ISO9001の作業手順書|初めての担当者向けに作り方と使い方を紹介
「先輩によって教え方が違う」「口頭で説明したことが、なかなか伝わらない」。こうした困り事を減らすために役立つのが、作業手順書です。仕事の順番と確認箇所を、初めて担当する人にも分かる形にまとめます。 作るときは、実際の作業を見ながら書き、使う人に試してもらうと、現場に合った内容になります。 この記事では、作る範囲の決め方、具体的な書き方、短い記入例、共有と更新の方法を紹介します。
この記事でわかること
- 使う人と一つの作業を決め、今のやり方を聞く
- 作業の順番に、見る箇所と理由を添えて書く
- 使う人と試し、分かりにくかった説明を直す
- 置き場所と変更点を伝え、実際の仕事に合わせて見直す
作業手順書は、仕事のやり方を伝える資料
作業手順書は、一つの仕事をどの順番で、どう進めるかをまとめた資料です。準備する物、作業の方法、間違えやすい箇所が分かると、初めて担当する人も教わった内容を振り返れます。
たとえば出荷前の確認なら、「品物を確認する」だけでなく、「出荷伝票の品名と品物のラベルを照らし合わせる」と書きます。何を見て、何と比べるかが分かることが、使いやすい手順書の基本です。
ISO9001は、お客様が求める製品やサービスを安定して届けるための国際規格です。手順書は、担当者が変わっても会社で決めたやり方を引き継ぎ、品質を保つために役立ちます。作成では、実際の仕事を見て書き、読み手に試してもらう流れを取ると、現場に合う内容にできます。
イソログに寄せられたリアルな声
以下は編集部が作成した相談例です。
VOICES
イソログに寄せられたリアルな声
ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。
会社の仕事を、全部手順書にするの?
部品製造業/26人
イソログ相談例
作業手順書の作成を頼まれましたが、どの仕事から書くか決まっていません。
最初から全業務に広げず、よく質問される作業や、教える人によって説明が違う作業を上司と選びます。誰が使い、どこからどこまで説明するかを決めると、必要な内容を絞れます。
「品物を確認する」と書いても伝わらない
卸売業/19人
イソログ相談例
新しく担当した人が、品物の何を見ればよいか迷っています。
普段の担当者に伝票と品物を見せてもらい、「品物のラベルと伝票の品名を照らし合わせる」のように具体的に書きます。読み手にもその箇所を探してもらうと、説明が伝わったか確認できます。
先輩ごとに順番が違う。どちらを書けばいい?
機械組立業/15人
イソログ相談例
複数の人から聞いた方法が違い、手順書に載せる内容を決められません。
違う箇所を作業の責任者へ見せ、会社として使う方法を決めてもらいます。その内容を書いたら、普段教える人にも確認してもらい、手順書と口頭の説明をそろえます。
画面の写真を載せたのに、入力欄が分からない
事務受託業/11人
イソログ相談例
画面全体の写真が小さく、どこへ入力するかを見つけにくいと言われました。
社内で使用できる画面例を用意し、入力する欄に印と短い説明を添えます。必要な部分を大きく見せ、実際に使う画面や紙で文字が読めるかを確認します。
事務所で直した手順が、現場に届いていない
清掃業/22人
イソログ相談例
ファイルを更新しましたが、現場では以前の内容を印刷した紙が使われていました。
管理担当者と紙の配布先を確かめ、現場の資料も新しい内容へ差し替えます。作業する人へ変更点を説明し、事務所と現場で同じ手順を使えるようにします。
作る前に、対象の作業と読み手を決める
初めて作るなら、よく質問される作業や、人によって教え方が違う作業を一つ選ぶと取りかかりやすくなります。新入社員が使うのか、異動してきた経験者が使うのかによって、必要な説明の細かさも変わります。
作業の責任者と対象を決めたら、今の手順書、見本、記録用紙を集めます。普段の担当者に実際の作業を見せてもらい、何を受け取って始め、どこまで終えたら次の人へ渡すかを聞きます。
| 聞くこと | 質問の例 | 手順書に書く内容 |
|---|---|---|
| 始まりと終わり | 何を受け取って始め、何が終わったら次へ渡しますか? | その手順書で説明する作業の範囲 |
| 準備する物 | 伝票や道具は、どこから用意しますか? | 使う物と置き場所 |
| 作業の順番と注意点 | 最初に何を見ますか?間違えやすいのはどこですか? | 実際の順番、確認箇所、注意する理由 |
| 困ったときの対応 | 見本と違う、資料がない場合は誰へ聞きますか? | 作業を止める場面と相談先 |
口頭でだけ伝えている注意点や、見本と実際の作業が違う箇所は、その理由も聞いておきます。人によって方法が違う場合は、責任者に会社として使う方法を決めてもらってから文章にします。
設備の点検手順を作る場合は、実物と点検表を一緒に見せてもらうと、確認箇所をつかみやすくなります。点検の流れと記録は、ISO9001の設備点検で紹介しています。
「何をどうするか」が分かる書き方
手順は実際に作業する順番で並べ、一つの段階で行うことを具体的に書きます。「よく確認する」「適切に処理する」といった表現だけでは、初めて読む人が動けません。使う物や確認する箇所まで示すと、次に何をすればよいか分かります。
たとえば「品名を確認する」なら、「伝票の品名と、品物のラベルの品名を照らし合わせる」と書けます。「似た名前の品物の取り違えを防ぐため」と理由を添えれば、その確認を省けないことも伝わります。
