ISO14001の取引先への環境配慮依頼|伝える項目と依頼文・確認記録の例

ISO14001の取引先への環境配慮依頼|伝える項目と依頼文・確認記録の例

取引先へ「環境に配慮してください」とお願いしたものの、何をしてもらうかが曖昧なままになっていませんか。 相手が動ける依頼にするには、対象の品物や作業と、具体的に協力してほしい内容を結びつける必要があります。 この記事では、ISO14001の担当者や購買担当者に向けて、依頼する項目の選び方、伝え方、返答を受けた後の確認を説明します。 配送箱の再利用を相談する架空の依頼文と記録例も、本文内に掲載しています。

この記事でわかること

  • 品物や作業の環境への影響から、依頼する内容を選ぶ
  • 対象・開始時期・返答期限・相談先を具体的に伝える
  • 返答と社内の確認結果、残る相談を記録する

環境配慮の依頼は、取引の中で変えたいことを伝える

ISO14001の環境への取組は、自社の建物の中だけで完結するとは限りません。購入する材料、納品時の梱包、外部へ頼む清掃や設備の点検などにも、資源の使用や廃棄物の発生が関係します。自社が必要とする環境上の条件を決め、関係する取引先へ伝えることが、日々の取引での対応になります。

「環境配慮」とは、この場合、資源の無駄や汚染などを減らすために、品物や仕事の進め方を工夫することです。例えば、品物を保護できる範囲で梱包を見直す、構内の分別方法を守ってもらう、といった行動へ具体化します。

環境方針を送ることは考え方を知ってもらう助けになります。そのうえで、相手に何をしてほしいのか、どの仕事に関係するのかを示すと、実際の協力につながりやすくなります。

イソログに寄せられたリアルな声

以下は編集部が作成した相談例です。

イソログに寄せられたリアルな声

ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。

依頼の具体化

環境方針は送ったが、協力してほしいことが伝わっていない

機械部品製造業・従業員29名

イソログ相談例

状況

仕入先へ環境方針を送付しましたが、梱包材についての相談は口頭のままで、次の納品も以前と同じ状態でした。

進め方

方針に加え、対象の納入品と変えたい梱包方法を説明します。できるか、開始時期や確認が必要なことはあるか、返答してほしい内容も伝えます。

対象の選び方

すべての取引先へ同じ調査票を送るべきか迷う

卸売業・従業員21名

イソログ相談例

状況

原材料の仕入先と事務用品の販売店に、同じ細かな化学物質調査票を送ろうとしています。

進め方

購入するものや頼む仕事との関係を見て、必要な情報を選びます。詳しい材料情報が必要な取引と、納品時の梱包を相談する取引では依頼内容を変えます。

返答の確認

回答に「対応可能」とあるが、いつ始まるか分からない

電子部品製造業・従業員34名

イソログ相談例

状況

梱包の再利用を依頼し、相手から了承の返事を受けました。回収方法と保管場所は決まっていません。

進め方

どの品物から、いつ、誰が回収するかを双方で確かめます。自社の受入担当にも内容を伝え、試す日と結果を見る担当者を決めます。

実施できない場合

相手から「今の納品では難しい」と返事があった

産業機器販売業・従業員18名

イソログ相談例

状況

一律の梱包削減を依頼したところ、製品保護に必要なため減らせないという返事でした。

進め方

減らせない理由と代わりにできる工夫を聞き、購買と品質の担当者で検討します。法令や契約上必要な条件を守ったうえで、別の品物や回収方法から試せないか相談します。

依頼項目は、購入するもの・頼む仕事から選ぶ

依頼前に、購買担当と環境担当が、対象の取引と自社の環境への取組を照らし合わせます。現在使っている購入条件や作業仕様、取引先から届いている資料も確認すると、既に伝えていることと追加で相談したいことを分けられます。

法律や顧客との約束で守る必要がある条件と、これから協力を相談したい改善案では、相手に伝える意味が違います。必要な条件は社内の責任者と確かめ、相談事項は相談であることを明確にします。

取引に合わせて選ぶ依頼項目の例
取引の場面具体的な依頼の例自社で先に確認すること
部品の納品繰り返し使える配送箱での納品を試せるか相談する傷や汚れを防げるか、箱の保管・回収ができるか
構内での清掃作業会社で決めたごみの分別と、異常時の連絡先を伝える現場の分別表示、作業範囲、委託契約との整合
材料の購入必要な材料情報を、対象製品と目的を示して依頼する法令や顧客条件から必要な資料を、担当部署と特定する
設備の点検作業油や部品などの扱い、作業後の片付け、異常時の連絡を伝える作業場所のルールと、誰が何を持ち帰る契約か

表の内容をすべての取引先へ一律に求めるのではなく、相手の仕事との関係から選びます。材料の情報を依頼するときも、「必要な環境書類一式」ではなく、対象の品物と必要な資料、その資料を確認する部署までそろえると、やり取りが進めやすくなります。

購入する品物の選び方から整理したい場合は、ISO14001のグリーン購入で、選定と記録の基本を説明しています。

JR東日本のグリーン調達ガイドラインには、梱包を必要な範囲に抑えることや、繰り返し使える梱包材の使用・回収などが示されています。これは同社の調達基準の例です。自社の依頼では、品質の保護や取引条件も見ながら、実施できる内容を具体化します。

