ISMSの情報セキュリティ教育|初めての担当者向けに準備と進め方を紹介

ISMSの情報セキュリティ教育|初めての担当者向けに準備と進め方を紹介

情報セキュリティ教育で伝えたいのは、難しい知識よりも「仕事で情報をどう扱うか」です。メールを送る前に見る箇所、書類を戻す場所、紛失に気づいたときの連絡先など、日常の場面で説明すると理解しやすくなります。 初めて担当する場合も、前回の教材や今の社内ルールをもとに準備できます。説明後の短い質問と、欠席者への案内まで決めておくと、受講漏れや理解しにくい部分を見つけられます。 この記事では、テーマと予定の決め方、当日の説明、理解を確かめる質問、受講記録の例を紹介します。

この記事でわかること

  • 情報セキュリティ教育は、仕事で守るルールを伝える場
  • イソログに寄せられたリアルな声
  • 誰に、何を教える?仕事に近いテーマの選び方
  • 教育を行う時期と、欠席者の受講予定
  • 身近な例で説明し、相談先まで案内する

情報セキュリティ教育は、仕事で守るルールを伝える場

情報セキュリティ教育は、社員が仕事で情報を安全に扱えるよう、会社のルールと具体的な行動を伝えるものです。ISMSは、こうした情報の守り方を会社で決め、続けて見直す仕組みを指します。

「情報を大切に扱う」と聞くだけでは、何をするかが分かりません。「お客様の資料を使い終えたら、決められた棚に戻す」と説明すれば、その日の仕事で実行できます。保管する理由と棚の場所も伝えると、行動につながります。

初めて担当する場合は、前回の教材と受講記録が準備の手がかりになります。総務や情報管理の担当者と読み、変わったルール、連絡先、社員から多く聞かれたことを今回の説明に反映します。

例えば机に残す書類や離席時の画面は、クリアデスク・クリアスクリーンの確認例を使い、職場の保管場所や画面ロックの方法と一緒に説明できます。

イソログに寄せられたリアルな声

以下は編集部が作成した相談例です。

イソログに寄せられたリアルな声

ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。

5件
初めての準備

初めて教育を任され、何から準備すればよいか迷っています

卸売業/24人

イソログ相談例

状況

前年の資料はありますが、誰に何を聞けば、今回使える内容になるのか分かりません。

進め方

前年の資料を総務や情報管理の担当者と見て、ルールや連絡先の変更を探します。社員が普段扱う資料やメール、よくある質問も聞くと、今回説明したい場面を選べます。

仕事に近い説明

説明が長くなり、仕事とのつながりを伝えられません

印刷業/17人

イソログ相談例

状況

一般的な知識を並べた資料になり、受講者から「仕事では何をすればよいですか」と聞かれました。

進め方

「使い終えた顧客の資料をどこへ戻すか」のように、身近な場面で説明します。保管場所まで一緒に見せると、ルールを仕事に結び付けられます。

理解の確認

動画を見てもらった後、何を確認すればよいですか

広告制作業/13人

イソログ相談例

状況

全員が視聴しましたが、分からなかったことがあるかは聞いていません。

進め方

「資料をなくしたかもしれないとき、誰に連絡しますか」と、動画に関連する質問をします。迷った人には連絡先の案内を見せ、質問と説明し直した内容を記録します。

欠席者への案内

勤務日が違う人へ、どう案内すればよいですか

小売業/32人

イソログ相談例

状況

説明会の日に出勤しない社員がいます。欠席者に資料を送った後、どう確認するかは決まっていません。

進め方

別の日に説明するか、資料で学んでもらった後に質問を受ける方法を用意します。終える予定日と質問先も伝え、本人の回答や受講状況を見て完了を記録します。

途中入社

年度の途中に入社した人への教育が抜けていました

研修サービス業/10人

イソログ相談例

状況

全体の説明会は終わりましたが、その後に入社した社員へ同じ案内をしていませんでした。

進め方

仕事で情報を扱い始める前に、必要なルールと相談先を伝えます。人事・総務から入社や配属の連絡が教育担当へ届くようにすると、年度途中でも準備できます。

誰に、何を教える?仕事に近いテーマの選び方

対象者は、会社の情報や機器を使う人から考えます。社員に加え、同じ仕事をするパートや派遣社員、在宅勤務者、別拠点の人にも、担当する仕事に必要な説明が届くよう、上司や人事・総務と一覧を作ります。

