を担当するときは、普段の担当者と実物を見ながら、品名や品番、置き場所、包装の扱い方を確認します。似た製品を扱う職場では、箱の形だけでは区別できないため、どの表示を見て確かめるかも教わります。

保管前に確認することの例
見るところ確かめる内容確認先の例
製品品名・品番、数量と単位、今回の対象現品の表示、作業の指示、前の担当者
置き場所指定の棚や区画、確認待ちの製品を置く場所保管の手順、現場の責任者
扱い方包装を開けてよいか、重ね方などの注意会社の保管指示、製品や包装の表示
次へ渡す条件残る確認、渡す相手、困ったときの連絡先検査の記録、工程の責任者

保管方法は製品によって違います。水濡れに弱い物、重ねると変形する物、保管期間に注意が必要な物など、扱う物に応じた指示を使います。温度や湿度などの条件が指定されている場合も、担当者が独自に数字を決めず、会社で管理している条件に従います。

仕入れた材料や部品では、受け取ったことと、使ってよいと確認できたことが別の場合があります。届いた段階の確認方法は、ISO9001の受入検査にまとめています。保管を引き継ぐ際は、必要な検査がどこまで済んでいるかも聞いておきます。

品名だけでなく、確認待ちの状態も分かる表示にする

表示では、何の製品かと、今どの状態かが分かるようにします。品名や品番が書かれていても、検査済みなのか、責任者の判断待ちなのかが分からなければ、次へ渡せるか迷ってしまいます。会社で決めたラベルや置き場所で、その違いを示します。

例えば、確認待ちの箱には「包装の破れを確認中・次の工程へ渡さない」と添え、指定の確認待ち区画へ置く方法があります。これは説明用の例です。ラベルの色や言葉は、職場で使っている方法とそろえ、初めて見る人にも意味を説明します。

箱を移すときは、移動先でも表示を読めるかを確かめます。元の棚だけに品名が書かれている場合は、そのまま移すと何の箱か分からなくなります。記録に置き場所を残している職場では、その記録も更新します。

小分けする場合は、取り出した物にも必要な表示を付け、元の箱の残数も会社の方法で直します。例えば20個から10個を取り出したなら、残りが10個だと分かるようにします。元の製品情報が分からなくなる表示のはがし方や、記憶だけでの書き直しは避け、分からない場合は元の指示と実物を責任者に確認してもらいます。

包装と置き場所を保ち、勝手に扱いを変えない

保管中は、会社が指定した包装や容器を使い、汚れや水濡れ、落下などから製品を守ります。中身を見やすくするために包装を外したり、場所を空けるために重ね方を変えたりすると、製品を傷めることがあります。必要な開封や詰め替えは、決められた方法で行います。

指定の棚に入りきらないときは、責任者に仮置き場所を確認します。空いているという理由だけで床や別の製品の区画へ置くと、取り違えや作業の妨げにつながります。仮置きが決まったら、対象の品名と数量、置いた場所を記録し、引き継ぐ相手へ知らせます。

保管中の見回りや出し入れの際には、会社の手順に沿って、包装の破れ、箱のつぶれ、表示の外れなどを確かめます。確認する頻度や範囲も製品ごとの決まりに合わせます。問題が繰り返される場所があれば、実際に起きた状況を責任者へ伝え、棚や表示の方法を見直す材料にします。

包装や保管作業のやり方そのものを変える場合は、作業変更管理の確認・連絡・記録例で、品質への影響を確かめてから切り替える流れを紹介しています。新しい手順と開始日を、保管する人と次の工程の担当者へそろえて伝えます。

傷や表示違いに気づいたら、分けて連絡する

包装の破れや傷、表示と実物の違いに気づいた製品は、使える製品や出荷できる製品と混ざらないようにします。判断が付かない段階では、確認待ちだと分かる表示を付け、会社が決めた場所へ分けて置きます。重い物などを無理に動かさず、その場の安全を保って責任者へ相談することも必要です。

連絡では、品名と数量、気づいた日時、どの部分がどうなっているか、現在の場所を伝えます。「箱の角に破れがある。中の製品への影響は未確認」のように、分かることと、まだ分からないことを分けると相手が確認しやすくなります。いつ破れたか不明なら、原因を決めつけず不明と伝えます。

包装を直す、製品を使う、表示を書き換えるといった対応は、会社の権限に沿って判断を受けます。いつもの担当者がいなければ、代わりの責任者や上司へ連絡します。回答待ちの間も、ほかの人が先へ回さない状態を保ちます。