依頼文には、対象と相談したい内容、返答先を入れる

依頼する文書やメールには、目的だけでなく、対象の品物・作業、してほしいこと、希望する時期、返答してほしい事項、相談窓口を入れます。相手が社内で確認する時間も考えて送り、開始日を一方的に決める前に実施できるかを確かめます。

次は、部品の配送箱を繰り返し使いたい会社の架空のメールです。製品の保護や費用、回収方法を確認してから試すため、確定した取引条件の通知ではなく、相談の文章にしています。

件名:部品Aの納品用配送箱の再利用についてのご相談

いつも部品Aを納品いただき、ありがとうございます。当社では梱包材の廃棄を減らす取組を進めており、部品Aの配送箱を回収し、繰り返し使用する方法を検討しています。

12月の納品分から一部で試せるか、11月12日までにご相談できますでしょうか。実施できる品物の範囲、箱の状態を確認する方法、回収・保管方法、費用への影響をお知らせください。難しい点や別の方法のご提案があれば、あわせて伺えれば幸いです。

品物の傷や汚れを防げることを、当社の受入担当と確認したうえで開始日を調整したいと考えています。ご返答・お問い合わせは購買担当の佐藤までお願いいたします。

既に仕様書や発注条件で決めた内容があれば、その資料と食い違わないようにします。開始日、費用、作業の分担が変わる場合は、社内の承認と相手との確認を経て、必要な取引書類にも反映します。メールの依頼だけで契約条件を変更した扱いにしないことが大切です。

構内へ来る作業者にも関わる依頼は、取引先の窓口へ送るだけでなく、実際に作業する人へ届く方法を確かめます。現場の掲示や作業前の説明など、相手が仕事を始めるときに確認できる形が役立ちます。

返答を受けたら、開始条件と残る確認を記録する

「対応可能」という返事が届いたら、どの条件でできるのかを見ます。依頼した内容と回答を並べ、対象、開始日、分担、費用、必要な資料などのうち、未確認の点を確かめます。相手に難しい事情があれば、理由と代わりの案を社内の担当者と検討します。

法令や契約で守る条件は、実施が難しいという返事だけで外せません。必要な対応を責任者と検討します。一方、梱包の見直しなど新たな改善の相談は、品物の保護や受入れの都合も見ながら、試せる範囲をそろえると進めやすくなります。

依頼と返答の確認記録(架空例)
残す項目配送箱を再利用する相談の記入例
対象と目的仕入先B社の部品A。梱包材の廃棄を減らすため、配送箱の再利用を相談
依頼したこと11月5日、購買の佐藤からB社窓口へメール。実施できる範囲、回収・保管方法、費用への影響について返答を依頼
受け取った回答11月9日、部品Aの一部で試せるとの回答。次回納品時の箱回収を提案。回収に伴う費用は確認中
自社で確認すること受入担当が箱の状態と保管場所を確認。品質担当が、品物を保護できるかを確認する
開始前の合意対象の納品分、開始日、箱の確認・回収方法、費用を双方で確認して記入する。現時点では開始日未確定
実施後の確認開始後の納品で、箱の状態、品物の傷や汚れ、回収・保管の支障を受入担当が見て記録する予定

この記録では、相手から返答は届いていますが、開始の条件はまだ確定していません。未確認の費用や品質面の確認を残し、誰がいつ続きを確かめるかを追記します。実施後に問題があった場合は、何を直すかを相手と相談し、決まった方法を記録します。

今ある発注書やメールを使いながら、依頼と回答を後からたどれる場所へ保管します。文書全体の整え方は、ISO14001で必要な文書・記録でも紹介しています。

取引先への環境配慮依頼でよくある質問

取引先すべてにISO14001の取得をお願いする必要がありますか?

すべての取引先へ一律に認証取得を依頼するものではありません。自社の環境への取組、購入するものや頼む仕事、契約条件などから必要な条件を決めます。認証の取得を取引条件にしている場合は、その条件も確認します。

環境方針を送るだけでもよいですか?

具体的に守ってもらう条件がある場合は、方針に加えてその内容を伝えます。例えば構内の分別方法なら、対象となる作業や置き場所、連絡先を示すと、現場で実行しやすくなります。

返答がない取引先は、対応済みとしてよいですか?

返答や実施状況を確認してから判断します。届いているか、回答の担当者は誰かを確かめ、必要な確認を続けます。連絡した日と次の確認予定を残し、送付した事実だけで実施済みにはしません。

毎年同じ依頼書を送り直しますか?

依頼内容や取引が変わったとき、実施状況を見直す必要があるときなどに、相手と内容を確認します。自社や契約で定めた確認時期があればそれに沿います。変更がない場合も含め、毎年の再送だけを目的にせず、今の仕事に必要な条件が伝わっているかを見ます。

普段の発注や受入れに、環境の確認を組み込む

依頼する内容が決まったら、購買の窓口だけでなく、受入れや現場の担当者にも共有します。相手が新しい箱で届けても、自社で保管や回収を引き受けられなければ続きません。既存の発注・受入れの流れに、誰が何を見るかを加えると運用しやすくなります。

ISOトラストでは、ISO14001の取得・維持運用、文書作成、社員教育などを支援しています。取引先への依頼をどこまで具体化するか迷うときは、今の購入条件と相談したい品物や作業を示すと、自社に必要な進め方を相談できます。

ISOの取得・運用支援と相談窓口を案内するISOトラスト公式サイト

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