テーマは、受講者が普段している仕事から選ぶと伝わります。営業ならメールで資料を送る場面、事務なら紙の書類を片付ける場面です。何を守るかだけでなく、間違えたときや迷ったときの連絡先も含めます。

メールの宛先・本文・添付資料の見方は、メール誤送信対策で説明しています。紙の書類を扱う部署なら、書類を捨てるときの確認と進め方も教材にする場面を考える参考になります。

教材に載せる内容は、現在のISMSの社内ルールと合わせます。例えば「総務へ連絡」なら、担当者名に加え、電話番号や社内チャットの連絡先まで示すと、受講者が迷わず連絡できます。

仕事で生成AIを使う人には、生成AIの社内ルールと確認例のように、入力できる情報と、作った文章を使う前の確認を取り上げられます。一度にすべてを説明するより、その人の仕事で必要な内容を選びます。

教育を行う時期と、欠席者の受講予定

教育は、全体向けの予定に加え、入社・異動やルールの変更に合わせて用意すると、必要なときに必要な説明を届けられます。特に新しく仕事を始める人には、情報を扱い始める前に基本のルールを伝えます。

次は、小さな会社の予定を想定した架空例です。4月という時期や説明方法は例であり、一律に定められた日程ではありません。社内で決めている教育計画と、入社や業務変更の予定を合わせて考えます。

教育の予定例
時期・場面対象者と内容説明・確認をする人
4月の全体説明会社の情報を扱う社員へ、基本ルールと連絡先を説明総務が会議で説明し、短い質問で理解を確認
年度途中の入社・配属仕事を始める人へ、保存先と資料の扱いを案内上司が実際の仕事に沿って説明
部署の異動異動する人へ、新しい部署の資料と連絡先を案内異動先の上司が説明
ルールの変更関係する人へ、変わる点と使い始める日を案内変更担当者が説明し、質問を受ける

勤務日が合わない人には、別日の説明や、同じ資料で学べる時間を用意します。受講を終える予定日と質問先を先に伝えると、資料を送ったままになるのを防げます。

入社時は、アカウントの準備と利用確認に合わせてルールを説明すると、実際の操作と結び付きます。異動時は、退職者・異動者のアカウント管理も参考に、利用するサービスが変わることを関係者へ伝えます。

身近な例で説明し、相談先まで案内する

説明では、「すること」「その理由」「職場での例」をつなげると、聞く人が場面を思い浮かべられます。例えば「顧客の資料は決められた棚へ戻します。関係のない人の目に触れないようにするためです」と伝え、実際の棚を見せます。

紛失などの連絡も、場面と連絡先を一緒に示します。「パソコンが見当たらないと気づいたら、この窓口へすぐ連絡する」と説明し、連絡先の案内を本人が開けるか確かめると、困ったときに使えます。質問の時間も残しておきます。

IPAの「5分でできる!情報セキュリティポイント学習」は、職場の身近な場面を題材にし、各テーマの最後に確認テストを置いています。短い内容を学んで質問で振り返る、という構成は社内教育にも参考になります。

外部教材は事前に読み、自社の保管場所や相談先を補って説明します。例えば受付担当者には来客の受付・案内の流れ、USBメモリを使う人にはUSBメモリの貸出・返却と記録例のように、担当する仕事と結び付く場面を選べます。

「分かりましたか」より、行動を答えてもらう

「分かりました」と返事があっても、実際にどう動くかまでは分からないことがあります。「資料を送る前に何を見るか」のように、仕事の場面を出して答えてもらうと、説明が伝わったかを確かめられます。口頭の質問でも、短いテストでも使える方法です。

