ISO9001の測定器管理と校正|台帳・周期・異常時の確認方法

ISO9001の測定器管理と校正|台帳・周期・異常時の確認方法

ISO9001の測定器管理では、検査に使う機器を一覧にし、必要な校正や点検を行います。 この記事では、管理する機器の選び方、台帳の書き方、校正周期の決め方、異常時の対応を、初めての担当者向けに分かりやすく紹介します。

この記事でわかること

  • 測定器管理で、まず取り組むこと
  • 校正・検証・日常点検の基本的な違い
  • 管理台帳の書き方と校正周期の決め方
  • 異常や期限切れが見つかったときの対応

ISO9001の測定器管理は、何をすればよい?

測定器管理は、検査に使う測定器が、必要な精度で測れる状態にあるかを確かめることです。測定器を使って合否を決める仕事では、道具の状態が結果の信頼性につながります。

初めて担当する方は、まず現場で使っている測定器を一覧にしてみましょう。そのうえで、どれを管理し、いつ校正や点検を行うかを決めます。

基本の流れは、①管理する測定器を選ぶ、②台帳へまとめる、③校正・点検の時期を決める、④結果を見て使えるか判断する、の4つです。

イソログに寄せられたリアルな声

以下は編集部が作成した相談例です。業種・人数・状況は仮設定で、実際に寄せられた発言や顧客実績ではありません。

イソログに寄せられたリアルな声

ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。

5件
金属加工業・28人/相談例

校正は毎年1回でよいのでしょうか?

イソログ相談例

状況

前任者が決めた年1回の周期を続けていますが、その理由を説明できません。

進め方

メーカーの案内、使用頻度、過去の校正結果を見比べます。最初の周期と見直し条件を台帳へ書き、次の結果で継続・短縮・延長を判断しましょう。

機械組立業・35人/相談例

台帳と現物のラベルで期限が違っています

イソログ相談例

状況

校正後に証明書は保管しましたが、現場の表示が更新されていませんでした。

進め方

結果を確認する担当者が、台帳と現物表示の更新まで確かめて使用を承認する流れにします。返却された機器を、そのまま現場へ戻す工程を見直すと改善できます。

部品製造業・22人/相談例

校正結果にズレがあったら、製品も調べますか?

イソログ相談例

状況

測定器を修理に出しましたが、それまで測った製品をどこまで確認するか迷っています。

進め方

調整前の結果を確保し、使用した期間・製品・測定範囲を拾います。点検記録などを根拠に対象を決め、再測定や出荷先への対応を品質担当が判断します。

設備保守業・18人/相談例

借りた測定器は、どこまで確認すればよいですか?

イソログ相談例

状況

貸出元から校正済みと聞いていますが、作業記録と機器の対応が分かりません。

進め方

機器番号、校正結果、使える範囲、使用前の状態を確認し、作業記録へ使用機器の番号を残します。所有者と使用者の担当範囲も決めておきましょう。

検査サービス業・14人/相談例

日常点検が正常なら、校正は延ばせますか?

イソログ相談例

状況

毎朝ゼロ点を確認しているので、定期校正の間隔を長くできるか検討しています。

進め方

日常点検で確認している測定点と、実際に使う範囲を照合します。校正履歴や使用環境も見て、測定能力を保てる根拠がそろった場合に周期を見直します。

管理する測定器と、校正・点検の違いを知る

管理の対象は、何に使うかから選びます。たとえば製品の寸法を測るノギスやマイクロメータ、温度を管理する温度計などです。特に、製品やサービスの合否を決める測定から見ていくと分かりやすいでしょう。

必要な精度は、検査基準や顧客の指定を見て決めます。普段その機器を使う人と、品質を担当する人が一緒に選ぶと、実際の使い方に合った管理になります。

校正・検証・日常点検の違い
言葉基本的な意味
校正基準となる値と比べ、測定器がどのような値を示すか、どれくらいずれるかなどを調べること
検証予定している測定に使うための条件を満たしているか、結果を見て確かめること
日常点検使う前などに、傷や汚れ、動き、ゼロ点、必要な測定点の状態を確かめること

