ISO14001の環境活動の記録|月ごとのまとめ方と記入例
電気や水の明細、コピー用紙の納品書を集めたものの、どの月の数字として記録すればよいのか分からない。ISO14001の環境活動を初めて取りまとめると、資料ごとの違いで手が止まることがあります。 環境活動の記録は、使用量などの結果と、その月に行ったことや変わった事情を残し、次の取り組みを考えるための資料です。会社で決めた記録項目を確かめ、元資料の期間・単位・対象の場所をそろえると、後から見返しやすくなります。 この記事では、電気・水・紙を例に、資料の集め方、月ごとの記入例、数字が分からないときの確認方法を紹介します。
この記事でわかること
- 環境活動の記録は、結果と取り組みを振り返るためのもの
- イソログに寄せられたリアルな声
- 集める資料と、持っている担当者を確かめる
- 期間・単位・対象の場所をそろえて記入する
- 月ごとの記録例|元資料と確認した人も残す
環境活動の記録は、結果と取り組みを振り返るためのもの
環境活動の記録には、使用量などの結果と、実際に行った活動を残します。例えば、電気の明細で使用量を確かめ、不要な照明を消す取り組みを続けたことも添えると、数字だけでは分からない職場の様子が伝わります。
何を、どのくらいの頻度で記録するかは、会社の環境目標や仕事の内容によって変わります。電気・水・紙をすべて毎月記録すればよい、と一律に決まっているわけではありません。前回の集計表と会社の目標を見て、自分が取りまとめる項目と提出先を確かめます。
この記事では、会社が電気・水・紙を記録の対象にしている場合を例に説明します。記録全般の整え方は、ISO14001で必要な文書・記録と既存資料を生かす方法も参考になります。
イソログに寄せられたリアルな声
以下は編集部が作成した相談例です。
VOICES
イソログに寄せられたリアルな声
ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。
6月の請求書を、6月に使った電気の記録としてよいか迷った
ITサービス業・従業員28名
イソログ相談例
初めて集計を担当し、請求書が届いた月の欄に使用量を入力しました。後で明細を見ると、使った期間は4月下旬から5月下旬まででした。
請求月とは別に、明細の使用期間を確認します。前年までの表が何を基準に月を決めているかも確かめ、同じ方法で記入します。元の使用期間を残すと、後から比較するときにも迷いません。
水道の資料が2か月分で、月別の欄を埋められなかった
卸売業・従業員35名
イソログ相談例
電気は毎月、水道は2か月ごとに資料が届きます。空欄をなくそうと、水の使用量を半分ずつに分けて入力してよいか悩みました。
2か月分だと分かる期間を添えて、元資料の数字を残します。月別表への載せ方は、会社で決めた方法を確認します。独断で半分にすると実際に測った月別の使用量と誤解されるため、分ける場合も集計方法を明記します。
用紙をまとめ買いした月だけ、使用量が多く見えてしまった
設計事務所・従業員18名
イソログ相談例
納品書の冊数を枚数に直し、「紙の使用量」の欄に記入していました。数か月分を購入した月に数字が増え、活動がうまくいっていないように見えました。
納品書で分かるのは購入した数量です。購入数量として記録している表なら、欄の名前を合わせます。実際の使用量を見たいときは、今の資料で分かる範囲と会社の数え方を確認し、購入量と混ぜずに扱います。
提出日までに明細が届かず、ゼロを入れそうになった
設備工事業・従業員42名
イソログ相談例
月末の報告日が近づいても、経理から電気の明細を受け取れていませんでした。空欄のまま出すのが不安で、いったんゼロと入力しようとしました。
資料がない状態は、使用量がゼロの状態とは違います。「明細待ち・未確認」と記し、誰に確認するかと確認予定を添えて共有します。受け取った後に数字を照合して、報告内容を更新します。
消灯を続けていたのに電気が増え、理由を書けなかった
印刷関連業・従業員30名
イソログ相談例
不要な照明を消す取り組みは続いていましたが、前月より電気使用量が増えました。「節電できなかった」とだけ報告してよいか迷いました。
