ISO9001のクレーム管理|初めての担当者向けに対応の流れと記録例を紹介

ISO9001のクレーム管理|初めての担当者向けに対応の流れと記録例を紹介

「注文と違う商品が届いた」と連絡を受けたとき、まず知りたいのは、何が起きて、お客様が何に困っているかです。話を聞き、社内で調べる人と次に連絡する日時を決めると、受付後の対応を進めやすくなります。 クレーム管理では、交換や訂正をして終わりにせず、対応の経緯を記録し、同じ問題を防ぐ方法も考えます。担当者が替わっても状況が分かる記録があれば、お客様を何度も待たせることも減らせます。 この記事では、初めての担当者向けに、受付で聞くこと、調査中の伝え方、対応記録の例、仕事を見直す方法を紹介します。

この記事でわかること

  • 受付時に聞いておくこと
  • 社内確認とお客様への連絡の流れ
  • 対応の経緯を残す短い記録例
  • 同じ困り事を防ぐ仕事の見直し

クレーム管理とは、受付から解決・再発防止までつなぐこと

クレーム管理は、お客様から届いた不満や困り事を受け止め、対応の経緯と結果を記録し、同じ問題を減らすことです。その場で返事をして終わりではなく、社内で誰が調べ、何を直し、お客様にどう伝えたかまで扱います。

例えば、注文と違う商品が届いた場合は、正しい商品への交換など、お客様の困り事を解消する対応が必要です。それと併せて、なぜ違う商品を送ったのかを調べ、次の出荷で同じ間違いを防げる方法を考えます。

ISO9001は、製品やサービスの品質を安定させ、仕事を改善していくための仕組みです。クレームの記録も、仕事のどこに問題があるかを知る手がかりになります。受付窓口、社内の相談先、記録の置き場所が決まっていれば、初めての担当者も対応を引き継ぎやすくなります。

イソログに寄せられたリアルな声

以下は編集部が作成した相談例です。

イソログに寄せられたリアルな声

ISO取得を検討する担当者の悩みや気づきを、横にスライドして確認できます。

5件
初めての受付

「届いた部品が違う」と電話が来ました。何を聞けばよいですか

金属加工業/22人

イソログ相談例

状況

お客様から部品が違うと連絡を受けました。初めて対応するため、どこから聞けばよいか迷っています。

進め方

相手の名前と連絡先、注文した品と届いた品、困っていることを聞きます。最後に内容を短く読み返して確かめると、聞き違いに気づけます。その記録を、注文や出荷を調べる担当者へ渡します。

担当者が不在

電話のメモが机に残り、対応の続きが分かりませんでした

卸売業/14人

イソログ相談例

状況

受付担当が休みの日に再び問い合わせがありましたが、ほかの社員には、その後の対応が分かりませんでした。

進め方

連絡内容と対応状況は、関係者が見られる決めた場所へ残します。次に誰が、いつ連絡するかも書いておくと、担当者が休んでも、代わりの人が経緯を確かめて返事できます。

調査中の連絡

調べている間に「返事が来ない」と電話がありました

設備保守業/27人

イソログ相談例

状況

担当者は確認を進めていましたが、お客様には途中の状況を伝えていませんでした。

進め方

調査結果が出る日とは別に、次に状況を伝える日時を決めます。まだ調査中でも、確認できたことと残っている確認、次の連絡予定を伝えれば、連絡が途切れたままになるのを防げます。

繰り返す間違い

「気を付けて」と伝えても、同じ間違いが続きます

印刷業/18人

イソログ相談例

状況

注文と違う内容で印刷し直すことがあり、担当者へ注意するよう伝えていました。

進め方

注文から印刷までをたどり、どこで内容が食い違ったかを調べます。使う見本や変更の伝え方など、原因に合う方法を変えて試し、その後の作業でも間違いを防げているか確認します。