校正は状態を調べる作業なので、調整や修理が必要な場合は別に対応します。外部へ依頼するときは、「どんな製品を、どの範囲で測る機器か」も伝えると相談しやすくなります。

測定器管理台帳の作り方と記入例

台帳には、どの機器を、誰が、いつまで使えるかが分かる情報をまとめます。最初は、機器名と管理番号、使用場所、校正日、次回予定、結果の保管先から始めると取り組みやすくなります。

次の表は、マイクロメータを管理する場合の説明用の記入例です。日付や周期は自社で決めた内容を入れます。

測定器管理台帳の記入例
項目記入例
機器名・管理番号外側マイクロメータ/現物の番号を記入
用途・場所部品の外径検査/検査室
管理担当検査担当者の名前
校正日・次回予定直近の実施日と、自社で決めた次回期限を記入
結果と保管先使用可能と判断。校正証明書は共有フォルダーへ保管
現在の状態使用可・校正中・使用停止など

現物にも管理番号や次回期限を表示すると、使う人がその場で状態を確認できます。校正後は、証明書を保存し、台帳と現物の表示も一緒に更新しましょう。

ポイント

台帳と現物が合っているか、まず一つ確かめてみましょう。使わなくなった機器や、期限の更新漏れが見つかることもあります。

用途の違う測定器を台帳にまとめる例

以下は、28人の金属部品製造会社を想定した編集部の架空例です。機器ごとに「何に使うか」を先に書くと、必要な管理の違いが分かります。

用途に合わせた管理の記入例
機器・用途管理する内容担当者が見ること
マイクロメータ/部品の出荷検査必要な範囲の校正と使用前の点検を計画し、結果を残す品質担当が結果を見て使用できるか判断。台帳と現物表示を更新する
点検用の基準器/マイクロメータの確認基準となる値の根拠と、基準器自体の校正・保管方法を管理する検査担当が使う前に状態を確認する
圧力計/設備の加圧状態の目安設備点検で表示や作動を確認する製品の合否判定にも使うことになったら、必要な精度と管理方法を見直す

機器の種類だけで一律に決めず、現場での用途を見て、校正や点検の方法を選びます。製品の検査記録にも使用機器の番号があると、異常時に調べやすくなります。

校正周期の決め方と、依頼後に見ること

校正の周期は、メーカーの案内、使用頻度、使う環境、過去の結果などを見て決めます。顧客からの指定がある場合は、その条件も含めます。

「毎年同じ時期だから」と続けている場合は、前回までの結果と使い方を見直してみましょう。傷みや変化が大きい機器は早めに確認するなど、実績を次の計画に生かします。

NITEのJCSSのFAQでも、校正証明書に有効期間は設けられておらず、使用頻度や環境を考えて再校正を検討する考え方が説明されています。証明書の日付と、自社で決めた次回期限を分けて管理すると迷いません。

戻ってきたら、証明書をしまう前に結果を見る

校正後は、機器の番号、調べてもらった範囲、結果を見て、予定の検査に使えるかを判断します。数値の読み方や必要な精度に迷う場合は、品質担当者や校正機関へ相談しましょう。契約などで求められる場合や、測定結果の信頼性を確かめるうえで欠かせない場合は、国家標準などにつながる校正の根拠も確認します。

品質担当者がマイクロメータと基準器のある検査室で測定器の記録を確認する場面
機器番号、測定範囲、校正結果を台帳と照合し、使用できる条件を確認します。

結果を見て使用可能と判断したら、台帳とラベルを更新して現場へ戻します。期限が近づいて慌てないよう、依頼から返却までの日数も考えて手配しておくと安心です。

毎日使うマイクロメータの周期を決める例

先ほどの架空例では、出荷検査で毎日使い、まだ校正の履歴が少ないため、メーカーの案内や顧客の条件を確認したうえで、最初の周期を6か月に設定したとします。台帳には「毎日使用・履歴が少ないため、まず6か月で状態を見る」と理由を残します。