次は、教材で説明した内容を振り返る質問例です。保管場所や連絡先には、その会社で実際に使っているものを当てはめます。

理解を確かめる質問例
質問答えの例迷った人への説明
お客様へ資料をメールで送る前に、何を見ますか宛先と添付資料が、送る相手・内容に合っているかを見る画面や見本で、見る箇所を示す
使い終えたお客様の紙資料は、どこへ戻しますか会社で決めた保管場所へ戻す教材に載せた棚などを一緒に見る
会社のパソコンをなくしたかもしれないときは?気づいた時点で、社内の窓口へすぐ連絡する担当者名と連絡方法の案内を一緒に開く

答えに迷った箇所は、その場で説明し直します。連絡先が分からなかったなら、案内を一緒に見てから、もう一度答えてもらいます。間違いを数えるだけで終わらせず、仕事で使えるところまで補うと、教育の目的に近づきます。

ポイント

同じ質問が何度も出るなら、教材側の説明が足りないかもしれません。「保管棚が分からない」という声には、棚の写真を加えるなど、迷った箇所を具体的に直せます。

受講記録には、欠席者への対応も残す

受講記録には、実施日、対象者、説明した内容、使った教材、理解を確かめた結果を残します。誰への説明が終わり、誰がまだ受けていないかが分かると、次の担当者も続きを進められます。今ある社内の様式を使って構いません。

次は、卸売会社の営業部で説明会を行った架空例です。人名・人数・日付・保存場所は説明用の仮設定です。

教育記録の記入例
残すこと記入例
実施日・説明者4月10日/総務の佐藤
対象者・受講状況営業部8人中7人が参加。欠席した田中には別日に説明予定
説明した内容メール送信前の確認、紙資料の保管、紛失時の連絡先
使った教材社内説明資料「営業部で守る情報の扱い方」
理解の確認と補足短い質問を実施。連絡先に迷った2人に案内を見せ、もう一度確認
残る対応田中には4月14日に佐藤が説明し、同じ質問で確認する
保存場所会社指定の教育記録フォルダ「4月 営業部」

欠席者への説明が終わったら、実施日と結果を追記します。予定日に受けられなければ、本人と上司に次の日程を聞きます。資料を送った段階と、学習・理解の確認が終わった段階を区別して残すと、受講漏れを見つけられます。

保存方法はISMSの文書・記録管理の基本でも紹介しています。氏名や回答を含む記録は、会社が決めた担当者が扱える場所へ、教材と一緒に保管します。

次回の準備では、今回多かった質問や、説明後も現場で迷ったことを上司に聞くと、教材を直す手がかりになります。毎回作り直すより、伝わりにくかった箇所から改善できます。

情報セキュリティ教育のよくある質問

毎回、長い研修にする必要がある?

いいえ、毎回長い研修にする必要はありません。ルールの変更点を会議で短く説明し、最後に質問で確かめる方法もあります。会社の教育計画に沿って、今回伝える内容と理解を確認できる時間を用意します。

毎年、同じ資料を使ってもよい?

はい、今のルールや仕事に合っていれば使えます。使う前に、連絡先、変更されたルール、前回質問が多かった箇所を見直し、古い部分を書き換えます。

理解度テストは、何を聞けばよい?

今回教えた内容から、仕事でどう行動するかを聞きます。例えば「パソコンをなくしたかもしれないとき、誰へ連絡しますか」という質問です。答えに迷った箇所を説明し直せる問題にすると、理解の確認に使えます。

説明会に参加できなかった人は、どうする?

別の日に説明するか、資料で学んでもらい、同じ内容を理解できたか確認します。終える予定日と質問先を案内し、必要な補足が済んだら、受講日と結果を記録します。

社員への教育を含め、ISMSの運用を相談する

情報セキュリティ教育は、社員が仕事で守るルールと、困ったときの相談先が分かる内容にすると伝わります。身近な場面で説明し、短い質問で理解を確かめ、欠席者への対応まで記録することが基本です。

ISOトラストは、ISO27001(ISMS)の取得から取得後の運用まで支援しています。教材の準備や社内の分担、記録の残し方で迷う場合は、現在の資料と困っている場面を伝え、どのような支援を受けられるか相談できます。

ISOトラストの取得・運用支援の案内
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