対応の完了

訂正した資料を送れば、対応完了にしてよいですか

事務代行業/31人

イソログ相談例

状況

訂正した資料をメールで送りましたが、お客様が内容を確認できたかは分からないままです。

進め方

送った日だけでなく、確認をお願いした内容と、お客様の返事も記録します。返事待ちのものや残った作業があれば、担当者と次の連絡予定を残し、責任者と対応状況を確認します。

受付では、何が起きたかと希望する対応を聞く

受付直後に知りたいのは、何が起きて、お客様が何に困っているかです。話を聞いたうえで、どのような対応を希望しているかを確かめます。商品名だけでは特定できない場合は、注文書や写真を見せてもらうと、社内でも調べやすくなります。

聞き終えたら、「品番Aをご注文されたところBが届き、交換をご希望ということでよろしいでしょうか」のように短く読み返します。次の内容を記録しておくと、別の担当者にも伝えられます。

受付時に聞くこと・残すこと
項目確認する内容
受付の日時と担当者いつ、誰が電話やメールを受けたか
お客様と連絡先誰からの連絡か。誰へ、どの方法で返事するか
対象の製品・サービス品名、注文内容、届いた日、対象となる仕事
困っていることと希望何が起き、何に困り、どのような対応を望んでいるか
次の連絡誰が、いつ、何を伝える予定か

お客様から聞いた内容と、社内で確認できた事実は分けて書きます。受付時点では「違う品が届いたとの連絡」と残し、注文書や出荷記録を調べて分かったことを後から追記します。原因が分からないうちに、推測で説明するのは避けます。

けがや発煙など、安全に関わる連絡はすぐに責任者へ伝え、会社の緊急時の手順に沿って対応します。通常の確認を待たせず、受付担当だけで判断を抱え込まないようにします。

社内で事実を確かめ、約束した日時に返事する

受付後は、事実を調べる人と、お客様へ連絡する人を決めます。営業・製造・配送など複数の部署が関わる場合も、窓口の担当者が進み具合を把握できれば、お客様が何度も同じ説明をする負担を減らせます。

社内の担当者には、聞いた内容、お客様の希望、次の連絡予定をまとめて伝えます。急ぐ案件は記録を残したうえで電話などでも知らせ、注文書、出荷記録、現物や写真を確認してもらいます。仕事をした人の話も聞き、分かったことと調査中のことを整理します。

交換・訂正・訪問などの対応は、実施できる内容と日程を責任者に確認してからお客様へ案内します。手配後は、正しい商品や訂正資料が届いたか、困り事が解消したかを確かめ、返事と残る作業を記録します。

原因の調査に時間がかかっても、途中の連絡はできます。結果が出るまで待ってもらうだけでは、お客様には対応が進んでいるか分かりません。確認できた範囲と次の連絡予定を、約束した日時に伝えます。

ポイント

伝え方の例:「注文と出荷の内容を確認し、本日16時までに担当の佐藤からお電話します」。16時の時点で調査中なら、その状況と次の連絡予定を知らせます。時刻は説明用の例で、実際には確認に必要な時間とお客様の希望を踏まえて決めます。

クレーム対応の記録例:品番を間違えて届けた場合

記録は、一件の受付から対応、その後の確認までをたどれる形にすると使いやすくなります。原因や結果を最初から埋める必要はありません。分かった段階で追記し、対応中のものには次の作業と担当者を残します。

次は、卸売会社が注文と違う品番を届けた架空例です。人名・日付・状況は説明用の仮設定です。翌週という確認時期も、この例で決めた予定です。

受付から対応・見直しまでの記入例
項目記入例
受付6月3日10時、営業の佐藤がA社から電話を受けた
お客様の話と希望品番Aを注文したがBが届いた。Aへ交換してほしいとの連絡
確認できたこと注文書はA、出荷記録とお客様の写真はBだった
お客様への対応営業が交換日程を確認してA社へ連絡。6月4日にAを届け、Bを回収
確認できた原因出荷担当者が似た箱を取り違え、箱の品番と注文書を照合していなかった
同じ間違いを防ぐ方法似た箱の置き場所を分け、出荷前に箱の品番と注文書を照合する手順へ変更
その後の確認責任者が翌週の出荷作業と記録を見て、照合を確認。A社にも正しい品が届いたことを確認