J-Net21の作業標準書に関するQ&Aでも、作業の順番、要点、理由をまとめ、実際に作業する人と作ることを紹介しています。書き手だけで完成させず、現場の人に確かめてもらう方法が参考になります。
位置や向きを説明する場合は、写真や図が役立ちます。見る箇所に印と短い説明を付け、必要な部分を大きく見せます。お客様の情報や社外秘が写る写真は、掲載できる範囲を社内で確認した素材を使います。
品名と数量を確認する手順の記入例
次は、卸売会社で出荷前に品名と数量を確認する架空例です。資料名・担当者・作業方法は説明用の仮設定で、実際の顧客の手順や支援実績ではありません。
手順書の対象は「出荷担当者が品物と伝票を用意し、照合結果を出荷リーダーへ渡すまで」です。このように、題名と作業の範囲を最初に書くと、どの場面で使う資料か分かります。
| 順番 | 作業の内容 | 確認箇所・理由 |
|---|---|---|
| 1 品物と伝票をそろえる | 今回の出荷品と、それに対応する出荷伝票を用意する | 別の出荷分と混ざらないよう、一件ずつ確認する |
| 2 品名を比べる | 伝票の品名と、品物のラベルの品名を照らし合わせる | 似た名前の品物を取り違えていないかを見る |
| 3 数量を比べる | 伝票の単位に合わせて品物を数える | 個数と箱数など、違う単位のまま比べない |
| 4 結果を残して伝える | 結果を社内の確認欄へ記入し、伝票を出荷リーダーへ渡す | 違いや不明点があれば、次へ回す前にリーダーへ相談する |
書いた内容は、普段の担当者に見てもらいます。伝票の呼び名、記入欄、相談先が実際と合っているかを確認し、別の見本や基準を使う場合は、その資料の置き場所も案内します。
ここで示したのは品名と数量を比べる作業です。出荷までには、製品ごとに決めた品質の確認や、出荷を認める担当者への引継ぎもあります。全体の流れは、ISO9001の出荷検査で紹介しています。
使う人に試してもらい、迷う箇所を直す
下書きの分かりやすさは、これから使う人に読んでもらうと確かめられます。責任者に内容を確認してもらったうえで、指導できる人の立会いのもと、手順に沿って試す機会を設けます。
資料を用意できるか、確認箇所を見つけられるかを見ます。途中で迷った場合は、「どの言葉が分からなかったか」「写真のどこを見るか迷ったか」を聞くと、直す場所がはっきりします。口頭で補った説明は手順書にも加え、もう一度試してもらいます。
たとえば確認メモには、「11月12日、田中が佐藤の立会いで照合を試した。数量の単位で迷ったため、伝票の単位欄を示す説明を追加。13日に再確認する」と書けます。人名・日付・結果は説明用の架空例です。
説明と練習の進め方は、ISO9001の社員教育も参考になります。修正した手順書は、会社で決めた確認・承認を受けてから使い始めます。
最新版を使える場所に置き、変更を伝える
完成した手順書は、作業する場所で必要なときに読めるようにします。紙なら現場の置き場所を、画面で見るなら保存先と開き方を利用者へ伝えます。文字や写真が読める大きさかも、実際の使用場所で確認します。
仕事のやり方や使う資料が変わったら、手順書も更新します。管理担当者が変更内容を確認し、更新日と変わった点を分かるようにしたうえで、利用者へ説明します。事務所のファイルを直すだけでなく、現場の紙も差し替えるところまでが更新です。
保存場所や古い資料の扱いは、ISO9001の文書・記録管理で紹介しています。
同じ質問を何度も受ける箇所は、説明を見直す手がかりになります。使う人が迷った言葉や写真を直すと、口頭で繰り返していた説明を手順書に残せます。
運用中に見つかった問題は、直す内容、担当者、確認する日を短く記録します。実物と説明が違っていた、必要な資料が見つからなかったなど、具体的な困り事を集めると改善しやすくなります。
作業手順書のよくある質問
最初から、すべての仕事の手順書を作る必要がある?
最初から全業務を一度に書く必要はありません。上司と相談し、質問が多い作業や、人によって説明が違う作業など、必要なものから作ります。今ある手順書や見本を使える場合は、それを見直す方法もあります。
WordやExcelで作ってもいい?
はい。WordやExcelで作れます。会社の書式があればそれを使い、作業の順番と確認箇所を読みやすくまとめます。紙でも画面でも、作業する人が必要なときに開け、文字や写真を読める形にします。
手順書は文章だけで書くもの?
いいえ。写真や図も使えます。見る位置や向きは、文章より写真の方が伝わりやすい場合があります。注目する箇所に印を付け、作業の順番や理由は短い文章で補います。
人によってやり方が違う場合は、どちらを書く?
作業の責任者に会社として使う方法を決めてもらい、その内容を書きます。違う箇所を実物やメモで示すと相談しやすくなります。決まった方法は、教える人と使う人の両方へ伝え、説明をそろえます。
まとめ:読んで作業できる手順書にする
使いやすい手順書には、作業の順番だけでなく、確認する箇所や理由、困ったときの相談先が書かれています。実際の担当者に教わって書き、読み手に試してもらうと、説明の抜けや分かりにくい箇所が見つかります。
手順書と現場の仕事が合わない、作成や社員への説明を一人で抱えている場合は、ISOトラストのISO9001取得・運用支援に相談できます。今ある資料と困っている作業をもとに、現場で使い続けられる方法を考えられます。
ISOコンサル会社選びで迷ったら、まずは比較してみましょう。
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