消灯を実施したことと、使用量が増えたことを分けて残します。稼働日や仕事量など、その月に変わった事情を担当部署と確認します。理由が分からなければ、確認中であることと次に調べる内容を添えます。
集める資料と、持っている担当者を確かめる
集計表を開く前に、数字の元になる資料がどこにあるかを確認します。電気や水の明細は経理、コピー用紙の納品書は総務が持っているなど、資料ごとに窓口が違うことがあります。前任者が保存したファイルだけでなく、今も同じ部署から受け取れるかを聞いておくと、翌月の取りまとめも進めやすくなります。
| 記録する項目 | 元になる資料の例 | 資料を持つ人の例 | 見るところ |
|---|---|---|---|
| 電気使用量 | 電力会社の明細・検針票 | 経理担当 | 使用期間、kWh、対象の事務所 |
| 水使用量 | 水道の検針票・使用量のお知らせ | 総務・建物の管理担当 | 使用期間、m³、対象の建物 |
| コピー用紙の購入数量 | 納品書・購入履歴 | 総務・購買担当 | 購入日、1冊の枚数、冊数 |
受け取る時期も併せて聞いておきます。報告日より明細の到着が遅い場合は、いつまでにどの数字を出せるのか、取りまとめ先と相談が必要です。担当者の名前と資料の保存先を前回の表にメモしておくだけでも、毎月探し直す手間を減らせます。
期間・単位・対象の場所をそろえて記入する
請求書が届いた月と、実際に使った期間は同じとは限りません。「6月請求」と書かれていても、使用期間が4月下旬から5月下旬までの場合があります。集計する月を決める基準は前年までの表や会社の決め方に合わせ、元資料の使用期間も残します。
使用量を見たいときは、請求金額ではなく数量の欄を見ます。電気ならkWh、水ならm³など、数字と単位を一緒に記入します。料金が上がったことだけで、使用量が増えたとは判断できません。電力会社の案内でも、請求月・請求金額・使用量・使用期間は分けて示されています(日産でんき「検針票の見方」)。
水の資料が2か月分なら、その使用期間を省かずに残します。月別表を埋めるために、独断で半分ずつに分けるのは避けます。会社で分けて集計している場合は、その方法を引き継ぎ、実際に測った月別の数字とは区別できる書き方にします。
対象の場所も大切です。本社と倉庫を合算した数字を、本社だけの前年実績とそのまま比べると、変化の理由を読み違えます。資料がどの建物や部署の分かを確かめ、前年と範囲が変わった場合は表に添えます。
月ごとの記録例|元資料と確認した人も残す
月末の取りまとめでは、同じ表に載せる項目でも、それぞれの対象期間が分かるようにします。元の資料名と確認した人を添えると、数字に疑問が出たときに確かめ直せます。
以下は説明用に作成した架空の記入例です。
| 項目・対象の場所 | 対象期間 | 数量・単位 | 元資料・確認した人 | 取りまとめ時のメモ |
|---|---|---|---|---|
| 電気使用量・本社 | 5月1日〜31日 | 1,200 kWh | 電気明細5月分/経理・田中 | 前年と同じ本社分。消灯の実施状況も総務に確認 |
| 水使用量・本社 | 4月1日〜5月31日 | 28 m³(2か月分) | 水道検針票/総務・佐藤 | 2か月分の実績。月別表への載せ方は責任者に確認中 |
| コピー用紙の購入数量・本社 | 5月1日〜31日 | 2,000枚(500枚×4冊) | 5月納品書/購買・鈴木 | 翌月用もまとめて購入。実際の使用枚数を示す数字ではない |
コピー用紙は、納品書なら購入した数量が分かります。ただし、購入した月にすべて使い切るとは限りません。「購入数量」と「使用量」を混ぜず、会社の表がどちらを記録しているかに合わせます。冊数を枚数に直す場合も、1冊の枚数を納品書や商品表示で確かめます。
数字を入力した後は元資料を横に置き、対象期間、数量、単位、対象の場所を見比べます。桁の間違いや別の建物の明細の取り違えに気づいたら、その場で直し、確認した日も残しておくと安心です。