対応が決まったら、誰が何を確認し、どの扱いになったかを記録します。確認待ちの表示を外すのは、必要な確認と対応が終わったと分かってからです。出荷が関係する場合は、その後に必要な出荷の確認や承認も確かめます。

担当交代の記入例|製品・場所・残る対応を一緒に伝える

引継ぎでは、対象の製品と保管場所に加え、確認済みの範囲と残っている対応を伝えます。実物とメモを一緒に見せると、どの箱の話なのかが分かりやすくなります。

以下は、自社の樹脂カバー20個を2箱で保管している場合の架空例です。1箱は10個入りとし、そのうち1箱の包装に破れを見つけた場面を示します。人名・日付・数量・棚名・状況は説明用の仮設定です。

包装の破れを見つけた後の引継ぎメモ
残すこと記入例
製品と発見したこと11月5日14時、田中が樹脂カバーの箱1箱(10個入り)の角に包装の破れを発見。製品への影響と破れた時点は未確認
対象の箱と保管場所破れのある1箱10個を、会社で決めた確認待ち棚Bへ移し、「包装確認待ち・次へ渡さない」と表示
残りの製品別の1箱10個は元の棚Aで保管。今回の確認待ちの箱とは分け、元から付いている製品と検査状態の表示を保持
連絡と残る対応品質担当の佐藤へ14時10分に連絡。佐藤が製品と包装を確認し、扱いを判断する予定。まだ次へ渡す許可は受けていない
交代する人への説明15時、田中から鈴木へ実物とメモを示して引継ぎ。佐藤からの回答を受けるのは鈴木。棚Aの分も、次へ渡す際は元の検査記録と会社の条件を確認

「1箱を確認待ちへ移した」という記録だけでは、残りの箱まで出荷できると受け取られるおそれがあります。この例では、保管場所の変更と、次へ渡してよいかの判断を分けています。残りの製品を含めて確認する範囲は、責任者の指示に従います。

回答が来たら、判断した人、結果、実際に行った対応をメモへ追記し、表示と保管場所も合わせます。例えば包装を交換するよう指示された場合も、交換予定なのか、必要な確認を含めて対応が終わったのかを区別して伝えます。

出荷用の棚に置くことと、出荷を認められたことは別です。発送担当へ渡すときは、必要な検査と出荷の承認が済んでいることを確かめます。その確認と記録の流れは、ISO9001の出荷検査で紹介しています。

製品保管のよくある質問

ISO9001用の専用倉庫や台帳が必要ですか?

ISO9001用という名前の倉庫や台帳を、一律に新設する必要はありません。自社の製品に合う保管場所と扱い方を決め、必要な表示や記録で管理します。今の棚や在庫表を使う場合も、製品の状態と置き場所が次の担当者に伝わるかを確かめます。

指定の棚がいっぱいなら、近くへ仮置きしてもよいですか?

独断で近くへ置かず、責任者に製品に合う仮置き場所を確認します。通路をふさがず、ほかの製品と混ざらない場所に置き、移動先と数量を会社の記録へ反映します。引継ぎでも、通常の棚とは別の場所にあることを伝えます。

確認待ちは、赤いラベルで表示しなければなりませんか?

赤色でなければならないという一律の決まりではありません。会社が決めた表示を使い、確認待ちであることが担当者に分かるようにします。色だけで伝わりにくい場合は「確認待ち・出荷しない」などの言葉も添えます。

包装が破れていても、中身に傷がなければ渡せますか?

見える範囲で傷がないことだけでは、次へ渡してよいと判断できません。確認待ちとして分け、責任者に製品と包装の状態を確かめてもらいます。必要な確認と対応が終わり、次へ渡してよいと分かってから表示や記録を更新します。

出荷用の棚へ移した製品は、そのまま発送できますか?

棚へ移したことだけでは発送できません。必要な検査が終わり、会社が定めた人の出荷の承認を受けたことを確認します。保管場所、検査の完了、出荷の承認を引継ぎで混同しないことが大切です。

保管と引継ぎが続けにくいときは、仕事の流れを見直す

同じ場所で箱の取り違えが続く、仮置きした製品を後任が見つけられない。そんな場合は、注意を呼びかけるだけでなく、どの場面で表示や記録が途切れているかを確かめます。実際に製品を置く人と次へ渡す人が一緒に見れば、直す箇所も見つけやすくなります。

ISOトラストは、ISO9001の取得支援と、取得後の維持運用支援を案内しています。保管の決まりが現場で使いにくい、検査から出荷までの担当があいまいといった場合は、今の手順や記録をもとに、どこまで相談できるかを確認できます。

ISO9001の取得・維持運用支援を案内するISOトラスト公式サイト

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