その後は、校正結果と日常点検、使い方の変化を品質担当が見比べ、周期を続けるか、短くするか、延長を検討するかを決めます。6か月はこの例の設定です。落下や値の不安定があれば、予定日を待たずに使用を止めて確認します。

日常点検と、異常が見つかったときの対応

日常点検では、機器の傷や汚れ、動き、ゼロ点など、その機器に必要な項目を決めます。いつもと違う値が出た、落とした、動きが悪いといった場合は、そのまま使わず担当者へ相談します。

異常や期限切れが見つかったら、まず使用を止め、使用停止と分かるようにします。その後、修理や再校正の手配とあわせて、これまでの測定結果へ影響がないかを調べます。

たとえば出荷検査で使っていた機器なら、いつ、どの製品を測ったかを検査記録から調べ、必要に応じて別の適切な機器で測り直します。出荷済み品への対応は、品質責任者が影響を見て判断します。

ポイント

機器を直すことと、以前測った製品を確かめることをセットで考えましょう。使った機器の番号を検査記録へ残しておくと、調べるときに役立ちます。

いつもと違う値が出たときの対応例

同じ架空例で、20mm付近を測ると値がずれるマイクロメータが見つかったとします。検査担当は使用を止めて品質担当へ連絡し、状態を確認した別の機器へ切り替えます。品質担当は、調整前の校正結果と使用記録を集め、これまで測った製品への影響を調べます。

異常時に残す内容の記入例
場面行動と記録
異常を見つけたとき発見日、機器番号、ずれが疑われる測定範囲を記録し、使用停止を表示する
以前の測定を調べるとき前回の信頼できる確認から発見までの使用記録をたどり、対象の製品を調べる
製品への対応を決めるとき社内にある品は必要に応じて出荷を保留して再測定。出荷済み品は品質責任者が影響を見て、連絡や確認方法を決める
使用を再開するとき修理後の校正・確認結果を見て使用を承認し、点検方法や周期も見直す

前日の点検がゼロ点だけなら、20mm付近まで正常だったかは別に調べます。どの範囲を確認していたかを見ながら対象を絞り、対応が終わるまで担当者と進み具合を記録しておきましょう。

測定器管理・校正のよくある質問

校正は必ず年1回ですか?

一律に年1回とせず、必要な精度、使用頻度、環境、過去の結果や顧客の条件から決めます。決めた理由を台帳へ短く残しておくと、見直す際に役立ちます。

すべての測定器を同じように管理しますか?

用途と品質への影響に合わせて選びます。合否判定に使う機器と、設備の状態をおおまかに見る表示器では、必要な精度や確認方法が異なります。

社内で校正や検証を行ってもよいですか?

必要な基準器、手順、環境、担当者の知識・技能を用意できる場合は、社内で行う方法もあります。自社で対応できる範囲を見て、外部への依頼と使い分けます。

JCSS校正は必須ですか?

顧客や契約などで指定があるか、必要な測定の信頼性をどう示すかを見て選びます。依頼先へ機器の用途と必要な精度を伝えて相談すると決めやすくなります。

校正記録は何年保管しますか?

製品や測定結果を後から調べるために必要な期間と、顧客・法令・社内の条件から決めます。台帳から証明書の保管先が分かるようにしておきましょう。

校正証明書とトレーサビリティ体系図は、両方必要ですか?

NITEは、JCSS標章付き校正証明書があれば、体系図がなくても国家計量標準へのつながりを示せると説明しています。証明書の内容と、顧客から求められている提出資料を確認してそろえます。

新品や借りた測定器も管理しますか?

製品の検査などに使うなら、新品・借用品も用途に必要な精度と使用前の状態を確かめます。機器の番号、校正等の資料、使用できる範囲を把握し、誰が管理するかを決めましょう。

測定器管理を含めたISO9001の運用を相談する

最初は、普段の検査で使う機器を一覧にし、校正や点検の予定が分かるようにすることから始めてみましょう。現場で無理なく続けられる形にすることが大切です。

ISOトラストでは、ISO9001の新規取得から取得後の運用まで支援しています。管理する機器の選び方や、台帳・記録の整え方に迷っている方は、今の検査のやり方と一緒に相談してみてください。

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