今ある受付票やExcelの表でも、経緯を追えるように記入できます。電話のメモ、メール、写真の保存場所も分かるようにしておくと、調べ直すときに便利です。お客様の連絡先を含む記録は、仕事で必要な人が見られる範囲で共有します。

「気を付ける」で終わらせず、間違いが起きた仕事を変える

お客様への対応と並行して、なぜ問題が起きたかを関係者と調べます。原因が分かれば、注意を呼びかけるだけでなく、資料の見せ方や作業の順番など、間違いを起こしにくい方法に変えられます。

同じ問題を防ぐための考え方は、ISO9001の問題への対応と再発防止でも紹介しています。日常の仕事では、次のような見直しが考えられます。

原因に合わせて仕事を見直す例
確認できた原因見直すことの例
変更された注文が作業担当へ届いていなかった変更を伝える相手と方法を決め、受け取った人が内容を確認する
説明書の手順が分かりにくかった迷った箇所の説明や写真を直し、初めて使う人に試してもらう
担当者が不在の日に返事が止まった代わりに返事する人を決め、連絡予定と対応状況を引き継ぐ

変更した方法は、実際に使って結果を確かめます。誰がいつ変えるか、誰がいつ確認するかを決め、作業で使われているか、同じ問題が起きていないかを記録します。似た仕事でも起こりそうなら、その担当者にも変更内容を伝えます。

サイボウズが公開しているモンテールの過去の導入事例では、クレームの発生から対応・改善までを一件の記録で扱い、履歴を探しやすくした取組が紹介されています。自社の記録でも、受付後の経緯を関係者がたどれるかを見直すと、足りない情報を見つけられます。

記録の保存や更新は、ISO9001の文書・記録管理の基本で説明しています。クレームに加え、普段の感想や要望も改善に使いたい場合は、お客様の感想を聞く質問例と対応の残し方も参考になります。

クレーム管理のよくある質問

電話で受けたクレームも、記録に残す?

はい、電話で受けた内容も残します。受付日時、相手の話と希望、約束したこと、次に連絡する人と予定を書きます。担当者の手元だけでなく、対応する人が同じ内容を読める場所へ保存します。

Excelで管理してもよい?

はい、受付から対応の結果まで追えるなら、Excelでも管理できます。更新する人と保存場所を決め、対応中の案件と次の連絡予定が分かる形にします。担当者が休んでも、代わりの人が確認できるようにしておきます。

原因がすぐに分からないとき、お客様には何と答える?

「現在確認中です」と伝え、分かったことと次に連絡する日時を案内します。例えば「出荷記録を確認し、明日午前中に担当からご連絡します」という伝え方です。原因は推測で断定せず、調査が続いていても、約束した日時には状況を知らせます。

どのクレームにも、同じ対策をすればよい?

いいえ、起きたことと原因に合わせて対策を変えます。返事の遅れなら連絡の引継ぎ、商品の取り違えなら出荷前の確認など、見直す仕事が違います。責任者と対応を決め、実施した後の結果まで確かめます。

クレームの受付・記録を含め、ISO9001の運用を相談する

クレーム管理では、お客様の困り事を聞き、社内で事実を調べ、約束した日時に返事をする流れをつなぎます。対応した内容と結果を記録し、原因に合う仕事の見直しまで進めると、同じ問題の繰り返しを減らすことにつながります。

ISOトラストは、ISO9001の取得から取得後の運用まで支援しています。受付後の役割分担や記録の残し方に迷う場合は、今の受付票や対応の流れを伝え、ISO9001の運用について相談できます。

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