増減した事情と、実際に行った活動を短く添える
数字が増減したら、前年や前の期間と条件が同じかを見ます。稼働日が多かった、出社する人が増えた、空調を使う時間が長くなったなど、その月に変わった事情がないかを担当部署に聞きます。前年同月と比べる場合も、同じ場所・同じような期間の数字かを確かめます。
例えば、「電気使用量は前月より増加。不要な照明の消灯は継続。今月は稼働日が3日多かった。設備の使用時間は総務が確認中」と書けば、分かったことと、まだ調べることが伝わります。理由が分からない段階で「節電に失敗した」「この活動で減った」と言い切る必要はありません。
活動の記録には、行ったことと実施時期を添えます。「来月から消灯の声かけを始める」という予定を、今月実施した活動と混ぜないことも大切です。未実施なら予定として残し、実施後に結果を追記します。
公開事例では、日立ICTビジネスサービスの環境活動で、部門ごとに紙使用量を集計し、前年同月比などで異常があれば原因を調べる取り組みが紹介されています。集計した数字を、職場の状況を確かめるきっかけにする例です。
活動そのものの進め方に迷う場合は、オフィス節電の確認と進め方や、オフィス節水の確認と進め方も確認できます。
資料待ちや数字の間違いは、分かる形で共有する
元資料が届いていないときは、「未確認」「明細待ち」と記し、確認先と確認する予定を添えます。空欄を埋めるためにゼロを入れると、使っていなかった月だと受け取られてしまいます。報告日までに確定できないことも、取りまとめ先に伝えます。
資料が届いたら、数字を元資料と照合してから表を更新します。提出後の間違いに気づいた場合は、正しい数字に直すだけでなく、提出先にも訂正を伝えます。「5月の電気使用量を1,020から1,200 kWhへ訂正。明細との転記違い。6月10日確認」のように、どこを直したかが分かるメモを残すと行き違いを防げます。
集計表と元資料は、会社で決めた共有フォルダーなどに保存します。表に資料名や保存先を添え、必要な人が見られるかも確かめておきます。個人のメールだけに残さず、翌月の担当者や後任が同じ資料を取り出せる形にすることが、記録を続ける助けになります。
環境活動の記録でよくある質問
電気・水・紙は、すべて毎月記録する必要がありますか?
すべての会社で、この3項目を毎月記録するという決まりではありません。会社の環境目標や業務に合わせて決めた項目・頻度を確認します。担当を引き継いだときは、前回の集計表と目標を見て、自分がまとめる範囲を確かめると取りかかりやすくなります。
水道の資料が2か月分の場合は、半分ずつ月別に入れますか?
独断で半分ずつにはせず、会社の集計方法を確認します。元資料の使用期間と2か月分の数量は残し、月に分ける場合は計算方法も分かるようにします。実際に測った月別の数量と誤解されない書き方が大切です。
報告日までに資料が届かないときは、どう書きますか?
「明細待ち・未確認」と記し、確認先と確認予定を添えます。資料がないことは使用量ゼロを意味しないため、仮にゼロを入れるのは避けます。届いた後に数字を照合して表を更新し、必要な訂正は提出先にも伝えます。
用紙の納品書にある枚数を、紙の使用量として記録できますか?
納品書だけで分かるのは購入した数量なので、そのまま実際の使用量とは書けません。購入数量を記録する表なら、その名前で残します。使用量を記録する表なら会社の数え方を確認し、購入量と混ぜないようにします。
使用量が増えたら、環境活動は失敗ですか?
増えた数字だけで失敗とは判断できません。対象の場所や使用期間、稼働日、仕事量などの変化を確かめ、実施した活動と併せて振り返ります。原因が分からない場合は確認中と記し、次に調べることを残します。
記録のまとめ方に迷うときは、運用の相談先を持つ
既存の表を見ても集計の決め方が分からない、部署ごとに資料が分かれて毎月の報告が遅れる。そんな場合は、記録の項目だけを増やすより、誰からいつ資料を受け取り、誰が確認するかを社内で整理することが役立ちます。
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